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床屋談義(和訳)

床屋談義(和訳)


妻は昔、娘三人の髪を切っていたことがある。髪を切りながら、自分が個人的に伝えたいことや人生観・生き方についての話(床屋談義のようなもの)まで、いろいろなことを話していた。
その中で、いまでも不思議と印象に残っている話がある。髪を切りながら、娘の一人にこう尋ねたことがあった。「次の中で一番たちが悪いのはだーれ? (A) 賢くて意地悪でない人、(B) 頭がよくて意地悪な人、(C) 頭がよくなくて意地悪な人、(D) 賢くはないけど意地悪じゃない人。」娘は即座に答えた。「(C)!頭がよくなくて意地悪な人」。すると妻は、「そうね、それも一つの答えだわね。でも、お母さんは (B) だと思うの。「頭がよくて意地悪な人」が一番だめだと思うのよ。」娘は「え、なんで?(B) は少なくとも「頭がいい 」んでしょ?」と言った。妻は「そうね、そこがポイントね。だってね、「頭が良くて意地が悪い」と、みんなに迷惑をかけるかもしれないでしょ。詐欺師みたいに。だけど、(D) だったら少なくとも誰も傷つけたりはしないでしょ」と続けた。「ああ、そうだね!お母さんは絶対「賢くて意地悪じゃない」Aタイプだね!」。「ありがと。まあ、お母さんが (A) か (D) かはわからないけど、でも、お母さんはあなたが (A) か (D) の「意地悪じゃない」人だといいな、って思うの。できれば (A) だといいとは思うけど、でも (D) でも全然 OK よ。お母さんはあなたに「意地悪じゃない」人、もっと言うと「優しい」人になってもらいたいな」「うん、そうだね、お母さん!」と、娘はうなずいた。私もうなずきながら、二人の話を聞いていた。
実は妻はこの質問を、順繰りに3回続けてしたのである。子供たち3人の散髪担当だったからである。そこで私も同じようなやりとりを3回聞くことになったのだが、そのこともこの逸話が強く記憶に残っている理由だと思う。

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