魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-07 ☸ セバスの高揚
魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-07 ☸ セバスの高揚
魔法外科医の少年は癒し系~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。
➡TOPVIEW内記事目次リンク
魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-07 ☸ セバスの高揚
➖ ➖ ➖ ✡️ ✡️ ✡️ ➖ ➖ ➖
遠くに見える本宅のドアが開いた。ロビは顔を上げた。ロビはちらっとハルカを見た。ハルカは下を向いたままだ。
やってきたのはエイナとセバスだった。まだ、日が昇ってからそれほど時間は経っていなかったたので、朝食前だろう。ロビは立ち上がった。
「ロビ、昨夜はどうだった?どうやらかみ殺されなかったようだな」
ハルカは、部屋の隅で昨日までと同じ
「おはよう。あまり快適とは言えないね。そう言えば、ネネはいつオリシス家に来たの?」
「確か……三年前だ。なんだ、おまえ興味があるのか?」
「うん、この獣人、売ってくれないかな?」
「ふーむ、それは父上に聞いてみないと……」
「次期
エイナは腕を組んで少し考えた。やはり『次期当主様』という言葉に弱いようである。
「じゃあ、こうしよう。今からセバスが
「ちょ、ちょっと待って、なんでエイナじゃないの?」
「うるさい、お前にあれこれ言われる筋合いはない」
「今、エイナ様が魔力を使うと、本日の授業に影響がありますので」
「セバス、お前も黙ってろ!」
「失礼致しました」
(今日の授業って魔学の授業のことかな。何か実技とかあったっけ?……あれ?『セバス』って……)
「あの、もしかしてセバス=クロティス元魔導師ですか?」
「その通りです。ロビ殿に憶えていていただけているとは光栄です。その節は、クルーガ様には大変お世話になりました」
セバスは一礼した後、当時のことを思い出しているのか、目を閉じてしばらく黙っていた。
十九年前、王国内で内乱があり、その時にセバスは大きな魔法を発動させて事態を収束させた。しかし、肉体の許容能力を超える魔法を発動したため魔力に耐えられず、瀕死の重傷を負った。応急手当てのためにその場に居合わせたクルーガ家の面々に応急手当てをしてもらい、一命を取り留めたのだ。
この内乱の時に、ロビの父は妻を失い放浪の旅に出てしまった。その後、数年間はロビの叔父や叔母が交代で手伝いに来て、弟子たちによって医療活動を継続していた。
ロビの父がクルーガ家に戻ってきたのは、ちょうどクルーガ家の長男が王立学院中等部を卒業した年で、長男はクルーガ医院で執刀するようになり、その成長ぶりに刺激されたのか、ロビの父も再び魔法外科医として医療に従事し始めた。
「セバスさん、それに免じて手を抜いてくれるってことは、無い……ですよね?」
「はい、私は今、オリシス家に仕えておりますので、エイナ様のご命令に従わねばなりません」
(まずいな、セバスさんが
「いえいえ、セバスさんの記録を読んで、とても憧れています」
ロビは、ハルカに最悪の事態が起らないようにする方法を考えていた。
(セバスさんが魔法を発動することは変えられない。僕が別の魔法を使えば、エイナは怒って別の罰を考えるだろう。どうすれば……)
➖ ➖ ➖ ✡️ ✡️ ✡️ ➖ ➖ ➖
「セバスさんは、指輪を使いますか?」
「ええ、そのつもりです」
「その指輪じゃセバスさんの全力は出せないんじゃないんですか?」
「そうなのか?セバス」
「はい、私の場合、指輪を使わない方が、より強い魔力を出せます」
深呼吸をしたロビは、ゆっくりと話し始めた。
「エイナ、おもしろい提案があるよ」
ロビは、わざとらしく笑いながらエイナに話しかけた。
「なんだ、言ってみろ」
「セバスさんには指輪を使わずに全力で魔法を発動してもらう。そして僕も全力で反射魔法を使う」
「そうするとどうなるんだ?」
「うまくいけば、魔力だけで
「そんなことができるわけないだろう?」
「できるんだな、これが。反射魔法を僕の首の周りに発動する。そうすると
「つまり、反射した魔力で
「さすがエイナ」
「まあ、そんなことはありえないだろうが、反射魔法は使ってもいいぞ。セバス、全力でいけ」
「かしこまりました。それではそのように。ロビ殿、いいのですか。最悪の事態もあり得ます」
「セバスさん、あなたと魔法を交えることができることを、
セバスの目は輝き、気持ちが高揚しているのが手に取るようにわかった。セバスは元は魔法を指導する魔導師であり、それ以前はウリシア王国で最強と言われた魔道士でもある。
ロビは、そんなセバスの気持ちを読み取り、笑みを浮かべつつ、セバスにまったく引けを取らない凛々しい眼光で応えた。
(よし、これならハルカはノーダメージにできる)
鉄格子を挟んでいるものの、二人はまるで今から生死を分ける決闘を始めるような緊張感の中、エイナだけが空気を読んでいないようでニヤニヤしていた。セバスは指から指輪を外した。
「本当に良いのですね?」
「僕はあなたより強いですよ。それもかなり。ご自身の心配された方がいいです」
セバスの表情が硬くなった。
「それでは。『
「『
セバスが伸ばした右手から魔法陣が現れた。ロビは自分を中心に光の球体が展開した。エイナは、二人とも
(王立学院初等部の時は、ほとんど魔法を使わなかったから、まあ、驚くのも無理はないだろうね)
ロビは自分を包む光の球体の中からエイナとセバスの表情を見ていた。
(エイナの顔、間抜けだな。それにしても痛い、
エイナよりも驚いた表情をしたのは、セバスだった。
(その通り、僕があなたの目の前で発動している魔法は
ロビはハルカの方を見た。ハルカの目の前には
数メートル離れた場所で魔法を発動するのは、クルーガ家の特技である。大量に怪我人が出た場合に、持てる魔力量の限りを尽くして治療するためだ。
(セバスさん、魔力量、足りないな……)
ロビの呪いで
「セバスさん、もっと本気を出してください。これぐらい余裕ですよ」
ロビは、大きく余裕たっぷりの声で話した。
「何を!」
セバスは先ほどまでの紳士的な態度はどこへやら、魔道士としての気迫の入った声を上げた。
「何ならあなたの頭に一点完全反射しましょうか?」
「ならば、その光の中を見せてもらう。『
セバスの前にもうひとつの魔法陣が現れた。
(お、さすがセバスさん、二つ同時発動。これは闇魔法だ。こっちも、もうひとつ、『
ロビが発動した二つ目の
「打ち消された?」
「セバスさん、玩具みたいな闇魔法を発動している余裕があったら、もっと魔力くださいね、初動の悪さや出し惜しみは後悔の元です」
「なんだと?」
(申し訳ないですが、心理戦も使わせていただきます。僕はどうしてもハルカを守りたいんです)
「クルーガの血を引く者と対決するのであれば、肉体崩壊なんか恐れていてはダメですよ」
ロビは、十九年前に起きた内乱発生時、セバスの行動についての記録を思い出していた。
(十九年前の内乱が起きた時、あなたはすぐに現場に駆け付けました。しかし多勢の敵に対して他の魔道士と同じような攻撃しかしませんでした。増える死傷者を見て、ようやく大きな魔法を発動させて事態を収束させましたよね。セバスさん、それが最良の選択だったと思っていますか?)
ワタクシからお願い
❤とフォローして頂けると超喜びマス!また、最後になりましたが、ちょっと宣伝です。ワタクシ事ですが、ブログも運営していますので、こちらもぜひ、お立ち寄りください。ブログの方では、アニメ、ノベル、コミック情報や、WEB小説投稿サイト情報、当作品「魔法外科医の少年は癒し系」の裏話などを投稿して行きます。
ぜひお立ち寄りください!
アカウントを作成 して、もっと沢山の記事を読みませんか?
この記事にコメントをしてみませんか?