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病んでるんだか病んでないんだか

病んでるんだか病んでないんだか


休職する前、心療内科に行った。
行ったら、たった数分話しただけで病名がついた。

何回目かの診察でたった数問、質問に答えたら、また新たな病名がついた。
一生付き合っていかなきゃいけない病気だよ、と言われた。
自分はどこもおかしくないと思っていたけど、ずっと病気だったらしい。
「あの人病んじゃったらしいよ」とかいう噂話は時々耳にしていたけど、
今度は自分が”病んでいる人”になった。

薬を処方されたので、毎日飲み続けた。
うれしいことがあればいい気分だし、悲しいことがあれば落ち込む。
薬を飲んでも別に何も変わらなかったけど、
勝手に薬をやめたらだめだよ、と言われたから飲み続けた。

ある夜、処方された山積みの薬を見たら泣いていた。
これからはずっと”病んでいる人”として生きていかなきゃいけない。
ただ発覚しなかっただけで、今までもずっと病気だった。
過去の自分も未来の自分も崩れていく感覚。
病気のことをなんとなく受け入れているつもりだったけど、
ぜんぜん受け入れられていなかった。

精神疾患について、本やネットで情報を読み漁り、
youtubeで何日も関連動画を観続けた。
本当に病気なら、言われた通り生涯服薬を続けようと思った。
でも本当に自分が病気なのかどうかが、どうしてもよくわからなかった。

”病んでいない人”が落ち込むことと、”うつ状態”の差。
”病んでいない人”の気分の浮き沈みと、”双極性障害”の差。

もっと明確な線引きがあるんだと思っていたけど、
調べれば調べるほど”普通”と”病気”の境目がわからない。
そう言われれば当てはまる気もするし、当てはまらない気もする、
ということばかりだった。

結局セカンドオピニオンを受けたこともあって、
あの質問だけでは100%判断することはできない、と主治医にも言われ、
今は服薬もやめて”病んでいない人”と同じ生活をしている。

それでも、一度診断を受けて服薬したことで、
怒ったり、悲しくなったり、楽しくなったときでさえも、
もしかしたら感情の振れ幅が”普通”じゃないのかもしれない、などと毎回思う。
「自分は病気なんじゃないか」という疑いが、今もこびりついている。

今までどうやって”病んでいない人”として生きてきたのかわからなくなった。
これから”病んでいない人”として生きていっていいのかもわからない。

”病んでいない人”ならこんなこと、やっぱりぜんぜん考えもしないんだろうか。

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