素人の音声がなぜ面白いか

やっぱり音声配信は楽しい

大前提として、私たち音声配信のプレーヤーは、音声配信を楽しいものと認識しているし、実際に楽しんでいます。
それも大の大人がこぞって音声配信の世界に「沼って」毎日かなりの時間を音声で消費しています。
私自身もほぼ、持てる時間の全てを音声配信に使っているため、テレビも見ませんし、YouTubeもほとんど見ていません。
それは、それだけ音声配信に魅力があるからで、しかも共通して多くの配信者がそれを理解しているんです。
では、何がそこまで大人たちを惹きつけているのでしょうか。
答えは複雑で、一言では言えませんが、あえて単純に表現するとしたら「声」で繋がることの魅力だろうとお思います。
文字だけのやりとでは絶対に感じることのできない、「声」でのキャッチボールが、ここまで大人を引き摺り込む不思議な魅力を放っているのであろうと思っています。
つまりこのやりとりは、相手が人であって、しかも声を発することができれば成立するのです。

ラジオにおけるプロと素人の音声配信の違い

ラジオというものは、プロの世界であり、プロの技があり、プロであるからこそ背負っているものがある、素人には理解できない世界です。
スポンサーの顔色を伺ったこともなく、ディレクターからの指示を受けたこともなく、何万という単位のリスナーに晒されたこともないのが、音声配信者です。
なのに、堂々と自分の言いたいことを自分の声で発することができます。
素人ゆえに、自分の言いたいことだけを言っていればよく、内容によってはリスナーすら選ぶこともある。
そんなど素人の音声配信が、プロのラジオパーソナリティのトークより劣っているのは明らかです。
滑舌の訓練すらしたこともなく、台本を箇条書きに作ったこともなく、マイクの扱いすら知らない素人の音声配信が、プロのラジオに勝てるところなどありません。
なのに。
私たち音声配信のプレーヤーは、ラジオのプロのトークよりも、間違いなく素人の音声配信の「独り言」の方が好きなんです。
理由は明らかです。
素人の忖度のないトークが、めっぽう面白いからです。
その人にしか話せない、その時にしか話せない「独り言」を聞ける。
そのことに価値があるなんて、音声配信が始まるまでは誰も知りませんでした。
でも、もう私たちは知ってしまった。
素人のただの呟きが、人の心を打ち、人の心を和ませ、人を元気にすることを。
むろん、プロの音声がダメなんじゃありません。
素人のただの呟きがあまりに輝いている、というだけのことなんです。

有名人という「プロ」は音声配信に必要か？

スタンドエフエムでは、どんどん有名人、という名のプロにスポットライトを当てて、活躍を促している流れがあります。
しかし、その流れで、これまで大した成果を上げることはできていないのは明らかです。
その路線で攻めても、一般のリスナーは増えないし、他の媒体より優位になることはないと思います。
その意味で、私は、ずっと「スーパースター」理論を提唱してきました。
要するにスタエフから出てきた、これからのスターを生み出し、皆でそのスターを担いで、外部からも注目されるような本物のスターを作るという構想です。
有名人の誘致では、有名人はあくまで外の人なので、外の人がスタエフに来て、定着する要素にはなりません。
有名人が配信をやめれば、蜘蛛の子を散らすように、誰もいなくなるでしょう。
ところがスタエフにスーパースターが誕生すれば、外からの注目を浴びて、どんどん外からスタエフに人が流入してくることになります。
なぜならスーパースターの本拠地はスタエフであり、基本的にスタエフでしか、そのスターと接近することができないからです。
外の人を呼べば、最大瞬間風速で数字は上がるかもしれませんが、定着率は低い。
内側の人を強くすれば、地道かもしれませんが、どんどん外から人を呼び込んで定着されることができる。
私はそのように考えています。

素人の音声には魅力と可能性がつまっている

音声配信がなぜ魅力的かについて振り返ると、音声配信を配信する行為は、友達に電話するかのような気軽さがある。
そして、それでいて、「声」は人間性が浮き彫りになるんです。
この人間性の暴露は、ラジオではあり得ないこと。
素人であるがゆえに、何にも忖度がなく、自分らしさを伝えることができる。
プロはどこまで行ってもプロです。
プロ意識があるゆえに、プロたる自分を捨てることはできません。
つまり素人の音声にこそ、音声配信の魅力と可能性がつまっているんです。
音声配信をしている人なら、ぜひ、やめずに続けて楽しんでほしいし、これから音声に取り組もうとおもっている人は、ぜひプロであることの鎧を脱ぎ捨てて、身軽に音声配信に取り組んでください。