ボイストレーナーへの道のり ⑤ 音楽専門学生とジャズボーカル
ボイストレーナーへの道のり ⑤ 音楽専門学生とジャズボーカル
音楽学校での生活は、まるで水を得た魚のように、ボクにとってとても楽しいものでした。
「楽しい!」
「ヤバイ!」
……と、とても充実していました。
他の音楽学校を覗いた訳ではありませんが、講師の方たちはボーカル、楽器共に今から思い返しても本当に素晴らしい方ばかりでした。
現役ミュージシャン講師のライブを見に行っては、とても刺激を受けました。
「なんだ、この世界は!(≧▽≦)!」
今まで知らなかった色んなジャンルの歌を教わり、
ボイストレーニングなるものを受け、
コードやスケール等の音楽理論を学び、
ピアノはジャズやブルースをなんちゃってで弾いて、
と、今まで出来なかったことが出来るようになり、全く知らなかった世界がくっきりと鮮やかな色と形を持って目の前に拡がり出しました。
ボイストレーニングなるものを受け、
コードやスケール等の音楽理論を学び、
ピアノはジャズやブルースをなんちゃってで弾いて、
と、今まで出来なかったことが出来るようになり、全く知らなかった世界がくっきりと鮮やかな色と形を持って目の前に拡がり出しました。
音楽学校の2年目に入った頃、関西の名門ジャズクラブのオーディションを受けて合格しました。
音楽学校の歌の上手い友達がそのジャズクラブのオーディションを受けて落ちたと聞いたことがきっかけでした。
「ボクなら受かるはず!」
特に何の思い入れもなしに腕試しのような気持ちで受けて優勝してしまったのでした。
当時、男性のジャズボーカルは珍しく、「育ててやろう」的な意図があったのかもしれませんが、「やっぱりボクはスゴいんだ!」と自惚れるのに充分でした。
さて、これまで全くジャズボーカルを聞いたことなかったボクは、1ヶ月ほどの間にジャズの曲を20曲ほど歌わないといけなくなりました。
CDを30枚ほど買い、歌えそうな曲を探して必死に聴き込みました。
歌詞も覚えて、意味も訳して、自分なりに感情の裏付けをしました。
歌詞も覚えて、意味も訳して、自分なりに感情の裏付けをしました。
ドキドキで初ステージを迎えました。
熟練したミュージシャンの方たちに助けていただきながら、なんとか3ステージ歌い切ることができました。
音楽的には自分でも中々良かったのではないかと思います。
ステージを録音・編集したデモテープを出会ったプロの方に配りまくって、それ経由で何度か単発でお仕事を頂いたりしました。
音楽学校で2年学んだ後、特待生となり授業料免除でもう一年学べることになりました。
この頃にはもう作編曲家という気持ちは微塵もなく、歌をしてゆきたいと思っていました。
特待生としての一年はあっという間に過ぎ、音楽学校を卒業しました。
その後は、バイトばかりの暮らしになりました。
ライブもほとんどしませんでした。
作曲も作詞もオーディションもボイトレもピアノの練習も何もせず、どうしたらいいんだろうと悶々としていました。
作曲も作詞もオーディションもボイトレもピアノの練習も何もせず、どうしたらいいんだろうと悶々としていました。
音楽をしてゆくんだという想いは自分の中で疑ってはいませんでしたが、何をどうして良いか分からず、何も動けずにいました。
バイト生活が1年半ほど経った頃、人員整理でバイト全員が一斉にクビになり、急に職を失いました。
派遣社員の仕事だったので、雇用保険に加入していて、給料の8割の3ヶ月分がすぐに支給されました。
「よし、これを良い機会だと思って、このお金をもらえた3ヶ月の間にこれから自分はどうするのか、真剣に考えよう!」
そう思いました。
………しかし、あっという間に月日は経ち、何も思い付かない状態で3ヶ月は過ぎました。
結局、何も出来ない、しようとしない、グズな自分は、3ヶ月で何も変わることはありませんでした。
自分に心底嫌悪し「最低の人間だ!」と呪いました。
自分に心底嫌悪し「最低の人間だ!」と呪いました。
そんな時、
「植村くん、引っ越しするから電話番号変わるって言ってたけど、連絡ないから前に聞いてた番号に(電話を)かけたんだけど、最近どうしてるの?」
と電話がかかってきました。
通っていた音楽学校の方からでした。
「バイト、クビになってどうしようかなぁって思ってたところです(¯―¯٥)」
「なんや、それ! ちょっと話があるんだけど、時間のある時に学校に来てくれない?」
「分かりました。時間だけはたっぷりあるんで・・・」
………なんだろう。何かいい話かな…。それとも何か怒られるかな・・・。特待生にまでしたのに何も活動しないなんてどういうことだとか・・・。
でも、わざわざ学校まで呼び出してまで怒られるようなことではないだろうし…。
考えても分かるはずはありませんでしたが、この電話がボクがボイストレーナーとしてのキャリアを踏み出す第一歩となるのでした。
ボイストレーナーへの道 ⑥ へ続く
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