メイン画像

ドラえもんに学ぶ「お金の本質」

ドラえもんに学ぶ「お金の本質」


ドラえもん第25巻に収録されている「円ピツで大金持ち」というエピソード。

本作ほどわかり易く且つ手短にそのお金にまつわる本質を解説している作品を知りません。

いつも通りお小遣いが金欠状態ののび太。

ドラえもんになんとかならないかと相談を持ちかけますが、逆にお説教されてしまい怒ってふて寝してしまいます。見かねたドラえもんは・・・

「円ピツ」というひみつ道具をポケットから取り出しました。

これを使って紙切れ一枚に「10000円」と書き込めば一万円札と同等の価値を宿し、極論を言えば「100000000000000円」と書き込めば100兆ジンバブエドル札と同様のレートを発揮してしまう事になるのでしょう。

言うなればのび太はこの時点で独自の通貨発行権を手にしたのと同じ事です。円ピツ一つで彼はのび太中央銀行総裁の座に上り詰めてしまいました。

勢いが弾んだのび太銀行総裁は早速銀行の信用創造機能を駆使して欲しい物を片っ端から買いまくります。漫画に玩具にその他諸々と浪費の限りを尽くしていきます・・・。

が、そんな円ピツにも当然落とし穴がありました。

この円ピツで信用創造したのび太紙幣は借用書のようなものであり、その対価として支払った金額相当の債務を履行する義務が発生してしまうのです。

  • これは我々の世界の紙幣もまた中央銀行から国民への借用書という現実の映し鏡とも言えます。

そんな落とし穴にも気づかずのび太は数億円単位の不動産購入にまで手を伸ばそうとしていましたが、間一髪の所でドラえもんの機転でストップが入りました。それでもこれまで浪費した分のツケは彼に残っています。

こうした身の丈を超越した信用創造の濫発によってのび太銀行総裁は債務不履行のデフォルトに陥ってしまったのです。

そして債務不履行のツケを全てドラえもんが肩代わりする結末で物語は幕を閉じます。

  • これもまた、デフォルトを起こした国の借金をそのまた別の国が肩代わりする現実の映し鏡と言えるでしょう。

本作はたった10ページ前後の1エピソードでありながら、これほどまでにお金の本質をわかり易く踏み込んだ奥深い内容となっています。

ドラえもんはやはり侮れないですね。

 

コマ引用:「円ピツで大金持ち」|藤子・F・不二雄作(小学館『ドラえもん第25巻より』

 


アカウントを作成 して、もっと沢山の記事を読みませんか?


この記事が気に入ったら Kouichi Mikami さんを応援しませんか?
メッセージを添えてチップを送ることができます。


この記事にコメントをしてみませんか?


おすすめの記事