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年下の男の子3

年下の男の子3


普段から基本的には誰かの配信を聞きに行くことはあまりせず、自分の配信が終わればアプリを閉じてしまうことの多かった私が、彼の配信が始まる通知が来れば仕事中だろうがお風呂中だろうが遊びに行くようになるのにそう時間はかからなかった。

配信が終われば私のLINEが鳴る。
「今日の配信どうだった?」
褒められ待ちの犬みたいに嬉しそうに聞いてくる低音ボイス。
「今日もかっこよかったし面白かったよ」
「最近はりんさんに褒められたくてやってるまであるよ」
「初見さんのフォロー率もすごいし」
「りんさんのアドバイスが的確だからだよ。相談に乗ってくれてるのほんとに助かってる」
「そろそろガチ恋が湧きそうだね」

実際、彼の配信のコメント欄には、ガチ恋になってもいいですか?とか好きです、なんて言う恋する乙女が爆増している。
そんな人気の彼と、相談役とはいえ毎日寝るまで通話をしている、という優越感は私の心を浮つかせる。

それと同時に、もう何年も忘れていた感覚が蘇っていることに気付かないふりなど出来るわけもなく。だからといって独身時代のようになりふり構わず行動に出たらいけない立場なのも理解していた。

幸いなことに、なのか、残念なことに、なのか、彼がどういうつもりで私に声をかけて、毎日のようにおしゃべりしてくれているのか、普段の口調からは計り知ることはできなくて、だけどそれを明確化するのは怖すぎる。

もし本当にただ友達として、ライバー仲間として仲良くしたいだけだったとしたら、好きなんて口が裂けても言えないし、何勘違いしてんだ、と引かれてしまうかもしれない。

逆に私のことが好きなんだとしても、私は自分のことを何一つ明かしてはいないし、アラフィフの既婚子持ちであることがバレれば引かれてしまうだろう。

そして百億万が一、向こうがそれでも私のことを好きだ、と言ってくれたとしても、付き合うとなれば不倫になってしまうし、バレた時には彼に多大な迷惑をかけることになってしまう。離婚となれば子供たちが悲しむ未来しかない。

天変地異でも起こらない限り、いや、起こったとしても、子供たちと離れることなんてできないし、世界で一番大切なのは子供たち。
子供たちが不幸になるのだけは耐えられない。
私の恋心なんて百害あって一利なしなのだ。

だから、この気持ちは私の心の中だけに留めて、隠しておいた極上のワインを1人でひっそりと楽しむように、大事にしていこう。

そう決めた。



彼女が現れるまでは。

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いくつになっても恋は楽しい

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