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『突破口を探し出せる力に気づいて欲しい』というメッセージなのかな。

『突破口を探し出せる力に気づいて欲しい』というメッセージなのかな。


映画のタイトルを三つ並べます。
『マチルダ・ザ・ミュージカル』
『魔女がいっぱい』
『チャーリーとチョコレート工場』

共通点、わかりますか?
子ども向けの映画。
子どもたちがピンチと向き合うストーリー。
そして…
原作が同一人物であるということ。今回は…

児童文学原作の映画を観た話を書きますね。


二日連続で映画を二本観ました。
1996年公開の『マチルダ』。それをリメイクした2022年公開の『マチルダ・ザ・ミュージカル』。年齢制限枠が年長の子供と指定されていました。
ある種コミカルでファンタジー色のある描かれ方をしていて、作品鑑賞という視点では見応えのあるものです。ストーリーの根底には「不遇な子どもたち」があります。作品として完成度も高い。
引き込まれながらも、子ども時代の受難について考えていました。
映画を観ることは好きですが、原作や監督などの詳細を普段は気に留めません。ですが今回は違いました。子どもの受難をここまで描くのは誰なのだろうと気になったのです。

原作者はロアルド・ダール。1900年代に活躍したイギリスの小説家・脚本家です。
風刺やブラックユーモアに満ちた短編小説や児童文学が有名とのこと。

映画のあらすじ

ここであらすじをざっくりと書きますね。(多少のネタバレを含みます。)
詐欺まがいの自動車工場を経営している父親と、美容とお金と快楽にしか興味のない母親。その両親のもとで疑問を抱くことなく暮らす兄。そんな一家に一人の女の子が誕生します。マチルダと名付けられました。
賢くて知識欲が強い彼女は家族に馴染めません。両親も彼女の存在を理解できません。居場所のないマチルダは本の世界に没頭していきます。世界の全てを本から学びました。親が無関心なのを利用して、幼いころから図書館に一人で通っていました。
学校へ通う年齢になっても両親は気づきもしません。ようやく学校へ行けるようになりますが、そこでもまた不遇が待ち受けていました。子ども嫌いで虐めることしか考えていない校長、優しいけれど弱腰な教師、翻弄される児童たち。
家でも学校でもマチルダは怒りと悲しみの毎日です。

同じ原作でも描き方でここまで違ってくる

元の映画とリメイク版を比べて鑑賞すると、興味深い発見があります。受け取るメッセージも違いました。リメイク版はミュージカルになっていました。厳しい現実を描いていく上での意図が見えてきたように感じました。

元の映画とリメイク版では、マチルダの境遇に関しては一致しています。
異なる点は、彼女の心の避難方法とその描かれ方でした。
元の映画では、比較的ソフトに描かれていました。親から疎まれても本を読んでいれば幸せな少女。詐欺まがいの商売でも、暮らしはそこそこ良く、物質的には不自由はしていない。心だけが不遇な女の子。学校に行けば嫌な校長が居るけれど、優しくて賢い教師と仲間が居るから平気。そんな印象でした。

リメイク版ではもっと具体的で不遇さが強調されていたのですね。
暮らしぶりは派手で物質的には恵まれている家庭でも、マチルダのためのものはほとんど無いのです。
屋根裏のような場所が彼女の部屋でした。両親の暴言に対しても深く傷つく様子が具体的に描かれていました。
学校には嫌な生徒もいて、皆が仲間なわけではありません。校長の描き方は同じですが、頼りになるはずの教師の内心は複雑です。教師自身、心に傷を抱えたまま大人になっていました。
リメイク版のマチルダが唯一心安らぐ時間は、物語の世界で心を遊ばせているとき。物語はそのまま、彼女にとってのシェルターとなります。
自分の中に湧き出る悲しみ、怒り、直感などを物語にして、その世界に居る間が癒しとなっていました。移動図書館の女性と親しくなり、彼女に物語を話すたび、マチルダの心が解放されていきます。

リメイク版マチルダは、元の映画より遥かに壮絶な状況にありました。
ミュージカルでなければ子ども向け映画としては世に出せなかったかもしれません。

子どもたちへ伝えたいこと

理不尽と闘っているのは大人だけではない。子どもこそ強大な理不尽と常に隣りあわせなのだなと、映画を観て感じました。誰もが子ども時代を経験しています。大人になった時すっかり忘れていることも多いです。

“賢いマチルダ”は全ての子どものシンボルです。人は皆、生まれた瞬間からそれぞれが秘めた能力と可能性を持っています。誰もが“知りたがり”であり、学ぶことが得意なのです。

この映画は理不尽さや不遇を描いただけの作品ではありません。子どもの生き抜く力の強さを応援するメッセージも込められていると思います。
これは完全に私の感想ですが…負けるな、ではなく、『負けそうになっても、突破口が必ずあることを思い出して欲しい』というメッセージです。大人の私が抱いた感想と、実際の子どもたちの感想は違うでしょう。ですが、心強いものが芽生えるという共通の影響があるのではと思うのです。

感想から祈りへ

子どもを育てているわけでもなく教育に従事しているわけでもありません。
子どもも大人も老齢者も、皆連続する変化の中で生きています。たまたま今大人である私が、映画を観て抱いた感想と想いを書きました。出逢ったときにたまたまその年齢だったというだけで、私たちは誰もが等しく生まれて老いていきますよね。
お互いに持っている力を出し合って自由性を尊重し合って生きられる社会を目指せますように。

ここまで読んでくださってありがとうございました。
1996年の『マチルダ』も2022年の『マチルダ・ザ・ミュージカル』も、共にネットフリックスで公開されています。心に引っ掛かったなら是非ご覧くださいね。
また書いていきます。

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