
魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-11 ☸ ソメイと手洗い
魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-11 ☸ ソメイと手洗い
魔法外科医は癒やし系少年~あらすじ
魔法外科医って結構、大変なお仕事。さらに転生者の受け入れまで。ほのぼのあり、シリアスあり、アクションあり、ギャグあり、ほどよくエッチもありの逆異世界転生ファンタジー。
<ロビ様、血管とかひとつずつ繋げていますけど、ぶわぁって治る治癒魔法というのは無いのですか?>
<あるよ。あるけど、あれ、障害が残るんだ>
<どういうことでしょうか?>
<切れた患部がぴったり合っていれば綺麗に治るんだけど、ずれているとそのまま治っちゃってリハビリが大変なんだ。特に太い血管や筋肉はちゃんとやらないと>
<なるほど、勝手に元通りになるわけじゃないんですね>
<そう。だから、障害を残さないよう、元通りに結合していくんだ>
(ハルカの世界では、魔法って、随分と便利なものと解釈されているんだな)
※本小説は、「小説になろう」、「カクヨム」、「アルファポリス」、「ノベルバ」、「ノベルビア」にも投稿しておりますので、お好みのサイトで読んでいただければ幸いです。
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魔法外科医は癒やし系少年~涼波ハルカの進撃-11 ☸ ソメイと手洗い
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ナンチェリ達は、夕方、エリク冒険者ギルドに到着して休憩室を借り、セミダブルサイズほどのマットの上で寝ていた。
「ソメイ、起きて。そろそろ出かけるよ」
「ロビ様……」
「ソメイ、ナンチェリだよ」
「おはようございます。ここ、どこですか?」
「エリク冒険者ギルドの休憩室。ほら、寝ぼけていないで起きて」
ソメイはナンチェリにいきなりディープキスをした。
(おお、何度しても口の中が満たされる感じがいいな)
「ナンチェリ、私、起きました」
「よし、さあ出かける準備をしよう」
「はい」
「まずは、トイレに行ってきて。ランプ、持って行っていいよ」
「はい」
ソメイは休憩室を出てすぐに戻ってきた。
「早かったね」
「ナンチェリ、怖いです。一緒、来る、希望します」
「わかったよ」
「トイレ、中、一緒、いいですか?」
「はいはい」
ソメイは恥ずかしさよりも恐怖の方が勝るようで、ナンチェリが一緒にいることは全く気にせず用を足した。
「じゃ、俺も。ソメイ、ちょっとそっち見てて」
「はい」
(うーん、今週、もう一回、今度は一人で来てもらおうと思ったけど、ダメかな)
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休憩室に戻ったナンチェリとソメイはマントを羽織り、受付に行った。
「マイヤーナ、チェックアウトだ。他に冒険者は出てる?」
「今日はいない」
「荷車と綱は?」
「表に用意してあるよ」
「じゃあ、まずは二体、行ってくる」
「はいはい、ご武運を」
ナンチェリとソメイは荷車を引っ張って山道へ入っていた。
<ロビ様、あたし、すごくよく見えます>
<うん、狼獣人族の目は夜でもよく見える……ヒト族の四倍ぐらい見えるらしいよ>
<ロビ様は見えていないのですか?>
<多少は見えているよ>
<星空がきれいです。こんな星空、見たことがありません>
<そうなんだ。この世界ではいつもこんな感じだよ>
<天の川が見えます。初めて見ました>
<アマノガワ?ああ、あれか。この世界では『夜空の霧』って呼んでいるよ>
(異世界にも『夜空の霧』があるんだ。ハルカの住んでいた世界って、どんなところなんだろう?)
<ソメイ、この先は道がないから荷車はここに置いて、歩いて獣道がある場所まで行く>
<わかりました>
<それから、冒険者は出ていないけど、普通の狩人がいるかもしれないから気配には気を付けて>
<狩りをするのは冒険者だけじゃないんですね>
<うん。後、時々罠が仕掛けてあるから、足元と腰ぐらいまでの高さには注意してね>
<どうやって見つけたらいいですか?>
<草や木の枝が不自然に曲がっていたりして、そこに金属製の罠が仕掛けられていることが多い>
<どうして罠は少ないんですか?>
<僕の生まれる前の話だけど、辺境警護団が山に入るようになってから禁止されたんっだって。ソメイ、あそこを見て>
<はい>
<あそこ、木の枝が下の方に伸びているだろ>
<あれが罠ですか?>
<うん、あの枝の下の付近に罠がある。ちょっと見てみようか>
ナンチェリとソメイは足元に注意しながら慎重に枝が伸びている近くまで行った。ナンチェリは、しゃがんで何かを探し始めた。
<あったよ。あれ>
<何も見えませんけど>
<見てて>
ナンチェリは落ちていた枝を拾い、もう少し近づいてから草の切れ間に枝を押し込んだ。途端に不自然に下に向いていた枝が上に跳ね上がった。
<こんな感じ>
<は、はい>
<昔から伝わる罠で、小さな魔石獣を捕まえるんだ。禁止されているけど、昔からエリクに住んでいる者の場合は、大目に見てもらっているらしいよ>
ナンチェリとソメイはさらに山奥に進んだ。
<この辺りからボアルがよく出没するところ。好きな食べ物がたくさん生息しているんだ>
(『
<静かについてきて>
<はい>
<いた。あそこ、見える?大きいのが一体と小さいのが二体>
<見えます。何か土を掘っています>
<土の中に埋まっているあの根菜が好きなんだ。昔はいっぱいあったんだけど、だいぶ食べちゃって。だから、時々、この辺りにたくさん植えているんだ>
<ロビ様、それって……>
<狩りやすくするってのもあるけど、あの子達も食糧不足なんだ>
<あのボアルは狩らないのですか?>
<うん、まずソメイには、土を掘る音や歩く音を憶えてほしい。狼獣人族の耳で探す方が魔法より効率がいいと思う>
<そういうものなんですか?>
<ソメイが思っているほど魔法は便利じゃないからね>
<はい>
ソメイは目を閉じて音に集中している。
<歩き始めましたね>
<うん>
(ソメイの耳がぴくぴく動いて超可愛い。触りたい、触りたい。でも我慢我慢)
<大丈夫です。憶えました>
<次は匂いも。さっき土を掘っていた場所に行こう。匂いが混ざるといけないから、ソメイが先に行ってくれる?>
<わかりました>
ソメイは周囲の匂い、ボアルが土を掘っていたあたりの匂いを嗅いだ。
<ボアルは単体か、子どもが先、次に親が来る。一人で運べるのは体長一メートルぐらいのやつまで。僕は筋肉強化魔法を使って運んでいるんだ>
<ロビ様、少し戻ったところにボアルがいます>
<わかった。次は狩ろう>
<はい>
ソメイの案内で少し木の間を戻ると、十五メートルほど先に別のボアルが土を掘っていた。
<いいサイズ。ソメイ、
<はい、どうぞ>
ナンチェリは
(
<首の後ろを狙う。一発で気絶させる。よし、気絶した>
一瞬、
<まだ触っちゃダメだよ>
<はい>
<
ナンチェリはソメイに
<ロビ様、もう気絶しているのに、まだ
<うん、ボアルの皮膚には虫が付いていているから
<何か、こう、魔法でぶわあああっというのは無いんですか>
<殺してからなら
<苦しむと肉がまずくなるんですか?>
ソメイは不思議そうな顔をしてナンチェリを見つめた。
<うん、理由はよくわからないんだけど、一発で仕留めるのと、のたうち回っているところを仕留めるのとでは味がだいぶ違うよ。血抜きより大事じゃないかな>
<そうなんですか。やっぱり楽に死なせてあげた方がいいってことでしょうか>
<そうかもね。だから、さっきみたいな罠にかかったやつを捕まえると、罠にかかった時点で相当暴れているから、あまり美味しくないんだ>
ソメイの耳が動いた。
<あと、殺した場合、しっかり冷やさないとやっぱり肉の味が落ちるから、ちゃんとした施設でやらないと美味しい肉にならない>
<左、五十メートル先にいます>
<じゃあ、この子は一旦、このままにして、そっちを狩ったら下に運んで川で洗おう>
<わかりました>
<今度はソメイがやってごらん>
<はい>
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ナンチェリとソメイは、それぞれボアルを一体ずつ担いで川に向かった。
<引きずって運んじゃダメなんですか?>
<引きずると内出血をしてまずくなるんだ>
<担いで運ぶのも味の為なんですね>
<うん。それにしてもさっきの、逃げられそうでやばかったね>
<はい、
<でも、二発目はきちんと軌道補正してて良かったよ>
<ありがとうございます>
<さあ、洗うよ。これが意外と時間かかるから>
ボアルを川の浅瀬に降ろすと、ブラシでごしごしと洗い始めた。
<ボアルは泥にまみれるのが好きだから、結構、汚れているんだ。それにさっき殺した虫もこれで落ちる。これで解体が楽になるし、解体後の肉に匂いが移らずしかも腐りにくくなる>
<ロビ様>
<何?>
<魔法でぶわああっと>
<そういう魔法、今のところ無いから。
<結構、地道なんですね>
<でも、今、僕、筋肉強化魔法を使っているから洗うのも楽だよ。足の裏も忘れないように洗ってね>
<はい>
ソメイは横たわっているボアルを足で蹴とばし、向きを変えた。
<そして前足と後ろ脚をこんな感じで縛ったら完了。あとは荷車に乗せて冒険者ギルドまで運ぶ>
<ボアルの身体は拭かないんですか?>
<うん、このマント、少しだけど水をはじくから、荷車まで運ぶぐらいなら中にしみ込んでこないよ>
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ナンチェリは冒険者ギルドへボアルを二体運ぶ毎に、依頼の報酬、金貨五枚を受け取った。
「マイヤーナ、白ワイン、二杯」
「いいわよ。銀貨一枚」
「ここに置いておく」
ナンチェリとソメイのテーブルに木製ジョッキが出された。深夜は、パンのような調理しないものと注ぐだけの飲み物だけ注文できる。
無事、八体のボアルを捕まえたナンチェリは、ソメイと仕事終わりの一杯を飲んだ。
「じゃあ、よろしく頼むよ。日が昇ってきたから戻る」
眠ってしまったソメイを肩に担ぐと、建物を出た。
<前回もらった縄でソメイを縛り付けて……この時間なら朝食前に一度、お湯を浴びれそうだ>
ナンチェリは馬にまたがり、ソメイを縛り付けた馬を従えて帰宅の途についた。
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