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セルフ兵糧攻めにまい進する日本:直面している酪農の危機等

セルフ兵糧攻めにまい進する日本:直面している酪農の危機等


政治は私たちの生活に直結しているにも関わらず、よもやすれば忘れていきそうな、感覚が麻痺して飼いならされてしまいそうになります。ここでは、そういった様々な出来事の備忘録を主としています。そして、自分の感じたことも。そう、麻痺してしまわぬように。格好悪い大人そのものになってしまわぬように。

酪農の危機、その原因が「国民の消費が減った」こと以上に重大な問題があるからだということはご存知でしょうか。

2023年1月27日の国会にて、野党よりこの件に関する指摘がありましたので、紹介します。これもわかりやすいよう、箇条書きという形態でまとめてみます。

日本共産党 小池晃議員による指摘

  • 肥料や飼料が、2年前よりも5割高等している
  • 牛乳を搾れば搾るほど赤字となる状態
  • 酪農の火が消えかねないほど深刻な危機

  • 従来の対策の延長ではなく、抜本的な支援策を
  • (日本の酪農家に)牛を減らせと言いながら、乳製品の輸入には一切手を付けてない
  • 農家の納得が得られると思うのか?

  • 肥料、飼料、原油等、価格高騰前との差額を政府の責任で補填すべきでは?
  • 補助金は牛を殺すためではなく、生かすためにこそ出すべき

牛乳を捨てさせているだけの同等の量を輸入している

「乳製品の輸入には一切手を付けていないではないか」という指摘の意味について。

まず、実は2022年12月、政府は下記のような緊急支援策を出しました。

 →酪農経営改善 緊急支援事業(農林水産業)
  乳牛を減らした場合、1頭あたり15万円を交付する(2023年3月~9月)

そう、お金は出してやるから(しかもはした金です)乳牛を殺せと言ってきているのです。

なお、本当に牛を減らしてしまった場合、後からまた元に戻そうとしても最低でも3年の年月を要するそうです。当たり前ですが、そんな簡単に復活させられるものではありませんよね。


こういった様々な事を受け、北海道の生産者団体は2023年度において、生乳の生産量を当初の目標より14万トンも減らすことを決めました。

ところが。
国は生乳に換算すると13.7万トン、つまり約14万トンものの乳製品の輸入を「最低輸入義務」だといって履行し続けています。

政府が理由として述べている「最低輸入義務」とはなんでしょうか?

最低輸入義務とは?

日本は「最低輸入義務」と表現していますが、これはいわゆるミニマム・アクセスのことです。そして、正確にいうなれば「輸入最低量(輸入数量制限)」という意味合いです。

そもそもは、高関税による事実上の輸入禁止を撤廃する目的で設けられたものです。

輸入したくないものには高関税をかければ、相手国も輸入させることを諦めるか、仮に輸入させることができたとしても、日本国内では高額となるため、売りにくくなりますよね。そういったことがないように、せめてこの「輸入量内」の分は低関税を適用しなさい、ということです。

言い換えれば「この範囲内分は輸入を開放しています」というだけであって、「必ず、最低でもその量分は輸入します!」という約束ではないのです。

自国の自給生産を守る諸外国、セルフ兵糧攻めにまい進する日本

民主主義が機能している欧米では「食糧(農業)は強力な武器」だということも理解しています。

かつて、アメリカのアール・ラウラー・バッツ農務長官はこのように語っています。(ニクソン政権・フォード政権時の農務長官)

「食糧はアメリカが持つ外交上の強力な手段です。とりわけ食糧を自給できない日本には有効です。日本に脅威を与えたいのなら、穀物の輸出を止めればいいのです。もちろん、それはあってはならないことです。しかし何か事態が悪化して、そうせざるを得なくなったら、日本はひどいことになるでしょう。日本は自国の農業だけで国民を養うことなど出来ないのですから。」

これが1974年の時の発言です。それにもかかわらず、日本は減反だの牛を殺せだのと言い、自給率を高める努力を決してしようとしません。

穀物をベースとした自給率について、2018年のデータになりますが、日本はたったの29%です。それに対し、アメリカは128%。ヨーロッパ諸国も、少ないところでも100%前後はありますし、例えばフランスだと176%もあります。

乳製品にしても、他の国は「まずは自国民を守る」ことが最優先されるので、自国の産業を犠牲にしてまで輸入している国はありません。

なにしろ、あくまでも「この枠の範囲では低関税で輸入してあげるね」というだけであって、「何が何でもフルで輸入してください」という意味ではないからです。

なぜ日本は「フル」で輸入してあげているのか?

なぜ日本は義務でもなんでもないにもかかわらず、毎年毎年フルで輸入してあげているのでしょうか?これに対しては、農林水産省がこのように説明(言い訳)しているようです。

「日本が枠を満たさなかった場合、WTO(世界貿易機関)に訴えられる可能性を恐れている。」

しかし、これは国際約束でも義務でもなんでもありません。訴えられるはずなどないですし、仮に訴えられたとしても「義務ではない」「私たちには日本国民を守る義務がある」と反論して退けられる類のものです。

小池晃議員の発言 該当箇所ラスト部分 書き起こし

この酪農関連の発言に関するラストの部分を是非知ってほしく、書き起こします。

 

牛は生きています。生きている限り搾乳を続けなければなりません。絞った生乳を泣く泣く捨てたり牛を処分せざるを得ない酪農家の苦悩がわかりますか。

補助金は牛を殺すためではなくいかすためにこそ出すべきです。

岸田総理の答弁、牛を殺す路線は変更なし?

岸田総理の答弁にあった政策としては

  • 肥料飼料の生産コストを抑制するために追加策を講じる
  • 生乳の生産抑制取り組み支援
  • 牛乳乳製品の輸出拡大の更なる支援
  • 補助金単価の引き上げ
つまり、結局は「牛を殺させる」ことを、日本国内の生産を減らさせることを、変えるつもりはありません、ということのようです。

あとがき

「超目先のごまかし」「アメリカのご機嫌取り」のためなら、そして「今この瞬間の自分が何も困っていない」から、国民を犠牲にすることもいとわない。酪農に関しても、そのような感じです。

ちなみに……輸入が途絶えたら、6,000万人の日本国民、実に半分の国民が飢え死にすると言われています。生き残る側はもちろん「自民党をはじめとした政治家」と、彼らと太いパイプを持っている「富裕層」でしょう。

こういった状態で戦争になりかねない政策に舵を切る方がどうかしていると思いませんか。

アメリカも今は同盟国のような顔をしていますが、何かがあったら日本を切り捨ててくるとは思っていた方がいいでしょう。当たり前のことですがね。




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政治的・社会的な事の備忘録。

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