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#2 一番古い記憶

#2 一番古い記憶




私の中の一番古い記憶がある。

でも、自分が何歳なのかは分からない。
恐らく……3歳、とかそこらへんだろう。



今も思い出せるその光景は、古い写真のように色あせていて鮮やかなカラーではなくくすんでいる。




景色をみるが。
そこは、いわゆる今の私が言う"地元"ではないのは明らかである。





今の私が、懐かしい。
そう思う景色ではなく。





知らない、まちのようだ。






ただ、幼い頃。
違う土地に住んでいた。と、聞かされていたので不思議ではない。




自然と、「ああ。きっと、前に住んでいたまちなのだろう」と、理解する。




母の右手と手を繋いだ私がいて。
母の左手と手を繋いだ兄がいる。





コンテナが綺麗に並べられた、コンクリートの道を歩いている。


たまに途切れるコンテナの間から、景色が広がるもモヤッと霧が掛かっていてハッキリとは分からない。





ただ、私は見えないのにその先にあるのは"海"だと思っていた。

いや、本当に海かは分からないんだけど。





分からないのに、海だと。
分かっていた。

思い込んでいるのか……?






母は何やら話をしているが、その話の内容は分からない。

まだ幼い頃は、何を話していたかまで理解していたと思う。

……けど。

今は、思い出せない。




楽しそう?
……いや、そういうのも分からない。






しばらく歩くと、車が近付いてくる音が聞こえ不意に母に手をグンッと引かれた。






私たち3人の横に停まったその車は、助手席側の窓を開けた。


……中からは父の声。



楽しそな雰囲気ではなく。
どうやら、家を出て来たらしい私たちを追ってきたようだった。






怒ったような声に、母は私と兄の手を引き再び歩き出す。

その速度に並走するように、父の乗った車も動く。





しばらく続けられたそれに。
観念したように、母は足を止め。




私と兄を後部座席に乗せると、自分は助手席に乗り込み父と言い合いをしていた。






私の記憶はそれで終わるのだが。
言い合う2人を、後部座席から見ながら


「あーあ。逃げれなかったね」と、思っていた。





現実か、妄想か。
はたまた夢か。





私はよく、変な夢を見ることもあった。
同じ夢を何度も。






なので、この記憶は。
本物か、分からない。





分からないが、時々思い出す。





ただ、幼い頃に母にこの記憶について話したことがあるが。

母は、「なにそれ?」といった感じだった。





……だから、現実ではないのかもしれない。

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