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歯科医院の滅菌消毒について①:クラスN?クラスB?それってなに?

歯科医院の滅菌消毒について①:クラスN?クラスB?それってなに?


みなさんは歯科を受診する際、なにがポイントになりますか?

様々なポイントがあると思いますが、滅菌消毒体制を気にする方は少なくないのではないでしょうか。

コロナウィルスのパンデミックをきっかけに歯科を受診される患者さんのクリニックにおける滅菌、消毒体制について関心が高まったのを感じています。
以前ハンドピーズの使い回し問題がメディアで話題になったことがあり、もとより歯科でも感染対策は大きな課題となっていました。

特に大型機材が着目されることが多くClassB、ClassSやClassNといった言葉を目にすることも多いのではないでしょうか。

クラスと聞いてしまうとなんとなくランク付けのように感じますね
そのため、『このクラスごとに菌を倒せる量が異なる』
なんとなくそんな風に思ってしまいそうです。

なんとなくクラスSが一番凄そうに聞こえてしまいますね笑
歯科医療従事者でも経験年数の少ない方はそういう認識の方もいるようです。


しかし、これには誤解があります。
今回はこの滅菌器のClass分類について解説します。

これはENという欧州の統一規格の一つEN13060の中での分類です。
身の回りやサービスの中にも、JISやISOなどの規格を見ることがありますが、これの欧州版です。

EN13060は小型蒸気滅菌機を対象とした蒸気滅菌法の規格で、歯科に特化したものではありません。
機材内部への蒸気到達率による分類です。
そのため細菌やウィルスを殺滅できる量そのものの差と単純に捉えてしまうと誤解があるようです。

ClassB、ClassS、ClassN は各々
B:Big
S:Specific
N:Naked
の略になります

ClassNは
文字通り未包装の状態では滅菌が可能とされています※滅菌バッグに入れたものは滅菌できません
ミラーやピンセットなど比較的シンプルな形状で中空構造でないものは滅菌できます。
中空構造のバキュームチップやタービンなどの機材は構造が複雑であり蒸気が全体へ到達することが難しいとされています

ClassBは
複雑な構造物であっても高熱、高圧蒸気の到達率が最も高い機材に位置付けられています。
一般の歯科医院で扱う機器は構造上ほぼ全てのものが滅菌可能だと思われます。


次に蒸気到達率が高いのは
ClassSです。
Specific(特定の)とされておりますが歯科ではハンドピースに特化し滅菌から潤滑油の注入まで自動で管理できる製品
が販売されております。
滅菌だけを考えるとClassBを用いることでハンドピースの滅菌も可能です。

しかし
1:ハンドピースについてはClassSでも十分な蒸気の到達率であること
2:自動注油が可能なため業務の効率化を図ることが可能
であることから導入医院も多いと思われます 

クラスNは急速滅菌には有効で、器材を選定し適切に使用すれば急ぎで必要になった時などは短時間で十分に滅菌された器具を供給できるメリットがあります

これらの点を踏まえますと、どれが一番という考え方ではなく、器具について理解し適切に使い分けることが重要ということがわかります

では滅菌器があって上手く使い分けさえしていれば問題ないのでしょうか?
次回はこれについて掲載したいと思います


最後まで読んでくださりありがとうございました



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