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福祉施設での虐待防止のための監視カメラ導入を組織均衡理論から考える

福祉施設での虐待防止のための監視カメラ導入を組織均衡理論から考える


2022年11月末、また保育園で保育士による虐待事件が発覚し、その内容がかなり酷いことから、連日ワイドショーで取り上げられています。

ネット(ツイッター等)では、「福祉施設に監視カメラを導入しろ」という意見も多数見られました。

そこで、現役の介護福祉士がこの問題について綺麗事抜きでガチでお話します。

まず、結論から言うと正直なところ、介護施設等で虐待事件を完全になくすには【監視カメラを導入するしかない】という意見に賛同します。しかし、導入にあたり問題点が2点あります。

《問題点1》カメラの死角やトイレ、脱衣場等、カメラが使用できない場所はどうするのか?

そして、私がこの記事で最も伝えたいことが、問題点2の

《問題点2》カメラを導入することによる従事者の離職をどうするか?です。

介護現場の実情を言うと、
①全く暴力や暴言などの虐待行為をしない完全なホワイトの介護士
②明らかな暴言、暴力などの虐待行為をしている完全なブラックな介護士

だけでなく、

③とりようによれば、暴言や暴力ともとれる、アウトといえばアウトだけど・・というグレーな介護士(例として、介護があらい、言葉遣いが少しキツいなど)

に分けられます。
僕の主観ですが、①は2割くらい、②は1割から2割くらい、そして③が7割くらい該当すると思います。(あくまでも主観です。)

監視カメラを導入するメリットとして、②の介護士を排除することは効果あると思います。また、①の介護士は完全ホワイトなので監視カメラを導入されても困らないでしょう。

問題は③のグレーゾーンの介護士です。世間でも言われているように、介護従事者の給料はかなり低水準です。多くの介護士がギリギリのバランスで介護の仕事をしています。つまりギリギリ組織均衡理論が保たれているため介護施設は運営できています。しかし、ギリギリが故に少しでもそのバランスを崩すような要因が発生すると、組織均衡理論が成立せず組織は解体、つまり介護施設は運営できなくなることでしょう。その要因となりえるものの1つとして、監視カメラによる監視が挙げられます。

具体的に言うと、ただでさえ重労働低賃金の仕事をしてるのに、さらに夜勤中もカメラで監視されるくらいなら辞めるわ~という職員が多発すると思われます。

これを防ぐには(組織均衡理論を保つ)には、おそらくお金、つまり給料をあげるしかないと思われます。

「監視カメラで常に監視されてるのはめちゃくちゃストレス溜まるけど、それに見合う給料を貰っているのだから仕方ないか。」

となるくらいの給料を提示しない限り、監視カメラを導入すると離職者多発により施設運営は不可能となり、利用者は行き場がなくなり、その家族は、自分で介護をするために現在の仕事を続けられなくなるという最悪の負のスパイラルが発生することでしょう。

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外国為替に関心がある介護福祉士です。

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