魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-13 ☸ メイアの髪留め
魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-13 ☸ メイアの髪留め
魔法外科医の少年は癒し系~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。
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魔法外科医は癒し系の少年~涼波ハルカの喪失-13 ☸ メイアの髪留め
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翌朝、ロビが目覚めると横に裸のダリアが寝ていた。今はダリアが発情期に入っているので性交渉はあるが、普段は別々の部屋である。ただ、時々、一緒に寝ることもある。
(ダリアって、僕の事、いっぱい抱きしめてくれる。ジェンもそうだったけど、どうしてだろう?でも、ダリアはちょっと違う気がする。召使いなのに、時折、必要以上に心配してくれたり、ちょっと叱られたりすることがあるような……)
「行ってきます」
ロビはいつものように元気よく下宿を出た。王立学院初等部は週に五日授業があり、二日休みがある。それ以外には、夏と冬に長期休暇がある。明日は週末の休日である。
(そいえば、来週の初日は教授たちの研究会か何かで学院、休みだったな。ということは、明後日から三連休だ。ハルカの引き取り、間に合うといいんだけどな)
ロビはいつものように、少し遠回りをしてオリシス家本宅の監禁部屋の方を通った。そして明かり窓の前で止まると、いつものようにハルカに声をかけた。
「ハルカ、もう手続きは始まっているからね、もうすぐだから」
「ロビ!」
ハルカはいつものように明かり窓に飛びつき、ロビは
学院までは約三キロと少し。ロビは歩くのが速いので三十分ほどで正門に到着する。
「ロビ、おはよう」
「お兄様、おはようございます」
いつものように王立学院の正門でロビはメイアとカサリに出会った。
「おはよう、メイア。今日は元気そうだね」
「うん。おかげさまで。カサリも気を使ってくれてありがとう」
「いえいえ、ボクは何もしていません」
「ところでメイア、君のカチューシャのことなんだけど。あ、ちょっと待って。おはようございます」
正門にいる警備兵は軽く頭を下げた。
「変……かな。とてもお気に入りなんだけど」
「メイア、それ、
「そうなの、本当?」
「うん。カサリ、よくわかったね」
「
「どんな能力があるの?」
ロビは説明を始めた。
「少しだけ魔力を流してあげるだけで、付近のマナを無効化する能力。一度、発動すると停止指示をするまで自分でマナを吸い込んで効果が続くんだよ」
「今は発動しているの?」
ロビはメイアの頭に手を乗せ、カチューシャに太陽の光が当たらないようにして目を近づけた。
「ううん、今は止まっている。発動していると
「ちょっとロビ、近いわ。恥ずかしいからここではダメよ」
(ここでは?)
「魔力をしっかり流し込めば、付近の魔力を強制的にマナに変換して無効化することもできるんだ。百倍ぐらいかな。すごい効率、さすが
「それって痛いの?」
「たぶん、死ぬほど痛い、というか、そのまま死ぬよ」
「その力であの時、ティラーナ教授の魔法を止めたのね?」
「うん」
「やっぱり使い方は知らない方がいいかも」
「でも、ちゃんと使うことができれば、魔法を使うような感じで自由に……例えば、手で掴んだ相手だけ魔力やオドをマナに変換して無効化をすることで、外傷無しで命を奪うことができるんだ」
「すごいのか怖いのかよくわからないわ」
「魔法を使えない者に使うと、いきなりオドを削ることもできる」
「うまく使えば護身用になるし、変な風に使っちゃうと自分も死んじゃうってことかしら」
「うん。それ、暗殺用に作られたものだからね。あと、少しだけ魅了効果もあるから気を付けて」
メイアは立ち止り、ロビの顔を不思議そうに見た。カサリも立ち止り、興味深げにロビの顔を見た。
「お兄様、どうして魅了効果があるんですか?」
「付近のマナが無効化されると、周りからマナが流れ込んでくる。ヒト族の心もマナの流れに連れられるように引き寄せられるんだ。ほら、強い魔道士とか魔道騎士って見た目以上にかっこいとか思ったりしない?」
「そう言われてみればそんな気もするわ」
「マナを吸収する能力も高いから、特に強い魔法を使った後はマナが一気に吸収されて付近のマナが少なくなるんだ。それで同じ現象が起きるよ」
再び三人は歩き始めた。
「私がロビの事を気になってしょうがないのは、そのせいなのかしら」
(メイア、なんか思いっきり聞こえているんだけど。メイアも素敵だよ)
「このカチューシャ、ロビが咥えてくれてからずっと洗っていないのよ、私、ちょっと変よね」
(うん、変だと思う……)
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今日は魔学科だけの講義のため、生徒数は十五人ほどである。生徒は全員、闘技練習場に集合していた。闘技練習場は、石の床の上に屋根だけがあり、少し離れたところに囲うように見学席と壁がある。
「今日、使う
生徒たちにとって、大型の
的の後方には土が盛られており、的を外しても他の施設に影響がないようになっている。
「これは、普通の剣としても使えますが、魔力を流し込むことで中距離攻撃をすることができます。昨日の魔力測定結果から、皆さんは必ず発動することができます。但し、魔力量によって発動の度合いが違います」
リリスは、
「『
リリスは
生徒たちは、その見事な技に、思わず拍手をした。
「
リリスは、もう一度、
「このように、グリップに魔力を流し込むだけでは
「ティラーナ教授、質問があります」
「メイア、どうぞ」
「
「いい質問ですね。
「昨日の測定結果ね」
ロビが意味深に呟いた。
(さて、いくら稼げるかな。昨日の魔力測定、見た感じ、何人かは登院前に魔力供給してもらっていたみたいだけど)
「それでは全員、
全員の生徒が
「お兄様はどうして
「壊しちゃうからだよ。壊すとティラーナ教授の給料から引かれるんだって」
「え、そんなの、ボクのお小遣いで補填するのに。ボクとしてはお兄様が全力で課題に取り組む姿を見たいです」
「あははは」
そんなまったりとした会話をしている中、生徒たちは一人ずつ順番に
魔力を流し込み始めたがなかなかうまく発動できない生徒もいる。その場合は、ティラーナ教授や助手が指導をし、列の後ろに並んで次の順番を待つ。生徒は、列に並んでいる最中でも、魔力を流し込む練習をしている。
ロビには、魔力を流し込むふりをしている生徒が何人かいることに気が付いていた。
(お、エイナは傲慢で嫌な奴だけど、なんだかんだ言ってよくがんばっているじゃん)
エイナは、ふらふらしながらも、見事、一発で
(もしかしたら自宅にも同じような
生徒の中で、一番最初に発動に成功したので、他の生徒から拍手された。
続いて、同じくウリシア王国三大貴族のひとつであるクトリ=インシスも発動してみせた。クトリは、三大貴族の子息の中では最も気遣いのできる少年で、他の生徒からも人気がある。エイナよりもエレガントに発動させたため、クトリも他の生徒から拍手された。
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