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ドラえもんに学ぶ「インフレーションの仕組み」

ドラえもんに学ぶ「インフレーションの仕組み」


ドラえもん第11巻に収録された「自動販売タイムマシン」というエピソードが有ります。

 

このお話には経済事象におけるインフレーションの特性とそれを利用した人間の上手な立ち回り方についての用例がたった10ページでまとめられています。

ある日、パパから「タバコを一箱買ってくるように」とお駄賃を渡されたのび太。しかし肝心の商店は閉店だった為にそのまま家に帰宅する羽目になります。自分の部屋に戻ったのび太はドラえもんが置きっぱなしにしていた

この「自動販売タイムマシン」を偶然発見します。

この道具は自販機の機能に特化した購買式のタイムマシンで、ダイヤルで指定した年代に売られている品物を当時の物価でそのまま購入できてしまうひみつ道具でした。のび太は物は試しにパパから預かった150円のお駄賃をこの機械に投入してタバコを購入してみたところ・・・

なんと無数のタバコが本機から排出されてきました。

それもその筈。のび太が購入したタバコは昭和初期(戦前)に売られていた「一箱=10銭(0.1円)」の品物。それを150円分投入した事でこれほど大量の数に膨れ上がってしまったのです。部屋に戻ってきたドラえもんからこの道具の機能についての説明を受けて「くれぐれも金儲けだけには使うなよ」と忠告されるのび太。しかしその余計な一言が彼の金欲に火を付けてしまう逆効果を呼び起こすことになります。

のび太は「物価の安い時代から品物を安く仕入れ、それを現代で高く売りつけれる」商売の王道戦略で金儲けを始めます。これは「鉛筆1本=1円」でも儲けが出せる超弩級の価格破壊戦略で彼の目論見は大成功。

このビジネスを続ければ億万長者も夢じゃないと歓喜に浸りながら、お祝いがてら100年後の未来のお菓子を自動販売タイムマシンで注文します。が・・・これが彼にとって最大級の落とし穴でした・・・。

なんと100年後の未来ではお菓子は23万円の物価で売られていたことが判明。

  • のび太は時の流れと共に経済成長すれば当然物価も上がるというインフレの大原則を失念してしまったのです

たった一回の痛恨のミスによってのび太のビジネスも億万長者になるという壮大な野望も全てご破産する末路を迎えてしまうのでした。このように本作で描かれたのび太による

  • 手持ちの通貨のインフレを逆手に取って「物価の安い環境で品物を仕入れてそれをレートの高い地域で高く売りつけて儲ける」という戦略

これはひみつ道具を使わずとも現代で転用可能です。例えばまだ円高だった頃は個人輸入を駆使して相対的に物価の安い海外から品物を安く仕入れて、それを国内で売りつけて儲けを出すなんてよく聞く話しでした。これは輸入産業全般に共通する法則でしょうか。

この手法を更に応用したのが海外旅行先の選定ですね。今の日本に海外旅行客が殺到しているのも長引くデフレで物価が安く、海外旅行客の手持ちの外貨の方がレートが高いので相対的に低い物価でモノやサービスの提供を受けられるという利点に尽きるからです。観光業が主要産業になっている国々も大方この傾向が出ていますしね。

我々がドラえもんから学べる教訓はまだまだあるみたいです。

コマ引用:「ドラえもん第11巻 自動販売タイムマシンで」|藤子・F・不二雄作


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