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夫婦とはいえ人間同士 〜双極性障害のハナシ〜

夫婦とはいえ人間同士 〜双極性障害のハナシ〜


やらかしたのは自分

どう考えても私が悪いことをしたのに、逆ギレしてしまった。
それ以降、申し訳なくて目を合わせるのも辛かった。
これは私と妻との人間関係の話です。
一方的に悪いのは私。
でもそれを認めるのがしんどくて、我慢できなかった。
私自身、悪いことをしてしまったことが嫌で嫌でしかなたかった。
なぜなら、何度も同じような失敗をしてきたから。
その度に妻を泣かせてきてしまったから。
だから、ただ自分が悪かったと認めるだけでも、吐くほどしんどかった。
また、似たような失敗をしてしまった自分が許せなかった。
でも口から出てきたのは「お前も悪い」。
そんなわけないと今はわかるけど、その時はそれが精一杯の自分を守る行為だった。

さすがに冷静になったら詫びたくなる

しばらくして冷静になった時、自分がとんでもないことをしたと理解できた。
ひどいことをしたのに、さらに上塗りで無茶なことを言ってしまった。
気持ちが落ち着くと言われている薬を大量に飲んで、1週間。
ようやく気持ちが落ち着いた。
落ち着きすぎた。
今度はひたすら悲しくて、涙ばかり出てくる。
なんとか勇気を振り絞って妻には謝罪した。
気持ちが伝わったかはわからないけど、そうするしかない。
許してもらえなくても、仕方ないことを自分はしてしまった。
謝って許してもらえるなんてムシが良すぎる。
そんなことはよくわかっているつもり。
だけど、謝るしかない。
とにかく謝った。

双極性障害という生きづらさ

この物語は、双極性障害の生きづらさを表している。
双極性とは、要するに躁鬱病のことで、気分が上がる躁状態になったり、下がるうつ状態になったりする。
躁状態とは単純なハイテンションではなく、前後の見境なく、無茶なことをしてしまう状態。
後で振り返れば、「なんであんなことを」ということになってしまう。
そんな躁エピソードの後に、ガーンと大きなうつ状態になる。
躁状態のことを振り返っては、文字通り死にたくなる。
それも躁状態とうつ状態が何度も何度も繰り返す。
私は2ヶ月ぐらいのスパンで大きな波が何度も何度もくる。
あんなに後悔したのに、また躁エピソードを繰り返す。
あんなに死にたくなったのに、また躁状態がやってくる。
妻は私が双極性障害だと知っているが、本当のところで病気に対する理解はない。
しっかりとした理解のない人に、いくら謝っても、「どうせまたやるんでしょ」と思われる。
実際に舌の根も乾かぬうちに、やってはいけないことをまたやってしまう。

人間関係は「覆水盆に返らず」

やってしまったことが元に戻せないように、人間関係もよじれたら、元には戻らない。
くしゃくしゃにした紙が元通りにならないように、傷をつけてしまった心は治せない。
それだけに双極性障害と生きていくこと、双極性障害の人と生きていくことは、難しい。
どんなに広い心を持っていても、許せないものは許せないに違いない。
躁の時は無茶苦茶なこと言うくせに、鬱になったら急に泣き出す。
そんな人間を信用できるわけないし、信用してはいけない。
でも夫婦なので一緒に生きていかなければいけない。
もうそれだけで申し訳なくて仕方ない。
今は薬を大量に飲むことでうつ状態を作っているので、死にたい気持ちしかない。
でも、それは妻の方が、よっぽどそう思っているだろう。

それでも生きていくために

私のような精神疾患で、精神障害者となった者も人間です。
なんとか、生きていかなくてはいけない。
しかも一人では生きていけない。
家族の支えと理解なしには、すぐにでも野垂れ死です。
悪いことをしてしまったら、すぐに謝る。
誠心誠意、謝る。
躁状態だろうとうつ状態だろうと、謝るべきはしっかり謝る。
それだけでも生きやすさは少し楽になるはず。
これ以上、大切な人を傷つけないために。


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音声配信のプロです。
スタンドエフエムで高い認知をとっています。
シチュエーションボイスや声劇の台本を作っています。

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