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Beija flor #3 Avaricioso III

Beija flor #3 Avaricioso III


『拝啓、両親、兄弟はお元気ですか?

僕は今、アフリカの海のど真ん中で鉄の中で缶詰めにあってます。仕事で来たはずでした。この綺麗な海を堪能する間もなく、目的地に向かう道中、なぜか乗っていた船が襲われ悪漢な女に拐われ、間も無く死にそうです。いままで成長を見守ってくださり、ありがとうございます。バッグに入れてあるドラ○エだけは、それだけはどうか棄てずに入れておいてください。最後に、この綺麗な海見ながら優雅にド○クエでもしたかったな』

 

などと、塩島は灰色の壁に向かって泣きそうになりながら、ゴニョゴニョ話していた。それをたまたま見てたニーノが「お前、なに泣いてんだ??」と不思議そうにタバコ咥えながら見ていた。

 

〈しおじま〉ほっといてくれ……

 

〈ニーノ〉どうでもいいけど、変なことしたら撃っちまうぞ?

 

〈しおじま〉はあぁ〜、おれはどうせここで死ぬんだな

 

すると、上からバタン! と扉が開く音がして、上から男が階段降りてきて言った。

 

〈ロナック〉安心しろまだ死なねぇよ

 

〈ニーノ〉ロナックか、どした?

 

〈ロナック〉ちょっとな…… お前さんデータは持ってるよな?

 

〈しおじま〉データ? 何の話……? ん? もしかして、このUSDの事か?

 

と、塩島はポケットの中から1つのUSDメモリーを出した。

 

〈ロナック〉多分、それだな

 

〈しおじま〉けど、ただのUSDだろ?

 

〈ロナック〉その中身が欲しがってんのさ

 

〈しおじま〉中身?

 

〈ロナック〉お前、そのデータ見たことあるか?

 

〈しおじま〉いや無理やりここに来たし、重要な任務とだけ言われただけだ

 

〈ロナック〉なるほどな。実はな、俺らを雇った…… つまり、依頼人でありボスだ。その人と話した結果、そのデータは全て頂く。そして、そのデータはつまらない。アリを一々、1つづつ潰すようなものだ。実に面倒い。愚かな方法。あの連中は、なにも考えてないケダモノでクズだ。あのデータに10億の価値はない

 

〈しおじま〉な…… というか、このデータに10億掛けてたのか? どんなデータだよ

 

〈ロナック〉本当になにも聴いてないんだな、そのデータはアフリカの貧民街の工場、そしてあんたの会社の食品の取引がデータとしてある。それはあんたも知ってるよな?

 

〈しおじま〉待てよ、アフリカの貧民街の工場?

 

〈ニーノ〉は? おいおい、まじかよ

 

〈ロナック〉あ〜 そこからか

 

〈しおじま〉何言ってんだ? あんた?だって! うちの会社は日本でも5本の指に入る大手企業で、食品輸入だってアフリカの工場何回か行ったが立派な工場だったぞ! 貧民街ってなんだよ? 聞いた事ないぞ

 

〈ロナック〉それは9割嘘っぱちだな、俺らが持ってる情報とは大違いだ。たしかに、大手企業ではあるが、相当汚い手を使ってるな。お前が言うその工場は、ほんの一部だろうな、少しはおかしいとは思わないのか? それだけ大手さんが消そうとするデータだ。気づかれたくはない。だが、向こうさんも向こうさんだな、なにも知らないあんた諸共、消そうとするなんてな

 

〈しおじま〉け、消そうと?

 

〈ニーノ〉はっはははは!! こりゃめでたいな!当の本人はなにも知らねえ! しかもその会社はデータを消して儲けようとしてたのに、結局自分達は得もしない運命ってことなんだからな!!

 

〈しおじま〉どう言うことだ??

 

〈ロナック〉それからあんたの上司…… えーと? 誰だっけ? えーと、遠北? だったかな?

 

〈しおじま〉遠北部長?

 

〈ロナック〉そう! その人からの伝言で、君はもう鹿守の社員ではない。我社のためにそこで、たぬきのような顔して死んでくれ、だそうだ

 

〈しおじま〉な…… ぅうっ……

 

塩島はこんなにも簡単に切り捨てる上司の話、部長の言葉を聴いて急に気持ち悪くなった。今日はまだ昼ごはん食べてなかったからなにも嘔吐するものはないが。

 

〈ニーノ〉おいおい、大丈夫か? こいつ

 

〈ロナック〉という事で、あんたはもう必要ない。ここで、降りてもらう。それか、死ぬか? 浮き輪ぐらいなら落とすぞ?

 

ここで、ロナックはこのタイミングでさらに塩島を追い込んだ。この男はどうやら生粋のS男のようだ。SMクラブの男優がピタリとハマりそうだ。ロナックは、アフロっぽい特徴的な髪型しており、おそらくアフリカ系の黒人。いや、黒人よりは少し肌が白い。黒人より黒人といったところだ。まあ、黒人であることは間違いない。さらに黒ふちの丸メガネを掛けていて、大柄な男性だ。いかにも、剛そうだ。だが、どこか冷静な話し方が気になるところだ。

 

〈しおじま〉ふざけんなよ!! なんだこの追い込みは?? いや、そうじゃなくて、要らなくなったらすぐポイってか? しかも会社もか!? 何でだよ!

 

〈ニーノ〉そりゃ、あんたがバカだからだろ、それに人間ってやつは欲の塊さ、人間は金の為なら悪魔に心を売る。その典型的な最もなアホがあんたの上司ってことさ、つまり金の亡者さね

 

ニーノはしんみりした顔で話した。

 

〈しおじま〉くっそ!! なんでだよ! 何なんだよ!うるせえ! 俺は、有名な大学でて大手企業に就職したのに、あんまりだ……

おい! せめて、安全などっか陸地まで運べよ!

 

〈ニーノ〉はあ…… 愚痴は終わったか? しかも、私たちをタクシー代わりにしようとしたな? タダで済むとは思うなよ?

 

ニーノは、イラッときたのか自慢の銃を腰のベルトから抜き出して悪魔のような顔で、塩島を見ていた。

 

〈しおじま〉うっ……

 

塩島はそんなニーノを見て後ずさりした。

 

〈ニーノ〉ロナック、私はもう我慢ならねぇな

 

〈ロナック〉おい、やめろ冷静になれ

 

〈ニーノ〉うるせえ!

 

と、ニーノは1発銃をぶちかました。

 

〈ロナック〉やめろって言ってんだろ? その選択はこいつがするもんだ

 

間一髪で、ロナックはニーノの両手を押さえ、自由を奪った。弾丸は下の床を撃ち抜いて、穴が空いていた。塩島は死なずにすんだ。

 

だが、塩島は恐くて声も出ず座り込んでいた。

 

〈ニーノ〉わ、わかったから!

 

ロナックはニーノの両手を解放し、自由にした。

 

〈ニーノ〉ちっ!

 

すると、今度は下からドタバタと音がした。

 

そしてまた上の扉が開く。銀髪の長髪の男性が階段を降りてきた。なにやら怒ってる様子だった。

 

〈ロナック〉ラディ……

 

〈ラディ〉おい! そこのくそ女! 下には機材やパソコンがあるんだぞ!? 使えなくなったらどうすんだよ? しかもギリギリ俺の座ってる位置じゃないほうに撃たれたから良かったものを! 機材が……!

 

〈ラディ〉それに! ここの床は脆いんだぞ!? 脆い船なんだから

 

〈ロナック〉脆船で悪かったな

 

そう、塩島はツバメと名乗る人達に拐われ、この脆い船に閉じ込められていた。

 

〈ニーノ〉ラディ、悪かったよ、謝るよ

 

〈ラディ〉ふん! まったく! あ、自己紹介がまだだね、おれはラディ、よろしくね

 

〈しおじま〉な、なんだ?

 

〈ロナック〉はあ、なあお前ちょっと甲板にでて潮風に当たるかい?

 

〈しおじま〉ああ、そうするよ

 

ロナックと塩島は階段上がって甲板に2人で座った。

 

〈ロナック〉フォルテ・メンソールだ、どうだい? 一服つけないか?

 

〈しおじま〉あぁ、1本貰うよ

 

塩島はロナックからタバコを貰い、咥えた。ロナックは、ジッポで火をつけた。そして、そのジッポで塩島のタバコも火を灯す。

 

ロナックは、吸いながら話した。

 

〈ロナック〉同情するぜ、俺も似たようなことは何度か、あったからな

 

〈塩島〉どうも、なんか妙にタバコが美味いな……

 

〈ロナック〉あんた、名前は?

 

〈しおじま〉塩島育登、どこにでもいる名前さ

 

〈ロナック〉そうか、おれはロナックだ

 

〈しおじま〉ああ……

 

その日は、暖かい気候の風で暑いはずなのに、潮風と合わさってなぜか少し落ち着いた冷たさのある良い風だった。

 

このまま、潮風に当たって生きたい。そんな事を塩島は思っていた。

 

この先、塩島はどうなってしまうのか。それは、この時はまだ考えてさえいなかった。

 

 

 

 

 

ー #3 Avaricioso III. 金の亡者3 ー 続く。


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趣味は多趣味です。音楽は欠かせない!
あとですね、書きたいことは「自由帳」という形で進めて行きますので、毎日内容は違いますし、飽きないかなと思われます。
よろしくお願いします。

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