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ニュージーランドのモーリス・ウィリアムソン議員のスピーチ

ニュージーランドのモーリス・ウィリアムソン議員のスピーチ


挨拶と、この「備忘録」サイトの目的と、そしてお願い (topview.jp)
↑このサイト全体の主旨や目的等を書いています(固定記事)。初めましての方はこちらもよろしくお願いします。

2013年、ニュージーランドにて同性同士の婚姻も可能となる法律が成立しました。(2013年4月17日可決、4月19日に勅許を得て成立しました)

その時のスピーチを紹介します。世界中で絶賛されたスピーチなので、見たこともある方もいるかもしれませんが、今こそ、改めて。

ユーモアも含めつつの、わかりやすく、素敵なスピーチになっています。

翻訳は、最後に紹介する動画につけられているものを参考にさせていただきました。「参考」と書きましたが、こちら、訳も自然で素敵でしたので、ほぼそのまま使わせていただいています。(少々意訳過ぎるところがあったので、そのあたりは訳し直しました)。

記事末に動画のURLを貼りますので、是非見てください。周りの議員の方の反応も素敵です。

モーリス・ウィリアムソン議員のスピーチ全文書き起こし(日本語訳)

ジェミリー議員とともにお話させていただきます。若く活気ある彼と、退屈な年寄りの私……そう、皆さんはどちらかを選ぶことになるわけです。

まず、ルイザ議員に祝福を。
(※ルイザ・ウォール議員。レズビアン。今回の法案成立を主導した議員です。2015年にパートナーと結婚しました)

この議会の数年来のいいニュースです。この法案で、現在あなたに向けられているひどい非難が減るのだから。

私の選挙区の牧師からお電話をいただいたんです。「法案が通れば、翌日からゲイによる猛攻撃が始まるぞ」と。ゲイの猛攻撃となんなのか、解釈に困り果てています。

軍隊になって私の街の高速道路から攻め込んでくるのでしょうか?はたまた、ガスとなって私の街を覆い閉じ込めるのでしょうか?

別のカトリックの司祭にも批判されました。「お前は自然の理に反するものを支持するのか」と。生涯禁欲主義(生涯独身主義)の司祭がそれをおっしゃるとは……。

まだやったことがないので詳しくないんです。(※「禁欲(独身)」のアクセントを間違えたので、言い直した後、その事に対して)

「お前は地獄の業火によって永遠に焼かれるだろう」というお手紙もいただきました。

これは間違いですね。私、物理の学位を持っているんです。私の体重や体水分率を測って、熱力学的法則で計算してみました。

地獄の業火を5,000度と仮定すれば、私はわずか2.1秒で燃え尽きます。永遠なんてとても言えないとは思いますが、いかがでしょうか?

養子縁組について反吐がでる意見もありました。私には素晴らしい養子が3人います。養子縁組の素晴らしさを知っています。(※反吐……非常に深いな、最低な、おぞましい、という意味にもなる英語)

だから、そういう意見がみっともないものと知っています。そういういじめのやり方は本当に邪悪(陰険)です。だから私は、小学生の頃に、そういういじめを怖がることはやめたんです。

それでも、反対なさる多くの方は常識的な方(穏健派)なんです。

法案が社会の構造に何をもたらすのか、真剣に心配なさっている。その懸念に敬意を表します。この法案が通ると、ご自身の家族に何が起こるか心配なさっているのです。

だからその方々のために繰り返させてください。

この法案で我々がやろうとしていることは、愛し合う二人に結婚という手段を認める。ただそれだけです。

私たちは海外に向かって核戦争を始めようとしているわけじゃないんです。農作物を全滅させるウイルスもばらまきません。

ただ、愛し合う二人に、結婚の手段を認めるだけです。

何か問題でしょうか。お金もかからないのに。

だから、なぜこの法案に反対する人がいるのかわからない。

異質なものを遠ざけたいのはわかります。いいんです。我々みんなそんなものです。

でも、反対なさる方にお約束します。決して反故にしない約束です。

明日からも太陽が昇ります。明日からもあなたの10代の娘さんは、全てを知っているかのように生意気な口をきくでしょう。あなたの住宅ローンは増えません。あなたが突然皮膚病や湿疹になることも、ベッドからヒキガエルが跳び出すこともありません。

この世界はただ続いていくだけです。

だからおおごとにするのはやめましょう。

この法案は当事者からすれば素晴らしいものですが、残りの我々からすれば変わらない人生が続くだけです。

最後に、もう一つ意見を紹介させてください。

「同性婚法案のせいで干ばつが起こった」

でも私のTwitterを見た方はご存知だと思います。今朝、パクランガの有権者には雨が降り注いでいたことを。(※モーリス議員の選挙区はパクランガ)

雨が上がったら、大きな大きな虹、ゲイ・レインボーがかかりました。

これは何かのいい知らせではないでしょうか?あなたが信じるなら、それは確かな兆候です。

締めくくりに、それでも法案を懸念なさる方々へ、聖書からの引用を。申命記です。申命記はなかなか難解なのですが、まぁそれはいいとして。旧約聖書 申命記 1章29節。

懼るるなかれ(おそるるなかれ)。

 

モーリス・ウィリアムソン議員のスピーチ全文書き起こし(原文)

Speaker, I too will be taking a split call with my colleague Jami-Lee Ross. It is sort of the young and the vibrant versus the old and the boring. And so I knew, yeah and members of the House will be forced to choose which one is which, sir.

Sir, I want to first of all congratulate Louisa Wall for this bill, and I want to say sir that the good news about the years in this Parliament is you learn to deflect all of the dreadful sort of fire and brimstone accusations that are going to happen, sir. I’ve had a reverend in my local electorate call, the gay onslaught will start the day after this bill is passed. Sir, we are really struggling to know what the gay onslaught will look like.

We don’t know if it will come down the Pakuranga Highway as a series of troops, or whether it will be a gas that flows in over the electorate and blocks us all in.

I also say I had a Catholic priest tell me that I was supporting an unnatural act. I found that quite interesting coming from someone who has taken an oath of celibacy for his whole life.

I always say celibacy, okay, we will go with celibacy. Okay, I haven’t done it, so I don’t know what it is about.

I also had a letter telling me I would burn in the fires of hell for eternity. And that was a bad mistake, because I’ve got a degree in physics. I used the thermodynamic laws of physics. I put in my body weight and my humidity and so on. I assumed the furnace to be at 5,000 degrees and I will last for just on 2.1 seconds. It’s hardly eternity, what do you think?

And some more disgusting claims about what adoption would be? Well, sir, I’ve got three fantastic adopted kids. I know how good adoption is, and I’ve found some of it just disgraceful. I found some of the bullying tactics really evil. And sir, I gave up being scared of bullies when I was at primary school.

However, a huge amount of the opposition was from moderates, from people who were concerned, who were seriously worried, what this might do to the fabric of our society. I respect their concern. I respect their worry. They were worried about what it might to do to their families and so on.

Let me repeat to them now sir, all we are doing with this bill is allowing two people who love each other to have that love recognized by way of marriage. That is all we are doing.

We are not declaring nuclear war on a foreign State. We are not bringing a virus in that could wipe out our agricultural sector for ever.

We are allowing two people who love each other to have that recognized, and I can’t see what’s wrong with that for love nor money.

So I just cannot, I cannot understand why someone would be opposed. I understand why people don’t like what it is that others do, that’s fine. We are all in that category. But I give a promise to those people who are opposed to this bill right now. I give you a watertight guaranteed promise.

The sun will still rise tomorrow.

Your teenage daughter will still argue back with you as if she knows everything. Your mortgage will not grow. You will not have skin diseases or rashes, or toads in your bed, sir.

The world will just carry on. So don’t make this into a big deal. This is fantastic for the people it affects, but for the rest of us, life will go on.

And finally, can I say sir, one of the messages I had was that this bill was the cause of our drought. This bill was the cause of our drought. Well, if any of you follow my Twitter account, you will see that in the Pakuranga electorate this morning it was pouring with rain.

We had the most enormous big gay rainbow across my electorate. It has to be a sign, sir. It has to be a sign. If you are a believer, it’s certainly a sign.

And can I finish, for all those who are concerned about this, with a quote from the Bible. It’s Deuteronomy. I thought Deuteronomy was a cat out of catch, but never mind. It’s Deuteronomy Chapter 1 Verse 29

“Be ye not afraid.”

ニュージーランドの法案の正式名

日本では「同性婚」という名前を使っての法律名として紹介されたりしています。ですが、ニュージーランドでの実際の法律名には「同性愛」「同性婚」という名称は入っていないみたいですね。正式名称は

「結婚(結婚の定義)修正法」(Marriage (Definition of Marriage Amendmend 2013)

です。
結婚の定義を「一人の男性と一人の女性の間のこと」から「性別、性的指向、性自認を問わず2人の人間の間の事」と修正した法案、ということです。「同性婚も別途認めるよ」ではないところがまたいいですね。

モーリス議員の考える「政治家の責務」とは?

後日の、日本からのインタビューに応じている記事が見つかりました。そして、まさに「日本の政治家」にわかって欲しいことを話していましたので、一部紹介します。

政治家の責務とは、社会全体のための決断を重ねていくことです。「世論の51%がこう考えているから、自分もこうしよう」と動くことではありません。

だから日本の議員には、政治家の仕事はマジョリティの代弁者になることではない。正しいことをすることだと伝えたいです。

インタビューの全文はこちら。→全文を読む(別ウィンドウ)

まぁ、日本の政治家は「マジョリティの代弁者になることが正しいこと」だと思っていそうなので、響かないかもしれませんが……。

あとがき

動画はこちらです↓
同性婚を認める法案の賞賛されたスピーチ - YouTube

モーリス議員は後日の日本向けインタビューにて、こうも発していました。「ありえないことを恐れるバカな政治家のせいで今回は実現できなかったとしても、変化は必ず起きます」。

また、手前みそになりますが、婚姻に関する憲法(第24条)についての解説記事を書いていますので、こちらも読んでいただけたら嬉しいです。自民党の改憲草案の中身についても触れています。

【日本国憲法第24条の解説】当事者の合意のみで結婚できるし、お互いに同じ権利を持っている | そうだ、憲法を知ろう (nannokaisha.com)


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