魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-10 ☸ ソメイの初仕事
魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-10 ☸ ソメイの初仕事
魔法外科医は癒やし系少年~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-10 ☸ ソメイの初仕事
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夕刻が近づき、日が傾き始めた頃、ロビとハルカはそれぞれ馬に乗りエリク冒険者ギルドへ向かって走らせていた。
<ハルカ、この馬も魔石獣なんだよ>
<そうなんですか?>
<うん、少なくとも中央大陸西部の動物は全部魔石獣>
<どんな魔能力があるんですか?>
<高速疾走だよ。今の速度の三倍ぐらいで走れる。ヒト族が住んでいる付近では使用禁止されているけど、ここなら大丈夫。やってみる?>
<はい、やってみたいです>
<こんな感じで体重を前に乗せて身体を傾け、
<ロビ様、すごいスピードですね、あっという間に置いていかれました>
<ハルカも早くやってごらん>
<はい。あ、あ、あ……>
ロビの馬はハルカの馬に追い越された。
<ハルカ、もう少し後ろ足を緩めて>
<は、はい、でも、怖くて>
(しょうがない)
ロビも馬の速度を上げ、ハルカに追いついた。
(馬の魔力を直接吸収して……どうかな)
馬の走る速度が下がった。
<ハルカ、落ち着いて>
<はい、ちょっとこの速度は怖いです>
<じゃあ、普通に飛ばしていこうか>
<そうします>
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ロビとハルカはエリクの街が見えてきたところで馬を止め、服やマントをひっくり返した。ハルカはウイッグを付け、昨日のようにロビが獣耳の位置を調整した。
<ハルカ、ウイッグの調整、一人でもできるように練習しておいてね>
<はい、わかりました>
<じゃあ、ここからは、ソメイとナンチェリで>
二人は再び馬に乗ると、エリクの街に入りエリク冒険者ギルドへ向かった。
<ナンチェリ、夕方も賑わっているんですね>
<うん、冒険者は自炊しない人が多いから、食堂や宿屋のダイニングバーにたくさんいるよ>
<自炊できる宿もあるのですか?>
<共同炊事場が付いている宿とか長屋とか、小さな一軒家を借りるような宿もあるね>
<今日、狩る魔石獣は夜行性なんですよね?夜行性じゃない魔石獣もいるのですか?>
<うん、たくさんいるよ。僕が依頼を受けているのが夜行性だけというだけで。昼間も活発な魔石獣は肉食系が多いかな。肉や毛皮が売れるから依頼も多いよ>
<そうですか。あたし達が狩るのは草食系なのですか?>
<雑食系だよ。根菜類が大好き。あとは大きめの虫とか>
<他にはどんな依頼があるんですか?>
<王国からの魔石獣討伐依頼、要人の護衛、薬草収集、畑仕事の依頼とか掃除の依頼もあるかな>
ソメイは何かを思い出しているようだ。
<冒険者は何でもやるんですね>
<まあ、あんまり割の合わない依頼は受けないけど>
<何かもっと変わった依頼とかありますか?>
<子守屋の手伝いとか。そうそう、アゼクス、よくその依頼を受けているよ>
<とても意外ですけど、以前、子どもに人気って言ってましたよね>
<怖い顔をしているけど、子どもにはわかるみたい>
<とても優しい方なんですね>
<うん>
ナンチェリ達はエリク冒険者ギルドに着くと、馬世話役に
「お、レティーナ、今日は夜番?」
「いえ、昼番です。もうすぐ交代します。その装備は、指名依頼を受けるということですね。もう四枚も溜まっています。全部で八頭です」
「八頭、まとめて連れてきても依頼主のところへ運べるか?」
「大丈夫です。うちの檻馬車ならぎりぎり乗せられますよ」
「わかった。じゃあ、馬の世話代と荷車、休憩室、軽食セットを二つ、綱は短いのを二本頼む」
「セットのお飲み物はどうしますか?」
「仕事前だからエリク特産ジュースで」
「わかりました。あ、綱はレンタルで良かったですよね」
「ああ、それで頼む」
「休憩室は一番端の六号室にしますね。隣の休憩室はまだ誰も入っていませんから」
レティーナはソメイを見てにやにやと笑った。
「なんだよ」
「何でもありませんわ。全部で銀貨七枚と小銀貨四枚です」
「ほらよ」
「飲み物と料理は出来上がったらお呼びしますので、席でお待ちください」
「よろしく」
ダイニングバーでは十人ほどの冒険者が酒を飲んだり、情報交換をしている。昼間の依頼を受けた冒険者の完了受付のピークは過ぎているようだ。
ナンチェリは依頼掲示板から四枚の依頼板を剥し、受付に持って行った。
(しばらく、依頼を受けていなかったから溜まっているな。今日はソメイがいる、きっと八頭、なんとかなる、うん)
「ナンチェリ、一応、冒険者カードを」
「ほれ、確認よろしく」
「ソメイも、どうぞ」
「いいのか?」
「ええ、指名依頼は指名された冒険者が代表ならば大丈夫です」
「お、じゃあ、普通のパーティーみたいにランクが上がるってことか?」
「そうです。パーティーと同じく山分け方式ですが、依頼実績件数は同じように上がります」
「なるほど」
「軽食セット二つ、出来上がりました。取りに来てください」
ダイニングバーのカウンターから声がした。ナンチェリはトレイごと受け取ると、ソメイを連れて奥にある休憩室に向かった。
「ソメイ、六号室、開けて」
「はい、ナンチェリ様、いえ、ナンチェリ」
<わあ、なんだか隠れ家みたい>
<この建物は二階建てで、休憩室は一階にあるんだ。二階は執務室と宿泊室があるよ>
<休憩室と宿泊室は何が違うんですか?>
<休憩室は仮眠用の部屋で宿泊室より狭い。干し草の上に布を掛けたベッド代わりのマットと、小さなテーブルがあるだけ>
ハルカは目を輝かせながらマットやランプを触っている。狭い部屋だが、それはそれで珍しいようでテーブルの下を開けてみたりして喜んでいる。
ロビはマントをポールにかけ、マットに座った。
<ここで夜中まで待つんだ。寝ちゃっても、チェックアウトが夜中なので無理やり起こしてくれるから大丈夫>
<そうですか>
<じゃあ、まず軽く食べよう。このジュース、すごく美味しいんだよ。酔わないから大丈夫>
<はい。頂きます>
ソメイは口元の布をずらし、ガラスのコップに注がれたジュースを飲み始めた。
「美味しいです」
<この建物の裏に果物畑があってね、実をすりおろしたもの。水分が多いので、水を足さなくてもジュースになるよ>
<果樹園じゃなくて果物畑なんですね。どんな果物ですか?>
<見ない方がいいと思うな>
<え、なんか、またかわいいとか>
<いや、その逆。見てみる?>
<……はい、見ます。あたしはこの世界で生きていきます>
(『
<じゃあ、思い浮かべるね>
<え?>
<今度は茎を切るところ>
<ひっ>
<そしてすりおろすところ>
<いやぁぁぁっ、果物って動くんですか?>
<うん、まあ、そういう果物もある>
「さあ、ハルカ、冷めないうちに食べよう」
「は、はい……あの、ジュース、飲んでもらう、いいですか?」
「あはは、いいよ。後でハーブティーをもらってくるね」
「はい」
「口直しにローストした肉を食べてみて」
「お肉、美味しいです」
「うん、これは魔石獣で……」
「知らない、いいです」
そしてハルカは野菜を煮込んだ料理を食べ始めた。
「この野菜、ニホン、あります。美味しいです」
「それ、地面から抜くときに叫び声が聞こえるんだ」
ハルカは黙ってフォークを皿の上に置いた。
<いや、魔石獣みたいなものじゃなくて、地面から抜くときに少し割れて、そこから風が出てくるんだ。それが叫び声みたいに聞こえるんだよ>
ハルカは再びフォークを握り、野菜を食べ始めた。
(そういえば、ハルカ、『ニホン』の発音、きれいになってきた。精神体が身体になじんできたのかな)
「ごちそうさまでした。ナンチェリ、拭く、いいですか?」
「うん、僕はトレイを返してくるから、部屋を出るね」
「はい」
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ナンチェリはカウンターでトレイを返却し、ハーブティーを注文した。すると、受付の方から声がした。
「ナンチェリ、久しぶり」
「お、今日の夜番はマイヤーナか、久しぶりだな」
冒険者ギルドは色々な依頼を受けるため、一日中開いている。三交代制で朝番、昼番、夜番となっており、受付は五人で回している。今は夕食の時間で、ダイニングバーも賑わっている。
「今日、女連れなんだって?しかもかわいいんだって?」
「新しいパートナーだ。強いんだぜ」
「アゼクスを倒したんだってね。さぞかし夜も強いんだろうね」
「ほんと、ギルドの受付ってのはそういう話が好きだな」
「そりゃそうよ。冒険者は体力を持て余しているから、依頼が少ない時はそんなことばっかりしてる」
「それは知らなかったな。ま、深夜、狩りに出るんで、ちょっと休む。寝ていたらよろしく」
「あいよ。まあ、その前に一戦、頑張りなよ」
ナンチェリはマイヤーナをじっと見つめた。
「何よ」
「六戦は行ける。一戦分、残しておこうか?」
「……え?」
「冗談だよ」
「ふん」
(マイヤーナ、口先ばっかりで、したことなさそう)
ナンチェリは休憩室に戻るとハーブティーをテーブルに置き、ソメイの横に座った。ソメイは立ち上がり、ドアを施錠した。
「ナンチェリ、する、いいですか?」
「おいで、ソメイ」
ソメイはいきなり激しいキスをした。
(発情期に入って約一ヶ月、今がピークなのかもしれない。昨夜、ダリアとも何度も事を致したし……)
ナンチェリは、ソメイの胸のところにある布をずらし、直接、胸を触り始めた。
<ソメイ、外に聞こえちゃうから、声、出しちゃダメだよ。あと、激しい動きもダメ>
<はい、わかっています。でも、なんかダメです。じらさないでください>
ソメイはブーツとひざ下の布、ショートパンツを脱いでナンチェリに跨った。一時間半ほどして、廊下の方から二階に上がっていく足音がたくさん聞こえてきた。
(結局、四回も事を致してしまった……)
ソメイはナンチェリの横ですやすやと眠っている。ナンチェリはバッグから布を取り出し、ソメイの股間をきれいにした。そしてショートパンツ、当て布、膝の防具を付けた。
(なんか、僕の方がハルカの召使いみたい……)
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