魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-15 ☸ ハルカは迷子
魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-15 ☸ ハルカは迷子
魔法外科医は癒やし系少年~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。
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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-15 ☸ ハルカは迷子
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「あれ?ダリア、いないや」
今日は週の二日目、ロビはダリアの部屋で寝ていた。最近は、夕食後、ハルカに大陸公用語を教え、その後、ハルカの部屋で事を致し、その後、ダリアの部屋で事を致すという生活が続いている。
(この生活サイクルも、あと三週間ほどで終わると思うと、なんだか名残惜しいな)
「ロビ様、よろしいでしょうか?」
(あ、ハルカだ)
「どうしてここがわかったの?」
「ダリアに聞く、しました」
(召使い用語は上手になったけど、大陸公用語はもうちょっと頑張らないとだな)
「ねえ、ハルカ、僕が、ダリアの部屋にいるのって、どんな、気持ち?」
ロビはハルカにわかるよう、ゆっくり、区切りをつけながら話をした。
<複雑な気分です。この世界のハルカは全く平気です。でも、異世界のハルカは独り占めしたいと思っています>
<そう、ごめんね、それはこの世界に慣れてもらうしかないかな>
<大丈夫です。大切にしてもらっているだけで十分です>
「もうすぐ朝食の準備ができますので、ダイニングに来てください」
「うん、わかったよ」
ロビは自分の部屋に戻って王立学院の制服に着替えると、ダイニングに入った。
「みんな、おはよう」
「ロビ様、おはようございます」
「あ、今日も美味しそうだね」
テーブルには、パン、あっさりとしたスープ、サラダ、そして今日は魔石鳥類の卵を焼いたもの、そしてウインナーが並んでいた。肉にはトマトとニンニクを煮込んだソースがかかっている。
「あ、これ、ブラッドウインナーだね」
「左様です。昨日、レイビグ商会からサービス品として届けてくださいました」
「そうだね。これは処理した直後しか作れないから、レイビグ商会ならではの商品だね」
<ロビ様、なんかふわふわした触感とポリポリした触感が合わさって不思議な味です>
<これはボアルの血と内臓を腸に詰めて茹でたものだよ。レイビグ商会のブラッドウインナーはウリシア王国でも一番美味しいんだ>
<ロビ様、なんだか食欲が無くなってきました>
<あはは。でも、異世界でもきっとあると思うよ>
<そうですか>
「ちょっと話があるんだけど、いいかな」
ロビは朝食が終わりかけた頃を見計らって話し始めた。
「今日、ハルカは一人で冒険者ギルドに行ってもらう。依頼を受けてくるだけだからすぐに戻ってくるけど、ダリアと一緒に馬屋に馬を借りに行ってほしい。次からハルカが一人で馬を借りれるようにね」
「わかりました」
「ロビ様、依頼、何ですか?」
「後で説明するからね」
「はい」
<ハルカ、冒険者ギルドの依頼板に、『ソメイ』が指名依頼されているものがあるはず。たぶん、文字がたくさん書かれている。それを引き受けてきてほしい>
<引き受けたらどうするのですか?>
<そのまま帰ってきて僕に渡して。それだけなら大丈夫?>
<はい、できます>
<わからなかったら視覚共有するからね>
<ありがとうございます>
<あと、道中は襲撃に気を付けて。危険を感じたら
<わかりました>
「じゃあ、ハルカ、よろしくね」
「わかりました」
「ロビ様」
ダリアがロビに話しかけた。
「昨日からククの姿を見ませんが大丈夫でしょうか?」
「うん、ククとココは、一度、食事をしたら一週間は持つから心配ないよ」
「そうですね」
「それにダリア、そこにいるのはククだよ」
「え、そうなんですか?」
「そう、いなくなったのはココ」
「参りました」
「じゃあ、学院に行く準備をするね」
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(褒めるのも考えものだな。小遣い稼ぎにならないや)
今日は王立学院中等部魔学科の
<ロビ様、視覚共有していただけますか?>
<あ、ハルカ、うん、ああ、それ、その依頼>
<なんか、大金貨五枚って書いてあるんですけど>
(シエラ、随分と奮発してくれたな。さすが上級貴族)
<ハルカ、その依頼を受けたら依頼書を持って帰宅して>
<わかりました>
(前回、魔力供給をお願いされた生徒もちゃんと
今日は魔学科だけの講義なので生徒は十五人である。闘技練習場で順番に五つの的に向かって
(お、エイナだ)
エイナは
(あれ?エイナ、あんなに魔力、持っていたっけ?そういえば、朝からちょっと苦しそうな感じだったような)
「『
「すごいですね、エイナ、二つの的に当たりました。よく練習したんですね」
「はい、ティラーナ教授、毎日、屋敷でがんばってきました」
(ふーん、なかなかの作戦。でもおかしいな。こんな短期間であんなに魔力保持能力が上がるわけない……セバスさんに魔力供給してもらってから来たのかな)
<ロビ様、道に迷いました。行きの景色は覚えていたのですが、帰りの景色は全く思い出せません>
<大丈夫、今、ララを飛ばす。空から見えるところに移動して数秒間隔で
(そういえばハルカ、帰りはいつもワインで酔いつぶれて寝ていたもんな)
<ララ、ハルカを探して。屋敷に戻ってくる道のどこか。数秒間隔で魔力が出ている>
ナイトホークは狩りをするための魔能力として、魔力を見ることができる。
(『視覚共有』)
(おお、上空からの景色はいつ見てもいいな。えっと、あ、今、光った。あそこだ。街道、間違えている。ちょっと戻らないといけないな)
ナイトホークの目には魔力は見えているが、視覚共有をしてもヒト族には魔力は見えない。ロビは魔力を見ることができるが、それでもナイトホークの目を通しては魔力を見ることができなかった。
<じゃあ、ララの後ろに付いて行って。ハルカがわかるところまで誘導する>
<申し訳ありません>
<とりあえず、その道を元に戻って。馬なら十分で戻れるよ>
その後、ロビはララを少し移動させては木にとまらせ、ハルカを誘導し、無事、街道を間違えた場所まで戻らせた。
(今度はハルカと視覚共有して……)
<ハルカ、そのまま馬の向きを後ろをに変えて。そうそう。その分かれ道は左ね>
<わかりました。今度、分かれ道があったら、ロビ様に聞きます>
<そうだね。でも、その道をまっすぐ進んだらもう街に出るから大丈夫だと思うよ>
<ありがとうございます。それでは行きます>
<ララ、ありがとう、また冒険者ギルドに戻って>
「ロビ、私、がんばるから」
「うん、メイア、がんばってね」
メイアはロビの両手を取ると、手で握り自分のおでこに当てた。
「じゃあ、行ってくるね」
メイアは
(おお、メイア、全力だ)
「『
(お、メイア、頑張ったな)
メイアはロビのところまでやってきた。
「ねえ、ロビ、今の見てくれた?」
「うん、メイア、すごいね。
「さすがロビ、よくわかってる」
「すごく頑張ったんだね」
「え?そんなこと無いわよ。ちょっと練習しただけよ」
「メイア、嘘はいけません。とても頑張っていました。お兄様、メイアにオトイク王国流の最高賞賛をしてあげてください」
「ここではちょっと……帰りにね」
「わかりました」
「カサリ、オトイク王国流の最高賞賛ってどんなもの?」
「あー、あー、あー」
「メイア、糸を引くキスに加えて、抱きしめながら股間を摩ります」
(カサリ、それは言っちゃダメだってば……)
「カサリ、オトイク王国の最高賞賛は、とても心に素直なものなのね。興味深いわ」
(あら、メイア、なんか普通に返事している。カサリと王立学院寮でカサリと話をしているうちに、だんだんオトイク王国のことがわかってきたのかな)
「ティラーナ教授、メイアの試験結果について疑念があります」
「エイナ=オリシス、発言を許可します」
「メイアは不正行為をしました。試験前にロビに魔力供給をしてもらっていました」
「僕たちも見ました」
エイナの取り巻き達も口をそろえて言い始めた。
(セバスさんに魔力供給してもらってきたの、エイナだろう)
「メイア、本当ですか?」
「そんなことありません。不正なんてしていませんし、魔力供給のこと自体、知りません」
「そう、じゃあロビは?」
「していません」
「ロビ、お前、さっきメイアに手を握られていただろう。あの時、魔力供給したに違いない」
(めんどうだな、しっかり説明すると、小遣い稼ぎがばれるし)
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