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後発医薬品について考える

後発医薬品について考える


はじめまして。対馬と申します。

調剤薬局業界で勤務する私、対馬が日々の業務の中で感じたことや、皆さんにも知ってもらいたいと感じた事を書き綴らせていただきます。宜しくお願いします。

第1回目は「後発医薬品について」です。

皆さんは「後発医薬品」というものをご存知でしょうか。いわゆる「ジェネリック医薬品」と呼ばれるもので、先発医薬品の特許が切れた後に同じ成分で製造され、同じ効能効果を持つとして販売された医薬品のことです。
 
厚生労働省のホームページによると、後発医薬品は
1.先発医薬品と治療学的に同等であるものとして製造販売が承認されている。
2.研究開発に要する費用が安く抑えられ、先発医薬品に比べ薬価が安くなっている。
3.後発医薬品を普及させることは、患者負担の軽減や医療保険財政の改善に役立つ。
と記載されています。

実際、調剤薬局で勤務していると後発医薬品は希望している患者さんにとっては自己負担額の軽減に十分に役立つ薬だと感じています。

たとえば、高脂血症治療薬(コレステロールや中性脂肪を下げる薬)の場合、後発医薬品に変更することで1錠あたり最大61.7円の薬価差が生じる。この薬は1日1回1錠のため、1か月分(30日分)の処方で約550円自己負担額を抑えることができます。
(以下、自己負担額の試算は全て負担割合3割として算出)

医薬品の中には薬価差が1錠あたり2円程度の製品も存在しているため、後発医薬品に変更したとしても数十円程度(薬価差が2円の場合、100錠処方されて約60円安くなる計算)しか安くならない場合もありますので、後発医薬品へ変更したら全ての場合で数百円単位で安くなる訳ではないのでご注意いただきたいです。

調剤薬局においては後発医薬品の使用量が増えると「後発医薬品調剤体制加算」というものが全患者さんを対象に算定できるようになる。そのため、利用している薬局の状況によっては自己負担額が数ヶ月おきに増加していく場合がある。同じ薬を継続して処方されているはずなのに薬代が高くなっていることに疑問を持たれたことがある方がいたとしたら、原因の一つはこの加算が算定されているからかもしれません。

私が勤務する薬局ではこの半年で、後発医薬品調剤体制加算が「未算定」「加算1算定」「加算2算定」と変わったため、患者さんの自己負担額は加算1で約40円→加算2で約60円程度増加しています。ちなみに、加算は3まであり、加算3で約80円程度増加します。

年に1回、薬代が見直される薬価改定というものも薬代の変動に影響しますが、こちらは比較的価格が下がる傾向にあるため、薬代が高くなっている場合にはあまり影響はないと考えていいと思います。

個人的には後発医薬品調剤体制加算は後発医薬品を希望している患者さんが加算の対象になるのは理解できますが、先発医薬品しか使っていない患者さんにも加算し一部負担金を徴収するのは、医療保険財源の改善策に従わないことへのペナルティのように感じられてしまうため廃止も含めて検討して欲しいと感じています。

2020年9月時点での後発医薬品の使用率は約78.3%と報告されており、やや頭打ちの感が出てきているようです。(厚生労働省 中央社会保険医療協議会・薬価専門部会報告による)医療保険財源の改善のために後発医薬品を推奨したいのであれば、もう少し強制力が働くようにしてもいいのではないかと感じる場面は多々あります。

たとえば、現在の処方箋は「後発医薬品への変更不可」のチェックをつける欄が設けられており、まだまだチェックが付いた処方箋を応需します。本当に推進したいのであれば「先発医薬品使用不可」のチェック欄へ変更すればいいと思いますし、チェックをつけない場合は病院や診療所も「医科診療報酬における処方箋発行料」の算定を認ない。など、医療機関側にも先発医薬品を使用することで不利益を被る構造を作らない限り、調剤薬局側の努力だけではこれ以上、使用率を上げることは難しいと感じています。

もしくは、医療費の負担がないもしくは一律500円などの公費負担の方は後発医薬品使用を義務つける。
 医療従事者は後発医薬品の存在意義や効能効果に差がないという事を一般の方より理解しているのだから医療従事者並びにその家族は後発医薬品使用を義務つける。など治療学的には同等と言い切れるのであれば多少の強制力を持たせてもいいと感じます。

後発医薬品について思うところを書かせていただきましたが、個人的には
【患者さんの自己負担額軽減には役立っている。が、先発医薬品を希望している人にまで算定される加算はいらない。】
【後発医薬品を医療保険財政の改善策として推奨したいのであれば、医療機関も巻き込み強制力を発揮したほうがいい。】
と考えています。

後発医薬品の推奨はいい制度だとは思っています。
だからこそ、使わない人も損をする制度ではなく、使う人が得を出来る制度であって欲しいと感じています。

次回は、後発医薬品の製造メーカーが多いということが患者さんにとってプラスに働かない場合もある。という点について書かせていただこうと思います。


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調剤薬局業界で仕事をしています。店舗勤務、人事、開業支援と色々やっています。日々の業務の中で気になったことや皆さんも知るべきと感じた事を書いていきたいと考えています。

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