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Beija flor #7 Avaricioso VII. fin.

Beija flor #7 Avaricioso VII. fin.


Auオーア』とは、紋章学で金色を表すティンクチャーである。チロル・グロゥ傘下のオーアの幹部、モルガン。モルガンの父は紋章学者であり、自身も紋章学に興味を示しており、紋章学勤勉家だ。本来、このAuはOrと書くが、元素記号のラテン語の金と同様で『aurumアウルム』が由来となっている。そのため、モルガンは傘下の名を『Orオーア』ではなく『Auオーア』とした。

 

 

ー チロル・グロゥ デメララ書斎・特務室 ー

 

 


 

 

〈デメララ〉ロナック! 黄色い倉庫に向かえ

 

グアテマラを制する最大最恐マフィア、チロル・グロゥの大幹部、デメララ。普段はグアテマラシティにいる。この女性は恐ろしい人だ。銀髪にロングウェーブパーマを掛けている。目付きが悪いがアンバーアイという珍しく綺麗な瞳をしている。身長も高く、180cm以上だ。

 

デメララはトランシーバの受信を切った。

 

〈デメララ〉モルガン!

 

〈モルガン〉はい! 何か御用ですか?

 

〈デメララ〉あの件の計画を変更する。ロナック達を助ける。傘下のAuと連絡を取り、直ちにロナック達を助けるように動かせ、そして、ヘリの準備をしろ!

 

〈モルガン〉はっ!

 

と、モルガンに命令した。モルガンはすぐにAuに連絡を取り、命令を下す。パイロットにも電話をし、準備を進めた。

 

〈モルガン〉ところで、どちらに?

 

〈デメララ〉黄色い倉庫に向かう

 

〈デメララ〉例のやつは乗せたか?

 

〈モルガン〉はい

 

〈デメララ〉よし、行くぞ

 

デメララは立ち上がり、モルガンを連れ、ヘリポートに向かった。

 

この行動と同じ刻として、ロナック達は黄色い倉庫に着いた。そして、扉を開いた。

 

黄色い倉庫の中は誰もいなかった。

 

〈ロナック〉ホッショ! いるか!?

 

ホッショとはこの黄色い倉庫の管理を任されている男だ。つまり、モルガンの右腕的な存在だ。紫色の髪色に紫のかかった瞳をしている。ロナックの昔からの知り合いでもある。

 

〈ロナック〉誰もいない……

 

〈塩島〉誰もいないじゃないか、本当にここなのか?

 

〈ロナック〉あ、あぁ(ま、まさか、全員で周旋業にいってんじゃないだろうか)

 

〈ニーノ〉ロナック、ホッショたちがいないんじゃあ、ちとまずくないか?

 

〈ロナック〉最悪、俺とお前でどうにかするさ

 

そこにあの男がやって来る。

 

〈アクセルキ〉やあやあ! さっきぶり!で? 誰が死ぬ?? 決めた! 全員死ね!

 

と、銃を向けてくる。

 

〈ニーノ〉おい、あんまりなめんなよ

 

〈アクセルキ〉ニーノか! 実はお前とり合いたかったんだよな!

 

〈ニーノ〉ロナック!ラディ! 隠れろ!

 

その合図とともに一斉にロナック、ラディ、塩島は倉庫内の隠れるところに、走りながら隠れる。

 

その直後にすぐ撃ち合いが始まる。

 

あまり隠れきれてなかった塩島は自力でアクセルキの後ろにある入口にこそっと向かっていた。これにはロナック達は気づかなかった。

 

〈ロナック〉くっそ! やばいな、アクセルキはかなり手強いやつだ

 

〈ラディ〉大丈夫でしょ、相手はニーノだ、血祭りにすることからルボル・ハンドとかなんとか呼ばれてたから、勝てるさ

 

〈ロナック〉それはあれか? ルボル・ハンターのことか? なんとかってルボルしか合ってないぞ? まあ、アイツの強さは1番分かってる

 

倉庫の中は今や銃弾の雨にやられている。

 

塩島はささっとネズミみたいに、入口に向かっていた。遂にアクセルキの後ろを見つからないように静かに、通り過ぎれば、入口だ。通ろうとしたとろに、パッと目があった。

 

〈アクセルキ〉フハハ!! ニーノ! こいつをみろ!

 

アクセルキは、あろう事に塩島の首根っこ捕まえて塩島の頭に銃を突き立てた。

 

〈ニーノ〉ん…… あのばか!

 

〈ロナック〉なんだ? 音が静かに……

 

と、今隠れている物置の隙間から顔を出すと、2人が立っているのが見える。そして……

 

〈ロナック〉は!? なにしてんの? あいつ!?

 

そう、塩島が盾にされているのが目撃された。

 

〈ラディ〉ん? どうした? ロナック?

 

と、ラディも顔を出す。

 

〈ラディ〉ロナック、あいつなにしてんだ?

 

〈ロナック〉あいついないと思ったら、日本人ていうのはバカなのか? 多分、見つからないように入口を目指したんだろうな

 

〈ラディ〉あ〜、その様子だな

 

〈ニーノ〉おい! 卑怯だぞ! そいつはまだ殺せねんだ!

 

〈塩島〉おい! まだってなんだよ? 殺す気だったのか!

 

〈ニーノ〉いやというか、最初から殺す予定だったろ? まあ予定狂ったけどな

 

〈塩島〉おれの死を予定で済ますな! なにか!? それは船での話か? あれは俺が選ぶって事になってるだろ! いや! 死なないけど!

 

〈ニーノ〉うっ! うるせえ!

 

〈ロナック〉おーい! その男まだ殺すなよー

 

〈ニーノ〉うるせえ! なら助けろ!

 

〈ロナック〉いやいや、そいつが盾になってんだから動けねえよ

 

〈ニーノ〉じゃあ黙ってろ!

 

〈塩島〉早く助けろよ!

 

〈ニーノ〉うるさい!

 

〈アクセルキ〉おいおい、痴話喧嘩はやめろよ、すぐ死ぬんだから

 

〈ニーノ〉誰が痴話喧嘩だ! そいつは仲間でもなんでもねえ!

 

〈アクセルキ〉そうかそうか、なら1人目に死ぬのはこいつだな?

 

そう言うと、ニヤニヤしながら塩島に付けた銃の引き金を引こうとしていた。

 

〈ニーノ〉くっそ!

 

と、どうすることも出来ず、どうしようかと考えていた時だった。アクセルキが引き金を引いたのか、銃を撃つ音がした。

 

その音と瞬間に塩島は目を閉じた。

 

〈ニーノ〉しまった!

 

〈アクセルキ〉あ、あ……

 

〈ニーノ〉ん?

 

なぜか、アクセルキが苦しそうな顔をしていた。すると心臓辺りから血がでる。

 

〈塩島〉ん? なんだ?

 

そのままアクセルキは倒れこんでしまった。

 

その後ろにはホッショが銃を構えていた。銃口から煙が出ている。ホッショがアクセルキを撃った音だった。

 

〈ホッショ〉よう、元気かよ?

 

〈ニーノ〉ホッショ!? お前、どこいってたんだよ!

 

〈ホッショ〉済まなかったな、ところでロナックは?

 

〈ロナック〉ここだ! 間に合ったみたいだな、ヒヤヒヤしたぞ

 

〈ホッショ〉まあな、旦那から連絡来た時はびっくりしたよ、でも俺らが出かけてよかったろ? 結果的に静かにこいつを始末できた。こいつはグロゥの裏切り者だ、元から始末は免れなかった、こんな感じになるとは思わんかったがな、兄ちゃんもすまなかった、色々と巻き込んじまった

 

〈塩島〉あ、あぁ

 

〈ニーノ〉まあこの腐れ男が捕まれなきゃ勝てたけどな

 

〈塩島〉なんだと!?

 

だが、本当に間一髪だった。あの時ホッショが少しでも遅れたら塩島はあの世行きだった。ホッショに助けられた。

 

〈ホッショ〉おい、まて! 喧嘩なら後にしろ! 大幹部達のお出ましだ

 

と、外では大きな音がしている。ヘリコプターが倉庫の外で降り立っていた。

 

〈ロナック〉ん? やつらか

 

ヘリが着陸すると、機内から男が2人出てきた。1人はモルガン、もう1人は塩島の上司、遠北だ。そして、後から白いスーツを着た女性が出てきた。

 

〈モルガン〉待たせた

 

〈塩島〉あ、遠北部長……

 

〈遠北〉久しいな塩島君

 

〈ロナック〉なぜ、この男が?

 

〈デメララ〉その前にデータを

 

すると、塩島はデータをデメララに渡す。そしてそのデータを踏みつけて壊した。ヒールを履いているので一撃でパキッと半分に折れた。

 

〈デメララ〉遠北殿、これで取引は終わりだ、これはあなたの為。これでいいですね? 金も振り込まない。会社も助かる。貴方も幸せに過ごせる

 

〈遠北〉はい、それで大丈夫です

 

〈デメララ〉さて、これでこの件は終了だ、塩島だったか? 私がこのチロル・グロゥ大幹部して指揮官のデメララだ。先程、話したのが私だ

 

〈塩島〉あんたが!? そうか……

 

〈デメララ〉私に喧嘩売るなんて、大したものだね。さて、ここでだ君はこれから選んでもらう。それはこの男と日本に帰る。もう1つは帰らず自由を手に入れる

 

すると、遠北はヘリに乗り込みこう言った「塩島君、早く会社に戻るぞ」、これに対して塩島は反論する。

 

〈塩島〉部長、おれはもう会社の人間じゃない、それはあんたが言ったことだ。いまや名も無き男、自由にさせてもらう!

 

と、言い張った。

 

〈遠北〉そうか、ならそうするといい

 

〈デメララ〉話は終わったな。ホッショ! あの死体は片付けておけ! ロナック! 今回の件はすまなかったな、このような件は二度と無いことを祈る

 

〈ホッショ〉御意

 

そのままデメララ達はヘリに乗り、その場を後にした。遠北はここにくるまでに用意したのだろう。

 

塩島は本当の自由を手にした。もう、誘拐されてもない。会社員でもなく、そしてそれと同時に行き場もない。

 

〈ニーノ〉おい、お前どうするんだ?

 

〈塩島〉さあな、おれは自由の亡者みたいなもんさだ、気ままに生きるさ

 

〈ニーノ〉そういえば、1人事務員を募集してるところがある、そこくるか? 行く宛てないんだろ? そうだろ? ロナック

 

〈ロナック〉ああ

 

〈ラディ〉いいんじゃないか?

 

〈塩島〉そうだな、それも面白そうだ

 

〈ニーノ〉ふっ…… 決まりだな、ようこそベイジャ・フロー

 

〈塩島〉よろしく……

 

こうして、塩島の新たな人生が始まった。ここからは未知なる世界を見ることとなるだろう。

 

 

 

 

 

※ ホッショ・ディリアーニー

 

 

 

ー #7 Avaricioso VII. fin. 金の亡者7 終了 ー 続く。


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趣味は多趣味です。音楽は欠かせない!
あとですね、書きたいことは「自由帳」という形で進めて行きますので、毎日内容は違いますし、飽きないかなと思われます。
よろしくお願いします。

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