元塾講師が教える 【事前相談】めちゃくちゃ詳しく解説
元塾講師が教える 【事前相談】めちゃくちゃ詳しく解説
私は現在塾関係者ではありません。
ですから、当記事を読んでも、あなたに対して営業をかけたり、教材を売りつけたりはありませんので、ご安心を!
この記事に書いていることは、あくまでも私が塾講師をしていた時の経験を元にしています。
現在は何らかの変化があるかもしれませんので、各自確認をしてください。
また本記事の記載内容について、信じる信じないを始め、どう行動するかは皆さんが決めてください。
その結果について発生するあらゆる事態については一切の責任は持ちません。
Twitterをはじめとした、各種SNSでのリンクは、ご自由にしていただいて結構です。
目次
ここから本題です。
事前相談というのがあるのは、大阪だけなのでしょうか?
私は大阪生まれの大阪育ちですから、ずっと大阪だけだと思っていました。
インターネットで調べてみると、どうやら、他の都道府県でも大なり小なり実施されているようですね。
一部奈良県の私立高校にも該当します。
私は奈良県でも学習塾に勤務していていました。
ですから、奈良県の実態を知っています。
ネットで他の記事を見ていると、どうやら日本全国のいろいろなところで行われているようです。
仕組みは都道府県によって異なるようです。
この記事は、大阪の私立高校における事前相談について詳しく書いています。
もちろん、大阪以外の方にも参考になる部分はあると思います。
是非最後までお読みください。
大阪の場合は、私立高校の合否は2ヶ月前にはほぼ決まっています。
このことは公然の秘密です。
中学校と高校、塾と高校の間で受験の2ヶ月前に学習相談(または事前相談)でだいたい決まるのです。
ここから先の内容は大阪府の私立高校受験にだけ適用できると考えてください。
他の都道府県の方にも、参考になる部分は多いと思います。
※ なお、大阪の公立高校受験には一切関係ありません。
1.流れ:
大阪の学習塾では11月頃から、生徒の成績を集めはじめます。
集める成績は
・内申点(通知表の点数)
・定期テスト
・実力テスト
・模試(主に五ツ木模試)
の結果です。
学校から渡される個票(成績が掲載されたもの)には
・内申点
・定期テスト
・実力テスト
の成績が掲載されていますので、必ずコピーを取っておきましょう。
また模試の結果もいつでもコピーできるように保存しておきましょう。
では、いったい何のために集めるのでしょうか?
それは、私立高校に事前相談をするためです。
ここから事前相談の実態について書いていきます。
事前相談とは:
塾→私立高校、中学校→私立高校の経路で、事前に生徒の成績を渡し、合格の可能性を聞くことを事前相談と言います。
まず、塾での事前相談の流れを説明しましょう。
塾側から生徒の志望高校に生徒の成績を提出します。
提出方法は、持参、FAX、メールなど様々です。
先ほど記載した各種成績情報を塾から高校に送るのです。
提出後1日程度で、高校から合格の可能性が示唆される内容が返答されます。
この一連の流れを事前相談とか教育相談、あるいは学習相談と言います。
本記事では事前相談と記載します。
こんなイメージです。
1 塾 →→生徒の成績表→→ 高校
2 高校 →→合格可能性→→ 塾
先ほども書きましたが、学校の個票と模試結果はコピーを取得しておきましょう。
少し話がそれますが……
事前相談の前に私立高校→塾向けの「事前相談説明会」が開催される場合があります。
この説明会において「いつ」「どんな形で」事前相談が行われるかを塾側が把握します。
そして、高校ごとに塾側の担当者を決めていきます。
場合によっては、事前相談説明会において次のようなことが開示されることがあります。
- どのテストの成績を重点的に見るか
- どの程度の点数が必要か
さて、話を事前相談に戻します。
先ほどの流れの復習です。
まず塾側から私立高校に向けて受験予定者の資料を提出。
すると、私立高校からは大体三段階で返事が返ってくる。
高校からの返事はおおむね次の3種類です。
- 確約、当日次第、難しい
- ABC
- 〇△×
事前相談の実施順序は次のとおりです。
- 塾が先で12月前半
- 中学校はその後。12月中旬から下旬、1月
中学側はちょうど2学期の最後の進路面談(教師、親、子の三者面談)の時期に合わせて結果を入手できるスケジュールです。
3学期にずれ込むことももちろんあります。
ここまでが事前相談の概要と大きな流れです。
次に、事前相談の結果に関して説明します。
2.結果と受験:
ほとんどの私立高校には〇〇コースや△△科といったように、コースが3段階ほどあります。
いろいろな名前があって、パッと見ではどのコースが成績上位なのかわかりにくい。
ぶっちゃけると上位、普通、下位のような構成です。
模試の偏差値一覧などで確認したり、ネットで調べればすぐにわかります。
例えばA君が□□高校の上位コースを志望しているとします。
塾がA君の成績一覧を□□高校に提出します。
後日高校側から返事があります。
「上位コースは当日次第。普通コースなら確約」って感じですね。
こういう場合、塾側は上位コースで受験させます。
だって進学実績が命ですから!!
仮に当日の出来が良ければ上位コースで合格!
ということも考えられます。
想定通りの点数でも普通クラスでは確約が取れているわけですから保険もあるわけですね。
こんな感じで、塾と私立高校・中学校と私立高校の間で事前に合格可能性を握り合ってしまうんです。
では、私立高校側は、どの成績を重視しているのでしょうか。
気になる…ですよね。
3.私立高校が重視するテストは:
私立高校側がもっとも重視するテスト。
それは、10月と11月の中学校内の実力テストです。
ほぼすべての高校が同じです。
といっても中学校によって学力レベルにばらつきがあります。
A中学校は優秀生が多く、B中学校は少ないなどの偏りです。
地域によっても大きな差がありますよね。
大阪だと北摂地域の学力が高いと、昔から言われています。
では、高校側は、中学校ごとのレベル差をどのように考えるのでしょうか。
種明かしをすると、私立高校側は大阪の各中学校のデータを事前に入手しています。
それを元に判定をしていくのです。
ですから、A中学校で平均点より10点上と、B中学校で平均点より10点上は「価値が違う」と判断されるわけですね。
自分の通っている中学校が大阪全体で、どの程度の位置にあるのかを知っておくことは大切です。
次に事前相談について、塾をうまく利用する方法を見ていきましょう。
4.事前相談に関する塾の使い方:
先ほど、中学校ごとのレベル差について話しました。
ただ、自分の中学校の位置付けは、なかなかわからないもの。
でが、どうすればいいのでしょうか?
そう!そういう時にこそ塾を利用するといいです。
塾では全中学校の実力テストの平均点、模試などの結果を保持しています。
通塾生からテストのたびに点数表を回収するのは、このためです。
当然それらのデータから、各中学校の序列表も保持しています。
こういったデータは集団形式の大手塾の方がかなり充実しています。
個別塾に比べると生徒数が圧倒的に多いからです。
しかも大阪全体に展開している進学塾のデータはかなり信用できます。
ここで気になるのは、事前相談において、業者の模試の結果はどのように扱われるかですね。
例えば、中学校の実力テストの結果はいまいちだが、模試だとかなり良い!って場合もあります。
答え。
業者が実施する模試はあまり重視されません。
あくまで中学校の実力テスト重視です。
各塾で実施している、いわゆる「塾内模試」は判定に使用しない高校が多いです。
五ツ木模試と進研V模試なら、参考数値として扱ってくれる高校もあります
高校側が塾内模試を判定に使わない理由:
「塾内模試」は、受験者の大半が同じ塾に所属しています。
例えば「〇〇塾公開模試」と名前がついていても、受験者の9割ほどが塾生です。
つまり偏差値操作がいくらでもできるわけですね。
だから高校は信用してくれないし、事前相談の資料として採用してくれないのです。
実際に偏差値操作はしていると思いますよ。(証拠はないですが)
塾内模試の偏差値は受験が近づくにつれて、ゲタをはかされています。
意図は、少しでも偏差値の高い高校を受験させるため。
講師→生徒&保護者への説得材料にするためです。
塾は営利企業ですからね、進学実績をうまくコントロールしているわけです。
「ほら、最後の2回の模試でこんなに成績が伸びていますよ」
「だったら、B高校よりA高校を受験しましょう」
ってな具合です。
実際、私が勤めていた塾は、入試直前の塾内模試で多くの生徒の偏差値が不自然に上がっていました。
そして、上に書いたようなトークを生徒や保護者に対して、頻繁に行っていたのです。
塾が開催している模試は、あくまでもその塾の進学実績を重視して作られているわけです。
そりゃあ、高校側は信用しないですよね。
ここまでで塾→私立高校の事前相談については、だいたい理解できたと思います
次に、中学校→私立高校の場合を見ていきましょう。
5.中学校側の対応:
中学校→私立高校の場合も、基本的には同じ流れです。
提出する資料も同じ、返ってくる答えも同じなのです。
ですから、中学校の三者面談での合格可能性は、ほぼ正確です。
「◇◇高校は難しい」と言われたら、まず合格は無理だと考えましょう。
前述したように高校側は確約を伝え、その人数でおよその合格者数を算出しています。
つまり高校側は事前相談の結果から、合格枠のほとんどを確保してしまっているのです。
その結果「◇◇高校は難しい」なのですから、ほぼ無理だと考えましょう。
もし残りの期間猛勉強して成績を上げても、中学校ー高校間または高校ー塾間での確約を反古にはできません。
ですから、高校側から×の返答があった場合、中学校の先生は、保護者と生徒本人を「受験しないよう」に説得します。
当然、中学校の先生は「もう1ランク下げた高校を受けてください」と説得してきます。
無理に受験しても合格の可能性はかなり低い。
そして、「難しい」と言われたのに無理に受験して不合格になっても、中学校の先生は困るだけ。
もちろん生徒や保護者も困ります。
私立高校を不合格となった場合は、公立一発勝負にでなければなりません。
公立も不合格になれば、私立の二次募集や公立の二次募集しか残っていないのです。
こういった二次募集をする高校はなんらかの理由で、不人気で定員割れしているわけです。
そんな高校に行きたいでしょうか。
もちろん高校側との信頼関係にヒビが入らないようにということもあります。
そういう大人の事情も関係していて、受験はさせてもらえないことが多いです。
当然、強硬突破で合格できないわけではありません。
志望校を決めるのはあくまで受験生本人。
しかし結論を言うと、中学校側に大人しく従うのがいいと思います。
なぜなら、自分一人だけの問題ではないからです。
来年以降に同じ高校を受験する後輩への影響を考えなければならないということをお忘れなく。
6.×で強行受験した場合は:
これ、気になりますよね。
12月からスパートをかけて、成績も実力も相当伸びた!
という場合、どうしても上位高校を受験したくなるもの。
しかし、実際は事前相談の結果が重要視されます。
前述したように、中学校と高校の関係性、そして後輩への配慮のため、×の場合はおとなしく受験を回避するのが良いです。
実際、当日の点数が少しぐらい良くても合格できなかったということをよく聞きました。
なぜなら高校側は「〇(確約)」を出した生徒を優先するからです。
つまり受験当日の結果より、事前相談の結果を優先するわけですね。
「×」で強行受験した場合、「〇」をもらっている生徒よりもかなり上の点数を獲得できなければ合格できないでしょう。
つまり、事前相談後にそれだけ実力を上げなければならないということ。
そして、それだけのリスクを受容しているということですよね。
私立を公立の滑り止めと考える場合には、×での強行受験はお勧めしません。
仮に各教科で5点以上多く点数を取れると確信するのであれば、受ける意味はあるかもしれません。
しかし、それ以下、つまり5教科合計で20点程度伸びただけだと、不合格の場合が多いのが実際です。
7.複数の高校に事前相談していいか:
これはよく受けた質問です。
答えはYes!
複数の高校に事前相談しても構いません。
理由は次のとおりです。
- 高校間で情報共有している可能性はないと思われます。
- 塾→高校場合、事前相談時には、氏名をイニシャル記載します。
高校によっては、実名を聞いてくる場合もあります。
それは、高校側が「〇」を提示した生徒です。
「〇」を出したのに、間違って不合格にしないようにするための措置です。
8.事前相談を行わない高校の見分け方:
私立高校の中には事前相談を実施していない学校もあります。
見分け方はいくつかあります。
ただし、どれも完全には信用しないでください。
一番いいのは、塾でズバリ「事前相談ありますか」と聞くことです。
では事前相談を実施しているかどうかを自分で見分ける方法はないモノでしょうか。
目安としては次のような特徴を持つ高校は事前相談なしの場合が多いと考えてください。
1.偏差値がトップクラスの高校の一部
2.中高一貫で募集人数が少ない高校の一部
3.塾が公開している前年の合格率が高くない高校
90%超なら、事前相談がほぼパーフェクトだということ
あくまで目安ですよ。
9.〇をもらったら、塾をやめてもいいのか?:
私が塾関係の仕事をしていた時、保護者や生徒から
「私立高校から〇(確約)をもらったら、塾はやめてもいいのか?」
という質問をよく受けました。
答えは簡単です。
「大学へ行かないならやめてもよい」です。
これは、たとえ私立専願だとしても言えることです。
「〇」をもらえば、よほどのことがない限り不合格になることはありません。
不合格にすると高校と中学、高校と塾の信頼関係が崩壊するからです。
実際に「〇をもらったのに不合格」という例は聞いたことがありません。
仮に「〇」なのに不合格にしたら「あの高校の事前相談は信用できない」となります。
中学側、塾側からそっぽを向かれる可能性すらあります。
そうなってしまうと次年度以降の受験者、入学者への影響は確実です。
私立高校は定員割れすれば経営に影響が出ますよね。
そんなリスクを冒すことはあまり考えられません。
高校は大学への通過点でもあります。
入学後も勉強を続けるのは当然のことです。
もし「〇」をもらって、油断から数ヶ月勉強しなければ、4月の新学期から躓くことになりかねません。
ほとんどの私立高校は、大学からの指定校推薦枠や関連大学へ推薦枠のルートを抱えています。
これらを勝ち取るには1年生の1学期から良い成績を取り続ける必要があるのです。
つまり、最初で躓くわけにはいかないわけですね。
指定校推薦や関連大学への推薦枠は、日ごろの成績を1年次から全部見るのが普通です。
ですから、ひと時も手を抜けないということになります。
たとえ国公立大学や私立大学への通常受験での合格を考えているとしても同じです。
数ヶ月のさぼりがその後の学力に与える影響は無視できるものではありません。
結論。
大学進学を考えるならば、受験直前まで塾は続けるのが良いといえます。
また、私立専願ではない場合は、私立受験後に公立受験があります。
公立は私立のような事前相談は存在しません。
内申点と当日試験の点数だけでの勝負です。
第一志望が公立の場合は、「〇」が出たから塾をやめるというのは考えられないでしょう。
10.現在中1、中2の人へ:
事前相談が来年以降も行われるとします。
当然、ターゲットは3年次の10月、11月の実力テストです。
そこから逆算して行動しなければなりません。
通常3年生の夏休みでクラブ活動を引退することが多いと思います。
実は、引退してから頑張るという論法は通用しません。
実力テストは正に実力を見るためのものです。
つまり3年の夏休みにとことん自分を追い込まなければならないわけです。
理科や社会は単元のヤマをはることも可能です。
しかし、英語と数学は1年生からの積み重ねが非常に大切な教科です。
夏休みにいくら頑張ったとしても実力が一気に伸びるということは考えにくいです。
できるだけ早めに手を打って、中3の夏休みは総復習に充てられるようにしておきましょう。
11.中学受験はどうなのか:
中学受験の場合も事前相談をやってくれるところがたくさんあります。
どの学校がやっているのか、何を基準にするのかは塾に聞いてみてください。
中学受験の場合には、高校受験と少し異なる判断基準もあります。
たとえば、オープンキャンパス(学校説明会)にいつからきてくれているのか。
などです。
小学校5年生の段階から毎回参加していたら、少しですが有利です。
最低でも小学校6年生になってからのオープンキャンパスについては、第一志望校には必ず参加しておきましょう。
また、オープンキャンパス当日に過去問での模試を実施する中学もあります。
その成績が事前相談に使われる場合もあるのです。
名前を売って、成績を売って、「この中学にどうしても入りたい」ということをアピールしておくとよいでしょう。
12.最後に:
他の都道府県ではどうなのでしょうかね。
奈良の私立高校にはあります。
中学、高校、塾、異口同音に「ない」と言い切ると思いますけど。
実際にはやっています。
また、奈良県の中学生の多くは大阪の私立高校も受験すると思います。
奈良から大阪の私立高校を受験する場合は、事前相談は必須です。
必ず塾に相談してみてください。
そこで「やっていない」と言われたら、仕方ありません。
実際には裏でやってくれています。(実際私はやっていました)
塾側の進路指導を信じましょう。
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