メイン画像

#8 最悪な環境

#8 最悪な環境





「お前、お兄ちゃんと何してんの?」


「………え?」





日曜日、いつものように兄とお兄ちゃんの家に遊びに行った帰りに兄に聞かれた。




「………知らない」







この時代、道端にエロ本が転がっているような時代。
河原に行けば、段ボールにいっぱいに入ったエロ本だってあった。







それを駄目だと分かっていても、興味津々に見てしまうような。
そんな年頃だし。






だから、自然と性について知識がついてしまうのだ。
なので、私はお兄ちゃんとエッチなことしてるんだ。と、気づくのも早かった。







尚更、人に言えない。そう思った。







それに、私の家は決して裕福とは言えない状況で。
家もボロく、狭かった。







勿論、子供部屋なんかあるわけなくて。
狭い6畳ほどの部屋で、布団を敷き詰め。
そこに家族全員で寝た。






なので、夜な夜な父と母がしていることも筒抜けで。
兄と二人、寝たふりするのが精いっぱいだった。





そんな環境だから、兄も勿論。
性については、割と早く理解していただろう。







だから。
だからこそ。
兄は、気づいたんだと思う。






私と、お兄ちゃんがしている事に。
ほぼ、確信していたと思う。






でも、なんか恥ずかしい。
知られたくない。
だから、私はすっとぼけた。






その時すでに私は。
”嫌”という感情は無かった。






”慣れ”てしまったのだ。
今の状況に。
この環境に。






だって、私にとっては。
今が当たり前なのだから。






だから、”助けて”という感情は当に無い。
あるのは、”バレたくない”それだけ。







「………ふーん」







私の答えにそう返した兄だったが、納得している雰囲気ではなかった。




アカウントを作成 して、もっと沢山の記事を読みませんか?


この記事が気に入ったら どうせ私は悪役 さんを応援しませんか?
メッセージを添えてチップを送ることができます。


この記事にコメントをしてみませんか?


うまくできない|甘えるのは苦手|親が毒か私が毒か|正しいは時に間違いだと|だから離れるを選択し|私は元から居なかったと|そう思っていて欲しい|私は今幸せだから

おすすめの記事
2024/03/16 08:37 - Akinu@自作ゲーム、小説、手作りアクセサリー販売
2024/02/7 03:32 - Akinu@自作ゲーム、小説、手作りアクセサリー販売
2024/01/28 24:03 - Akinu@自作ゲーム、小説、手作りアクセサリー販売