投資家が「お金」よりも大切にしていること 第二章
投資家が「お金」よりも大切にしていること 第二章
経済は互恵関係
私たちの消費活動は、必ず誰かの生産活動につながっている。
人は生きているだけで消費活動をしていて、誰かの生産活動に貢献している。もっというと、消費したお金は誰かの給料になっているし、逆に私たちが得る給料も誰かが消費したおかげで貰えている。
周りとの関係で私たちは生かし生かされているのだと認識することが、経済を理解する上で最も重要なこと。
自分の喜びは他人の喜びにつながり、他人の幸福は自分の幸福につながる。だから、みんなの幸せを考えることが、最終的に自分の幸せを考えることにつながっていく。この感覚が強い人が、行動として寄付や投資といった活動に結びつく。
経済とは、お金を通してみんなの幸せを考えること
具体的な行動としては
「良い消費者になる」
美味しい食事や素晴らしいサービスを提供してもらったら、必ず「ありがとう」と言う。「ありがとう」と言われることでサービス提供者は嬉しくなり、よりいいサービスを心がけようと思える。「ありがとう」ということは、最終的には自分のところに返ってくることになる。
「お金の使い方に自覚的になる」
何も考えずにお金を使ってしまう事が多々ある。そうではなく、意識的・積極的に「これが欲しい」と思って買う消費活動は良いお金の使い方。
「消費活動は社会貢献である」という観点から考えると、自分が素敵だと思ったコト・モノにお金を使う行為は、その素敵な商品やサービスを提供してくれている会社やそこの従業員たちを応援する行為と同義である。
世の中は、みんなが使ったお金で成り立っている。消費をすることは、大袈裟でもなく、社会を創造することでもある。
会社と仕事の本質について考える
英語で会社はcompany、元々の言葉の意味は「仲間」である。
株式会社の株式は、share。分配であり、分け与えること。
会社とは、本当に多様な人間の集合体である。
会社とは、ポジティブやネガティブ、プラスやマイナスなど、全ての感情や意思、頑張りや怠けといったものが集まった「一人の人間」であるといえる。会社には、素敵な面もあるし、不潔な面もある。会社とは、そのような矛盾を孕んだ存在。
会社の価値は何で決まるのか
通常「会社の価値」を考える際、経営の教科書的には、キャッシュフローの現在価値をもとに算出する「事業価値」と「金融資産」を足して、「企業価値」が決まる。
会社の資産や収益、将来性、業界の動向、日本の将来、世界情勢、金利状況など全て集まってごちゃ混ぜになったもの、会社を一つの生態系と捉えることができる。
正しい金融教育をすべき。知識を持たずに株に投資したりすると単なるマネーゲームになってしまう。株価をデジタルなものと勘違いしてしまう。
本来あるべき金融教育とは、働く事に価値があり、その価値ある労働延長に企業の利益があり、その利益の将来期待が会社の価値を形成していると理解することが大事。
株主総会でも、年間の経常利益や来年度の事業計画の話ではなく、「会社はどうあるべきか」「お客さんとどう向き合うべきか」「従業員とどういう関係を築くべきか」を議論すべき。
インドのインフォシス・テクノロジーズという会社は「私たちの会社の存在は、世界の格差をなくすことである。」と言う。
具体的にどうするかと言うと、世界の格差をなくすには教育の格差を無くさなければならない。教育の格差は、そのまま所得の格差となるから。
インドのIT企業ウィプロ・テクノロジーズの会長の成功とは何か?
「私の成功とは、長期的な人間関係を築いて、人に奉仕すること。」
真面目な企業は自分のことではなく、お客さんのことを真剣に考えてサービスを設計する。その上ではじめて、手段として技術というものが存在する。
日本の多くは不真面目な企業が多い。それはお客さんのことを後回しにして自分達の企業はこんな技術がある!とプレゼンする。
「その会社が真面目かどうか」を判断するための判断材料としてアニュアルレポートを使う。
真面目な会社(アメリカ)
社員の写真集と言って良いほど、いろんな社員の写真が載っている。
不真面目な会社(日本)
多くの会社は、「社員を大切にしている」というが社員の写真が一枚もない。
自分の人生をかけて社会に投資しているひとりの「投資家」
投資は「お金を出してお金を得ること」だけではない。
投資とは、「いまこの瞬間にエネルギーを投入して、未来からお返しをいただくこと」
投資の目的は「世の中を良くして、明るい未来をつくること」
最大のお返しは「明るい未来」
会社やビジネスに投資することは「直接的に、世の中を良くすること」
自己投資は「間接的に、自分を通して世の中を良くすること」
消費も投資であるし、選挙で一票入れることも投資になる。
真の安定とは、変動・変化をしないことではない。変化と向き合い、変化をチャンスと捉え、変化を望んで、実際に動くこと。要は、変化こそが安定。
第二章のまとめ
経済は互恵関係の視点から見れば、消費者が安くて良い商品サービスを求めているのであれば、企業の社員の賃金は低くなる。薄利多売だと、生産性を重視するあまり従業員に過重労働を強いることもある。
給料が上がってほしい!景気が良くなってほしい!と思うのであれば、何でも安いものを求めるのでなく、良い商品サービスを適正価格で買う。むしろ、その商品サービスが世のため人のためと思うのであれば、応援する気持ちで購入する。
企業も、売り上げや事業の話だけでなく「会社を通して仕事を通して、世の中にどうコミットしたいのか?」を問い続ける事、ビジョンみたいなのはこれからの時代は必須ではないかと感じた。
これにて、「投資家がお金よりも大切にしていること」の要約を終わります。第一章と第二章の二部構成にしてみました。
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アニュアルレポート
毎年一回、株主や投資家に配られる年次報告書のこと。
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