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#9 いつも通り

#9 いつも通り




一年、二年……と、変わらぬまま時間は過ぎた。


私と、はとこのお兄ちゃんの関係も変わらぬままだし。

父の暴力も、日常的。

毎年夏に行う、舞の練習や本番もその時の特訓も……。

子猫が生まれるたび……繰り返されることも。






そう、なにも変わらないまま。

私は、小学二年生になった。







そして、同じ時期。

母のお腹には、妹がいた。








臨月で、そろそろ生まれる。というとき。
私と兄は、近所に住むはとこの家に預けられた。








父も、毎日帰ってくる仕事ではなかったからだ。








おじいちゃん、おばあちゃん。
そして、おじさんは凄く優しい。




こんなに長い時間、体が緊張状態にならないのは初めてで。
凄く楽しかったと思う。





………夜、以外は。









はとこのお兄ちゃんの家は、二階建てで。
おばあちゃん、おじいちゃん。
そして、おじさんの部屋は一階にあった。






そして、一部屋しかない二階はお兄ちゃんの部屋。







お兄ちゃんはベッドだったので、おばあちゃんが毎回私と兄の布団を敷いてくれた。
でも、私はこの家にお世話になってから一度もこの布団で寝たことはない。








「今日も、一緒に寝ようね」








そういうお兄ちゃんに、私は頷いてお兄ちゃんのベッドに入り込む。









最初こそは、兄も。

「……え?なんで?」

と、わけわかんない。という顔押をして聞いていたが。







適当な言い訳を毎回いうお兄ちゃんに、兄も三日目から何も言わなくなった。







勿論、ただ寝るだけで終わるわけがなく。
兄の寝息が聞こえてきたのを合図に、お兄ちゃんがごそごそと動き出す。






私はただ、それが終わるのを待つだけ。







気持ちいい。とか。
ないんだよな。



多分、みんなそこが気になるかな?と、思うんだけど。
本当、そういう感情がないんだよ。




ただ、無表情で声も出さずに終わるのを待つ感じ。
ぶっちゃけ、何が楽しいのか分からない。




当時は、本当にそんな感じだった。





お兄ちゃんは、その時中学3年生くらいだったから。
何を勘違いしてんのか知らないけど、
「気持ちよかった?」
とか、聞いてくることあったけど。




適当に、うん。とか言ってた。
だから、ああ。お兄ちゃんは”これ”気持ち良いんだな。って。
だから、好きなんだな。って、思ってた。







その日も、いつも通り。
お兄ちゃんが終わるのを待つ。




それだけだと、思っていた。










「……ねえ、何してんの?」










でも、急に聞こえる声に。
私とお兄ちゃんの体がガチっと固まる。


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