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魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-30 ☸ リリスと夜鷹

魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-30 ☸ リリスと夜鷹


魔法外科医の少年は癒し系~あらすじ

魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。


<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>

(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)


※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。

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魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-30 ☸ リリスと夜鷹



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 リリスの研究室に入ったロビは、早速、リリスから質問を受けた。

 

「ねえ、ロビ、あなた、何か強力な魔法を使わなかった?私、近くで強い魔力が動くと、なんとなくわかるの」

「リリス、すごいですね、召喚魔法を使いました」

「あなた、召喚契約しているの?すごいわ。魔道士でも召喚契約できる人は少ないわ」

「はい、だから内緒にしておいてください」

「えー、どうしようかなー、もし、ここで召喚してみせてくれたら内緒にしようかな。私も隷従鳥獣の他に、とっておきの召喚鳥獣いるし」

 

 リリスはいたずらっぽく笑った。ロビにはちょっとでも優位性を保ちたいようだ。

 

「リリスも召喚契約したんですか?さすがです。契約に失敗したら死ぬかもしれないのに」

「私の魔力量なら余裕よ。あ、いつものハーブティーでいいかしら?」

「待ってください、召喚を先にした方がいいと思います」

「あらそう?でも魔石鳥獣よね?」

「はい。あの、テーブルの上でいいですか?」

「テーブルの上?腕とかじゃなくて?どうぞ」

 

<ルル、今、どこ?じゃあ、一度、木の枝にとまってくれる?>

 

「それでは、『召喚サモン、ルル』」

「ぎゃーっ」

 

 リリスは反射的にソファの後ろに隠れた。

 

「リリス、大丈夫ですよ。ルルは優しい子です」

「ロビ、それ、ハンターホークよね、肉食よね、時々、ヒト族を襲ったりすることもある魔石鳥獣よね」

「いえ、似ていますがナイトホークです。肉食でヒト族を襲うことがあることは同じですが、ハンターホークは昼間だけ、ナイトホークは夜間でも狩りをします。でも、とてもいい子ですよ」

「でも、でも、大きすぎます。一人で召喚契約できる大きさとしては、限界の大きさです。ロビは勇気があります」

 

(リリス、口調が教授調になってる……)

 

「どうしてもナイトホークと召喚契約したくて。ナイトホークは羽ばたく時に音がしませんし、魔能力は獲物を狩るために魔力を見ることができます。あの、怖いのなら喚返リターンしましょうか?」

 

 リリスは大人しいナイトホークを見て、徐々に落ち着きを取り戻してきたようだ。目がキラキラしている。

 

「撫でてみてもいいかしら?ナイトホークは初めて見たわ。書物で名前を見たぐらい」

「大丈夫です。頭とか背中、翼の付け根辺りを撫でると喜びますよ」

 

 リリスは恐る恐るナイトホークの頭を撫で始めたが、慣れてくると、ロビに言われたように背中、そして翼の付け根を撫で始めた。

 

「ひっ」

 

 声を上げたのはリリスである。ナイトホークは片方の翼を大きく伸ばした。両方の翼を広げると二メートル以上になる。

 

「大丈夫です。気持ちがいいと翼を伸ばすんです。でも足を伸ばす時もあるので、爪には気を付けてください」

「わかったわ。こうやって撫でていると可愛いのね」

「リリス、羽の先端を触ってみてください」

「ええ、あら、何か普通の魔石鳥獣と触り心地が違うわ」

「はい。ナイトホークは音を立てずに飛ぶため、羽の先端が細かな櫛状になっています」

 

 リリスは羽をまじまじと見ていた。

 

「確かにちょっと櫛状になっている。なるほど、これは書物にも書いてないことだわ」

「リリス、そろそろ喚返リターンしてもよろしいですか?」

「はい、どうもありがとう、貴重な体験だったわ」

「『喚返リターン、ルル』」

 

 魔法陣が現れ、魔法陣の消失と共にナイトホークは消えた。

 

「えっと、今日は精神体分離魔法の事だったわね」

「その前に、リリスの召喚鳥獣も見てみたいです」

「あ、あの、その、今はちょっとお腹壊しているから、また今度ね」

「はい」

「じゃあ、ハーブティーを淹れるわ」

 

 リリスはハーブティーの茶葉を取り出し、魔法でお湯を沸かし始めた。

 

(魔法が使えない人でも簡単にお湯が沸かせるようになるといいのにな)

 

 二つのティーカップがテーブルに置かれた。



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「どうしてまた精神体分離魔法を?」

「以前、精神体転移した獣人は意識共存がうまくできていないことを話しましたが、意識の支配域が反転してしまいました。今は獣人の意識が強くなっています」

「何かきっかけがあったの?」

「ちょっとトラブルに巻き込まれてどうしても獣人の能力が必要になり、それを強く願ったみたいです」

「なるほど、獣人の力をすべて発揮するためには獣人の意識の方が都合がいいと」

「僕としては、獣人としての意識と転移してきた意識が共存状態になって欲しいと思っています。そうすれば記憶を思い出すのも簡単になるはずです」

 

 リリスは、ハーブティーを口にし、ロビを見つめた。

 

「それで、精神体分離魔法で直接、転移してきた精神体に接触念話コンタクトカムで話しかけたいということね?」

「その通りです。そして支配域を半分ずつにしたいんです。できませんか?」

 

「まず、精神体分離魔法はあなたの想像通りの魔法よ。本来、何かに憑りつかれた時に使用する魔法。後から入ってきた精神体を肉体から取り出すの。排除は別の魔法で行うから、精神体分離魔法を止めれば精神体は肉体に戻るわ」

「それは良かったです。排除されるのは困ります」

「また、排除も魔法で行うため、精神体に対して接触念話コンタクトカムが使える可能性は高いわね」

「いいことだらけですね!」

「支配域の調整は、本人たちが決めるしかないわ。恐らく、精神体転移が起きた時、獣人には生きる希望がなかったからだと思うの」

「では、獣人の方の気持ちもケアする必要があるということですね」

「そうよ。後、この魔法には、油分を多く含んだ木と水が必要です」

「なるほど、薪と油で代用できますか?」

「ええ、一応、余裕を見て薪ならこのテーブルに山積みしたぐらい、水も百五十リットルぐらい」

「大丈夫です。たらいがいくつかあります」

「そして最大の問題は……」

「なんでしょうか?」

 

 緊張を感じさせる面持ちで話すリリスに同調するかのように、ロビも緊張して次の言葉を待った。

 

「一糸まとわぬ姿で魔法を発動ラウンチさせる必要があるの」

「僕は構いませんけど……」

「私が困るの」

「えっと、精神体分離魔法って、魔法式スクリプト導入アドプトすれば誰でも使えるものじゃないのですか?」

「そうよ。でも、魔法式スクリプト導入アドプト用の魔法式書がもう無いの」

「もう無いってどういうことですか?」

「私が魔法式スクリプト導入アドプトした後、黒くて素早く移動する、それはそれは恐ろしい虫が現れて、とっさに最も有効な対抗手段である火魔法を発動ラウンチしたの」

「それで貴重な魔法式書を燃やしてしまったと……」

「これは極秘事項です。私が研究資料として借り続けていることになっています。既に同じ書物は購入予約してあります。しかし、あの書物、八巻セットもので一巻単位では売っていません。金貨四十枚です。予約待ちなので、その間にお金を貯めます」

 

「リリス、教授口調になっています」

「あら、本当」

「リリスのお父様にお願いしたらいいのでは?」

「お父様は私が研究に熱中していることを心良く思っておらず、実家に帰るとすぐに結婚話をするの。だから相談できないわ」

 

(確かに、リリスの年齢だと、もう婚約者がいても不思議じゃないよな)

 

「それではリリス、週末、お待ちしています」

「え?私、まだ行くって言ってないわよ」

「でも、獣人の支配域が大きいままだと、転移してきた精神体の記憶が聞き出すのに問題があるのでは?」

「その可能性は大いにあるわ」

「精神体の記憶はリリスにとっても重要なことだと思います」

「そうね、『勇者召喚の儀』の時期は知りたいし、異世界の技術なんかも色々あるかもしれないし。わかったわ。でも、あなたはずっと目を閉じているのよ」

「リリスの裸は、前に一度見たことがあるので大丈夫です」

「ロビ、そういう問題じゃなくてね。それに、私の裸は忘れて」

「とても、その、どんな言葉を持ってしても、どのような素晴らしい事象に例えようとしても、称えきれない美しさでした」

「そ、そう?じゃあ、忘れなくてもいいわ。私、実は朝、弱いから、午後、お邪魔するわ」

「はい、わかりました」

 

 リリスとロビは、いつものように二人で研究室を出て、受付で退出手続きを済ませた。

 

(『視覚共有』、エイナの取り巻きはいないな)

 

「ロビ、どうしたの?」

「あ、大丈夫です。それでは週末、よろしくお願いします」

「わかったわ。オリシス家本宅の東側ね」

「はい」

 

 ロビは研究棟から離れ、人のいない建物のそばまで移動した。

 

<ララ、戻っておいで>

 

 ナイトホークはロビのそばに舞い降りた。召喚者が見えている範囲であれば喚返リターンできるが、移動しながら喚返リターンすると戻った時に移動状態のままになってしまうため怪我をする可能性がある。そのため、なるべく召喚時の状態にしてから喚返リターンをする。ロビはナイトホークの頭を撫でた。

 

(『喚返リターン、ララ』)

 

 魔法陣とともにナイトホークは消えた。

 

<ヨヨ、今、どのあたり?お、もう森林地帯だ。さすがナイトホーク。でもしっかり食事と休憩はとってね>

 

 ロビは、魔石獣がヒト族の生活圏によく現れる付近に、ナイトホークたちを住まわせている。ヨヨは六体の中ではウリシア王国の南東に住んでいたため、リリスの言っていた不自然な配置、形の山を探しに行かせていた。

 

<ヨヨ、なるべく狩りは魔石獣にしてね。リリスが魔石鳥獣を飛ばしているみたいだから、食べるとと怒られちゃう>

 

(ナイトホークに見えるといいんだけどな)

 

 

 

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理系Hラノベ作家みならい。主にアニメ実況感想レビュー。ネタバレしない程度にレビュー記事を書いています。記事を読んでからアニメを観てい頂ければ感動?をシェアできること間違いなし!
申し遅れましたが名前は綿串天兵(WATAKUSi SOLABe:ワタクシソラベ)です。

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