#61【葛飾北斎】諸国名橋奇覧「三河の八ツ橋の古図」
#61【葛飾北斎】諸国名橋奇覧「三河の八ツ橋の古図」
2022/05/29 06:16 |
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文字
皆様こんにちは!
絵画インストラクター松本です。
葛飾北斎の「諸国名橋奇覧」
(しょこくめいきょうきらん)
は全11図。
今回は「三河の八ツ橋の古図」の解説です!
「三河の八ツ橋の古図」
「三河の八ツ橋の古図」
(みかわのやつはしのこず)
こちらの橋は
北斎が想像して描いた八ツ橋です。
古図=古い絵という意味で
古くて存在しないものに
思いをめぐらせたのですね!
三河の国・・・愛知県東部
八ツ橋・・・・伊勢物語に登場
伊勢物語・・・在原業平の旅の歌を集めたもの
「三河の八ツ橋の古図」・・・
伊勢物語の東下り(ひがしくだり)の段を題材にしている
カキツバタ・・・
湿地に群生する紫色の花。
絵にある人々もしばし花に見とれています。
伊勢物語の歌でよまれた和歌「東くだり」
からころも
きつつなれにし
つましあれば
はるばるきぬる
たびをしぞおもう
語句の頭をつなげると
「かきつは(ば)た」になります。
意味は、
身になじんだ唐衣のような妻を残して
はるばる遠くまできた。しみじみと思う。
このような歌です。
北斎の構図
橋が不自然に盛り上がっています。
作るのが大変そうですし、
真っすぐ作ったほうがいいのでは・・・
とツッコミをいれたくなりますが
そこは北斎の遊び心!
人が北斗七星の位置に配置されているのです!
星にあわせて人を配置して
上下の変化のある橋を
思いついたと思われます。
北斎は北斗七星を信仰していました。
名前の「北斎」は「北斎辰政」の略で
北斗七星にちなんでいます。
北辰(妙見信仰)・・・不動の星の北極星を妙見(みょうけん)として神格化
妙見・・・すぐれた目、真理を見通す
星の位置に人を配置する、
私は一つ勉強になりました!
(^^♪
いつかそのような遊び心をもって
絵を描きたいです。
それでは読んでいただき
ありがとうございました。
また次回!
(^^♪
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このような現代にあまりない形の橋があったら、素敵でしょうね!遠くの橋を渡っている人に挨拶したくなります。北斗七星に人が配置されているなんて、本当にびっくりです!「伊勢物語」は、高校時代に習いました。物語の中に出てきた橋を絵にするなんて、粋です!歌を詠んだのは、こういった雰囲気の中でだったのですね!カキツバタは北斎の手にかかると、紫でなく白でしたか。確かにこの絵には、白の方があっていますね。場所と花は違いますが、渡りながら花を見るなんて、尾瀬とにているかも?なんて思いました。読ませたいただき、ありがとうございました!
34私もカキツバタが白くて丸っぽいのが気になりました。アップだったら花びらまで綺麗に描き紫に描いてくれたと思うのですが、ちょっとアングルが引いているので「多くのカキツバタがさいていること」を分かりやすくするために白く丸っぽく絵を省略したのだと思います。「伊勢物語」高校のとき習いましたか!?私は全く記憶にありません。(笑)妻をおいて旅にしみじみしている歌なんて、「自分だけ楽しんで何でしみじみするんかーい!」とツッコミたくなりました。(^^;)こちらこそ読んでいただきありがとうございました!
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