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辛口英語教育論 (17)

辛口英語教育論 (17)


さて、16日前 <https://topview.jp/t62ce434d521e2-4642> から、

This is a pen.:「こんな英文、現実にはまず口にしないだろう!」と、したり顔で烙印を押される典型的な文

をトピックにして、

この種の発言って大方の場合ただの「受け売り」になっていないだろうか?実はあまりにも一方的で一面的な物言いではないだろうか?

という問題提起をした上で、この問題をいくつかの要因に分けて考えてみたい、としました。そして、要因分析として、

 <想像力><有用性><文法><発音>

といった要因を順次取り上げていきます。

と宣言しました。


5日前から<発音>という要因に関して考察しています。

<発音> (6)

まずそもそも、5日前 <https://topview.jp/t62dc16696e263-4833> 図示したように、
文の<発音上の構造>と<文の構造>とは往々にして<ズレ>ます。

また、筆者の奉ずる「ひな形方式」という枠組の下での解析動画も紹介しました。
<https://drive.google.com/file/d/1US6tt-FL6s1eb7xuq-HUtXGe5UbXWzZg/view?usp=sharing>

その際、以下の6英文はそれぞれ<別個の>文である、という極めて重要な点にも触れました。

(a) This is a ball-point pen.
(b) Is this a ball-point pen?
(c) This isn’t a ball-point pen.
(d) Isn’t this a ball-point pen?
(e) This is not a ball-point pen.
(f) Is this not a ball-point pen?

繰り返しになりますが、(b)―(f) は (a)(の基底にある)文が基になって<派生>される訳では「ない」のです。

(a) の文は「これはボールペンだ」と思っている人の発する文なのに対して、
(f) の文はそもそも「これがボールペンではない」のかどうかわからない人が発する文で、全然別物なのですから、
一方から他方を導くー<派生する>ーという発想自体が、根本的に間違った前提に立っている―即ち、直感的におかしい―訳です。

このような<派生方式>(←学校文法も生成文法も残念ながら依拠しちゃってます)が<直感的におかしい>という点は、
次の (α)、(β) ように理論的には述べ直すことができます。

(a) This is a ball-point pen.
  ↓↑: (α)、(β) の問題を抱え込む
(f) Is this not a ball-point pen?

(α)「not」が果たして<挿入>されたのか、はたまた<削除>されたのか、純理論的には決め手がない。(獲得上も (a) が (f) に<絶えず先行する>とは言えません。)
  また、「is」が前置されたのか「this」が後置されたのか、純理論的には決め手がない。
  (=「不確定性の問題(indeterminacy problem)」)
(β)「構造変更操作」(←「not」<挿入>方式と見做しても「not」<削除>方式と見做しても、また、「is」前置方式と見做したとしても「this」後置方式と見做したとしても)は、「ad hoc な(=その場限りの、取ってつけたような)操作」です。
  (「ひな形方式」では「構造変更操作」は「一切不要」と見做し、これに依拠したりしません。
   「構造変更操作」などに依拠せず、そもそも「発話プラン」の段階で<+Neg(否定)を選択し、かつ「not」を選択する>のか否か決めてから発話するのだし、かつ、要素(「is」「this」)の拾い方の順序の違い>と見做す訳です。動画参照)

なお、(d) Isn’t this a ball-point pen? という英文はわかるが、(f) Is this not a ball-point pen? という英文は見たことがない、という感想をもつ方も多いかと思いますが、(f) も((d) より頻度は落ちますが)立派な英文です。敢えて細かなニュアンス上の違いを言えば、(f) のように「not」が独立している場合の方が(他の条件が同じ場合)<否定>の意味合いが相対的に強くなります。

では、明日以降もどうぞお楽しみに~。

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