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オチのない話「消しゴム」。

オチのない話「消しゴム」。


小学生のころ、いじめられてる女の子がいた。

女子からは無視され、男子からはたまに殴られ、

「小学生がしそうないじめの典型」みたいなやつ。



今でもたまに思い出すと胸の奥がギューってなるんだよな。

助けてあげるとか、そういうこと何もしてやれなかったからだろうな。



だってさ、小学生って、本当毎日がサバイバルなのよ。

校舎内でウンコしただけで犯罪者扱いされるし。なんなのあの風習?

ちょっとした選択ミスで悪意の具現化みたいなあだ名つけられるし。



こっちはこっちで必死なわけよ。

あの6年間ほど「毎日が命懸け」だったころってないんじゃないかな?

些細なことがきっかけで、昨日まで仲良かった友達からも一気に敵意を向けられる。



いじめられてる子を庇いなんかしたらどうなることか・・・。



とかなんとか言い訳しながら、

あの子が毎日無視されたり、たまに殴られてるのを、モヤモヤしながら素通りしてたんだよな。

本当にみっともねえな。



いじめに加担することはなかった。

1度や2度、その子の上履きが隠されたときに先生と一緒に探したりもした。

でも、してやれたことってその程度だった。



ああ、あとあれか。



休み時間中かなにかで、

ひとりで机に座ってるその子の横を通り過ぎるとき。

その子が、机の上から消しゴムを落とした。僕の足元に。ボトンって。



「ねえ、それ拾ってよ。」

って床に落ちた消しゴム指差して、ふてぶてしく言われた。



人にもの頼むときの態度じゃなかったわ、あれ。

そういや、上履き一緒に探してやったときも礼ひとつ言わなかったよなコイツ。

お前そういうとこだぞ、と。



それで、消しゴム拾って、その子の手のひらの上に乗せてやったら

顔クシャクシャにして笑いながら「ありがとう!」って僕に言ったんだよな。



今思えば、あのとき消しゴム落としたの、わざとだったよな。

ごめんなさい。それくらいしかしてあげられることなくて。





あれから25年。

その子の話を友達ごしに聞いた。


今じゃ超絶イケメンの旦那さんと3人の子どもと、幸せに暮らしてるんだって。



なんかすごく安心したな。「よかったー」って声出たわ。



「よかった」じゃねーよ・・・。

あのときほとんど何もしてやれなかったくせに。



でもさ。

うん、よかった。よかったわ。

よかった。





・・・って、それだけの別にオチもない話なんだけど、

なんか思い出してるうちに寝れなくなったから、書きました。


ここまで書いて眠くなったので寝ます。

お野菜zzz

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