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元塾講師が教える 大阪公立高校受験概要令和5年

元塾講師が教える 大阪公立高校受験概要令和5年



入試制度の詳細

大阪の公立高校の入試制度は結構複雑です。
基本的には教育委員会が開示している資料を読めばわかります。
しかしページ数が多く、読むのも一苦労します。
ここで簡単にまとめておきますので、参考にしていただければ幸いです。

情報入手先

基本的な情報はすべて教育委員会のページに掲載されています。
ここにすべて書いてありますが、読むのが大変な量ですよね。
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6221/00434538/01_R5_youkou_zentai.pdf

基本的な合否決定の仕組み

当記事では、普通科と文理学科の合否決定の仕組みについて書いています。
実技試験や面接がある場合は、異なる方法で合否がきまるので、しっかりと教育委員会の資料を読み込んでください。

調査書の評定(=内申点)と受験当日の学力検査の成績(当日点)で合否が決まります。
教育委員会の資料では、一般的な用語と呼び方が少し異なります。

内申点=調査書の評定
当日点=学力検査の成績

この記事では、内申点、当日点と書きます。

学校ごとに配分が異なる

内申点+当日点で合否が決まるのは、どの学校も同じです。
しかし、その配分が学校ごとに異なります。

上記リンクのPDF資料の51ページを見てください。
※ページはすべて、資料下部に印刷されている数字です。

51ページの一番上に表があります。
これが、配分の一覧です。

例えばタイプⅠは、学力検査(以下、当日点)が1.4倍され、調査書(以下、内申点)が0.6倍です。
自分が受験する学校がどのタイプなのかは、76ページ目以降にまとめられています。
表の一番右の「倍率のタイプ」という欄です。

例えば76ページの一番上にある東淀川高校は、タイプⅡです。
もう一度51ページに戻っていただき、タイプⅡを見ると次のような配分だとわかります。

当日点が1.2倍、内申点が0.8倍

この二つの表を使って、自分が受験する学校が、どの配分なのかを知っておきましょう。
基本的に偏差値の高い学校ほど当日点重視です。

内申点の計算方法

次に内申点の計算方法について解説します。
各学年の3学期の通知表の成績を計算に使用します。
9教科ありますよね。
そして1~5の評定が付いています。
つまり最高点は45点です。

この45点満点の点数に掛け算をしたあと、合計します。
1年の成績×2倍(90点満点)
2年の成績×2倍(90点満点)
3年の成績×6倍(270点満点)

合計すると450点満点です。
ここに先ほど解説したタイプごとの倍率を掛け算します。

例えば、自分の通知表の成績が次のとおりだとします。
1年の成績 35
2年の成績 30
3年の成績 40

計算すると
35×2+30×2+40×6=370

ここに学校ごとのタイプによって倍率をかけます。
タイプⅠなら、0.6倍なので、370×0.6=222 となります。
これが自分の内申点となり、合否判定に使用されます。

当日点の計算方法

入試当日に実施される学力テストは主要5教科です。
各90点満点です。
単純に合計すると90×5=450が満点です。

そして、この点数に51ページのタイプに掲載されている倍率を掛け算します。
例えばタイプⅠなら、1.4倍ですから450×1.4=630点が満点です。

仮に自分の当日点が300点で、タイプⅠの学校なら300×1.4=420となります。

内申点+当日点

これで内申点と当日点が算出できましたので、両者を合計します。
ここまでの例ですと、内申点が222点で、当日点が420点です。
222+420=642
となります。

この642点が、あなたの得点です。PDFファイル内では総合点と書かれています。

採点終了後に、受験者全員を総合点の高いものから順に並べ替えし、合否判定を行います。

合否判定

ここからがまたややこしいです。
分かりやすくするために、受験者数を500人、募集人員(=合格者数)を400人にして解説します。
この判定の順序も51ページに記載されています。(表の下です)
赤字部分はPDFファイル51ページからの引用です。

(4)ア 総合点の高い者から、募集人員の110%に当たる者までを(Ⅰ)群とする。

まず500人を総合点の高いもの順に並べ替えます。
次に総合点上位110%、つまり1位~440位までを(Ⅰ)群とします。
この時点で441位~500位の不合格が決定します。
つまり総合点(内申点+当日点)で上位110%に入れなければ不合格です。

クラブ活動が大切だとか、生徒会や委員会活動をしておくとよいなどと思われている方が多いです。
実際にはほとんど関係ありません。
学力で上位に入れなかった人は、クラブ活動で全国大会に優勝していようが、3年連続生徒会長をやっていようが、不合格なのです。

(4)イ (Ⅰ)群において、総合点の高い者から募集人員の90%に当たる者までを合格とし、残りの者を(Ⅱ)群(ボーダーゾーン)とする。

この段階で対象になるのは、先ほど(Ⅰ)群に入った440人だけです。
440人の中から「募集人員の90%に当たる者まで合格とし」ということです。
つまり、募集人員は400人ですから、400×0.9=360人の合格が決まります。
(Ⅰ)群の残り(440-360=80人)がボーダーゾーンに入ります。

(4)ウ ボーダーゾーンの中から、自己申告書及び調査書中の活動記録/行動の記録を資料として、その高等学校のアドミッションポリシー(求める生徒像)に極めて合致する者を、優先的に合格とする。

この段階で判定されるのは、ボーダーゾーン内だけです。
つまり361位~440位の人だけです。
(4)ウの段階では、ボーダーゾーン内での総合点による順位は関係ありません。

ここで初めて「自己申告書及び調査書中の活動記録/行動の記録」が登場。
そして「
アドミッションポリシー(求める生徒像)」も初登場。
自己申告書や調査書の書式は、PDF資料の後ろの方にあります。
特に自己申告書は自分で記入するので、受験する高校のアドミッションポリシーに少しでも近づけるように、内容を考える必要があるということです。

アドミッションポリシー:
https://www.pref.osaka.lg.jp/attach/6221/00426225/R05_ap_type.pdf

クラブ活動や生徒会活動、ボランティア活動などが、もしかしたらここで生きてくるかもしれません。
逆に考えると、(4)イの段階で合格が決まっていれば、自己申告書などどうでもいいということでもあります。

さて、この段階で10人の合格が決まったとしましょう。
イで360人、ウで10人の合計370人の合格が決定しました。
残り30人です。

(4)エ ウによる合格者数が募集人員を満たさない場合は、総合点の高い者から順に募集人員を満たすよう合格者を決定する。

ここでもボーダーゾーン内だけが対象となります。
先の(4)ウで、ボーダーゾーンから10人の合格が決まっていますので、残りは70人です。
この70人を再度総合点の高い順に並べ替えます。
そして上から順に残り30人の合格者を決めます。
これで募集人員と同じ400人の合格が決定します。

学力試験のタイプ

最後に学力試験つまり当日の試験について説明します。
理科と社会は全高校統一の問題です。
しかし、英語、国語、数学は3タイプあります。
76ページ以降に高校ごとに、どのタイプを選択しているかが掲載されています。
Aタイプは簡単。Bタイプが普通。Cタイプが難しい。
と考えて対策をしておきましょう。
英語だけCで国数はBなどのパターンもありますから注意が必要です。

過去問をやる前に、自分が受験する高校が選択しているタイプを確認しておきましょう。

正直言ってCタイプは相当難しいです。
しかも時間的にかなり厳しいです。
大手塾に通っていれば、過去問対策や類題対策などをしっかりやってくれると思います。
たくさん対策を行うことによって時間配分なども身につくことでしょう。
一方で小規模塾や個人塾、家庭教師だとそのあたりの対策が不十分になる可能性があります。

そのあたりまで考えて対策を行ってください。


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元塾講師です。大阪や奈良の進学塾で講師をしていました。塾の裏側、受験対策、効率的・効果的な勉強方法など、受験生や保護者の方々のお役に立つ記事を書いていきます。

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