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魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-11 ☸ ロビと紙きれ

魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-11 ☸ ロビと紙きれ


魔法外科医の少年は癒し系~あらすじ

魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。


<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>

(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)


※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。

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魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-11 ☸ ロビと紙きれ



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 ロビの下宿は貴族の別宅を借りているだけあって屋敷は広く庭もある。ロビは王立学院から帰宅しており、庭からダリアとロビの声が聞える。

「ダリア、もっとしっかり動いて!」
「あぁ、ロビ様、もう終わりに……」
「まだまだ!もっと激しく突くよ」
「ロビ様、まだ十二歳なのに、なんで、こんなに、んぅ」
「ダリア、行ける?」
「はい、遠慮なく来てください。どうか私の……」

 木の棒がへし折れる音がした。ロビとダリアは、よく手入れがされた芝生の上で身体を重ねた状態で倒れていた。ダリアが上である。

「あらら、木剣、また折れちゃったよ。ダリア、強いね」

 ロビが寝転がったまま横を見ると、折れた木剣が落ちていた。ロビは、王立学院から帰宅するとダリアと剣技や体術の練習をしている。今日は、剣技である。

「はぁ、はぁ、ロビ様、また、お強くなられましたね」
「まだまだだよ、筋肉強化魔法を使っても勝てないや」
「いいえ、十二歳にして筋肉強化魔法ひとつだけで獣人族と戦えるヒト族は、ロビ様だけですわ」

 ダリアはクルーガ家生まれの獣人で、現在、二十二歳である。召使いとしてだけでなく、剣技や体術の訓練も受けており、用心棒としての役割も担っている。

「もっと強い筋肉強化魔法を作れるといいんだけどな。あ、でも今の魔法でも筋力を三倍にするから骨格強度を超えちゃうか」
「そうですね。でもロビ様なら魔法の同時発動はお手のもの、研究したらロビ様にはお役に立つのでは?」
「うーん、そうだね。でも、それだと使えるヒト族が限られちゃうし。なんかこう、おとぎ話にあるような『身体強化』みたいなのがいいな。ほら、筋肉強化魔法だって、実際には筋肉だけじゃなくて、皮膚も強くなるじゃん」

 ロビは自分の腕をパンパン叩きながら、ダリアに説明した。

「そうですね。それにしても、ロビ様はどうしてそんなに速く動けるのですか?」
「幼少のころね、毎晩、裏山に連れて行ってもらっていたんだ。頂上まで登ったら走って降りるの。そうするとすごい速さになってね、木や枝とか石、あと時々魔石獣なんかをよけながら降りるんだよ。これがおもしろくてさ」
「裏山って、クルーガ家から馬で十五分ほどのところにある山ですか?しかもそれ、夜ですよね。明かりは無しですか?」
「うん、そう。最初のうちは木とかにぶつかってばかりだったんだけど、半年もしたら全部避けれるようになっちゃった。成長するにつれて足も速くなって、あれ、おもしろかったな」
「それはすごいです」
「そのうち、山道じゃ飽き足らなくなって、道の無いところを駆け降りるようになったの。そしたらソリアさ、木の枝にぶつかってばっかりで、全然、ついてこれなくなっちゃったんだ。下りなら獣人族にも楽勝」

 ソリアはダリアの母親で、ロビが生まれてから王立学院初等部に入学する前までロビの世話をしていた。そのため、現在の屋敷にも半年だけ住んでいた。
 今は本家で、ダリアの娘二人や他の獣人族の子どもたちに教育をしている。

「もしかして、昔、母がよくクルーガ医院で治療を受けていた理由って……」
「え?毎日、普通に洗濯していたよ」
「早朝、クルーガ医院が開院する前によく治療を受けていました」
「あら、そうだったんだ、それは悪いことしちゃったな。一人で登ればよかったかな」


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 ロビは立ち上がり、木箱から新しい木剣と木剣に付属していた四角い紙きれを持ってきた。製作者の名前が書いてあり、大きさは大人の手のひらぐらいである。

「ダリア、山下りの成果を見せるよ。今からこの紙をまっすぐに落とすから、親指と人差し指でつまんでごらん」
「はい、そんなの簡単でしょう?」
「できなかったらどうする?」
「夜、特別なことをして差し上げます」
「じゃあ、行くよ。はい」

 ロビの手から紙がまっすぐに落ち、ダリアの指の間を抜けていった。

「え?もう一回やってもいいですか?」
「いいよ、何回でも」

 ダリアは何度も挑戦したが、結局、一度も紙をつまむことができなかった。

「ロビ様はつまむことができるのですか?」
「うん。あ、手の部分は隠して。筋肉の動きが見えないように」
「はい。それでは」

 ロビはピタッと紙をつまんだ。

「そんな……」
「今度は、手を隠さずにやってみて」
「はい」

 ロビは同じようにピタっと紙をつまんだ。しかし、さっきと違い、紙の上の方ではなく下の方をつまんでいる。

「どういうことですか?」
「なんか、山を駆け降りていたら反射神経がよくなっちゃって」
「なるほど、反応速度を上げる訓練になっていたんですね」
「うん。まあ、怪我も多かったけどね」
「あと、魔法外科医療の勉強をしていたら筋肉の構造とか行動心理学に詳しくなってさ」
「それで、二回目は筋肉の動きを読むことで、さらに速くつまむことができたのですか?」
「そうだよ。じゃあ、これを剣技でやってみようよ」

 ロビは、先ほど持ってきた新しい木剣をダリアに渡した。

「筋肉強化だけするね。さすがに何も無しじゃダリアの速度に追いつけない。『|増強筋肉能力《エンチャントマッスル》』」

 ロビの頭上に魔法陣が現れ、光がロビを包んだ。

「じゃあ好きなタイミングで切りかかってみて。どこを狙ってもいいよ」
「はい、それでは行……」

 ダリアは言い終わる前に木剣を振り下ろした……はずだった。ロビはダリアが振り始めた木剣の柄を手で押さえており、木剣はダリアの頭の上から動かなかった。

「今、何をなされたのですか?いくら筋肉強化していてもこんな速度では動けないはずです」
「そのとおり。実際に速く動いているわけじゃない。早く動き始めているのさ。さっきの紙をつまむ時のようにね」

 ダリアは不意打ちで今度は左わき腹に木剣を打ち込んだ。しかし、ロビは既にダリアの左側に立っており木剣を振り切れなかった。

「だから、ダリアから見ると倍の速度で移動したように見える。それ以外にも、動き出しは呼吸、視線、瞬きや予備動作のため筋肉の動きも見ているよ」

 ロビはダリアの左手を押さえた。ダリアは拳を握っており、至近距離でも効果のあるロビの|顎《あご》を殴ろうとしたのだろう。

「今、ダリアは視線を動かさず呼吸の間隔を変えた。そして、予備動作で左肩に力が入るのが見えたよ」

 ダリアは座り込んでしまった。ダリアも|手練《てだ》れの用心棒である。そこらの盗賊なら数人まとめてなぎ倒せる。

「驚きました。これほどまでとは。でも、今の技、なぜさっきの練習で使わなかったのですか?」
「時々使っているよ。ただ、こればっかりやっていたら打ち合いの練習にならないじゃん」
「そうですね。あの、なんだか悔しいです」
「じゃあ、今日の練習はこれぐらいにしようか」

 二人は屋敷に戻ると、汗を流すため厨房の|竈《かまど》で沸かしていたお湯を桶に移し、大きなたらいのある浴室に向かった。
 ロビは召使いの前で裸になることは慣れている。召使いは主人が脱いだ服を片付け、背中などを拭くことが仕事だからだ。それはダリアの前でも同じである。

 ダリアはロビを後ろから抱きしめた。耳を除けばダリアの方が少し背が低い。獣人族の身長は成人でもヒト族より少し低く、さらにロビは年齢の割に身長が高くて、十二歳にして百六十センチ以上あった。

「ロビ様、それでは今から『ヒト族のしない特別なこと』をします」

 ダリアはロビの耳元で説明をした。

「え、そ、それは確かにされたことは無いけど、大丈夫なの?」
「はい、獣人族では赤ちゃんが便秘になった時にする普通のことです。でも、ヒト族では特別なことかと」
「いいのかな」
「それでは失礼します」

 ダリアはロビの後ろでしゃがんだ。


「ちょ、ちょっと、やっぱり、恥ずかしいよ、あ、あぁ、うわっ、すごい、これ気持ちいいよ」

(声、でちゃう、普通に事を致しても声が出たこと無いのに)

「ね、獣人族って、こんなに奥まで挿し込んだりするの?」
「いえ、外側に刺激を与えることはしますが、中まで挿し込むのはロビ様が喜ぶかと思いまして」
「ダリア、もっとして欲しい」
「はい、素直なロビ様ですね」
「うん」

 ダリアはロビの股間も愛しく手で撫で上げ、さらなる快感をロビに与え続けた結果、ロビは手で果ててしまった。

「ロビ様、いかがでしたか?」
「うん、とても気持ちよかった」
「声を上げてくださったので、可愛いって思っちゃいました」
「うん」
「今宵も可愛がってくださいますか?」
「もちろん。発情期、大変だね」
「ええ。でも、来年は発情期にならないかもと思うと、ちょっとさみしい気もします」

 浴室のドアをノックする音がした。

「ロビ様、あと三十分ほどで夕食の用意ができます」
「あ、ウグルス、わかった。ダリア、身体を拭くね」

 後ろにダリアはおらず、見回すとダリアは床に飛び散った白い液体を拭いていた。

「あ、ごめんね」
「いいんです。ロビ様が喜んでくださったのであれば」
「今度はダリアの背中、僕が拭くね」

 ダリアはうれしそうに服を脱ぎ始めた。夕食まで三十分、ロビはいつの間にか自分の方が背が高くなったことを感じながら、ダリアの背中をお湯で濡らした布で拭いた。


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理系Hラノベ作家みならい。主にアニメ実況感想レビュー。ネタバレしない程度にレビュー記事を書いています。記事を読んでからアニメを観てい頂ければ感動?をシェアできること間違いなし!
申し遅れましたが名前は綿串天兵(WATAKUSi SOLABe:ワタクシソラベ)です。

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