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医療における税金の無駄(1)

医療における税金の無駄(1)


税金が無駄に使われていると感じるもの(1)
「保険診療でダイエット」

肥満(ダイエット)外来というものをご存知でしょうか。
まず肥満とは、日本肥満学会が出している肥満症診療ガイドライン2016によれば、BMIが25以上であれば肥満、そして35以上であれば高度肥満と定義されています。
BMIは
身の体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値であり、その値をみれば自分が肥満であるかどうかが判断できます。
(私の場合は181cm、78kgのためBMIは78÷1.81÷1.81=23.8となります。)

肥満外来とは肥満という病気を解消または改善するための外来診療ということです。
食事療法や運動療法のアドバイス、効果が無ければ薬剤の処方。という内容になります。

肥満は各種生活習慣病の原因となりますので本当に必要な方が「保険診療で治療すること」に対しては何も言うことはありません。専門家のアドバイスを基に健康になるべく努力する事は重要だと思います。

しかしながら、私が勤務する医療機関においては不必要なダイエット処方が多数、保険適応で請求されている事は我々の税金を無駄に使われている感じがして複雑な気持ちになる。それも数十人単位。さらには自己負担0割の方も多数いらっしゃいます。正直、国に全額負担してもらいながら薬でダイエットに勤しむことは嫌な気持ちしか出てきません。

治療ではなく美容のために。自由診療(全額自費で受ける診療行為のこと)であるべき領域の内容を保険診療として3割程度の負担(負担割合は年齢等により異なります)で手にしている方が多数いるという現状と、それを売りにして患者を集める医師がいる現状においては日本において、医療費の削減が進むわけがないと感じます。

例えば血糖値を下げるインスリンというホルモンの分泌を血糖値に応じて促進したり、胃腸の動きを緩徐に調整し、食欲を抑制する働きをもつGLP-1製剤であるリベルサス7mgという薬剤を用いた自由診療の場合、30日分で約66,000円(診察料や送料含む)というクリニックもあるくらい高額な医薬行為ですが、保険適応にすると1錠辺り334.20円(30錠で10,026円)で手に入ります。それの30%が自己負担で残りの70%に税金が当てられているという事になります。

国は医療費抑制の為に色々な取り組みを行なっていますが、この様な不適切な保険申請を取り締まるフィルターをより強化する事の方が効果的ではないかとすら感じます。そもそも肥満治療の適応に合致しない患者に保険診療で美容目的として医薬品を処方する医師の側に問題がある。
税金の無駄使いをし、不適切な薬物投与を続けるような医師を適切に取り締まり、何らかの処罰の対象として規制して欲しい。

また、使う側も20歳そこそこからダイエットの為に甲状腺機能亢進薬や糖尿病治療薬を投与し続ける事により将来起こりうるリスクについても一度自ら調べ、薬に頼ることの危険性を認識し、自分に必要な行為なのかどうか考えて欲しいと感じます。

もし、自らに必要だと判断した場合は我々国民の税金を使う保険診療ではなく自由診療でダイエット外来という看板を掲げているクリニックを受診して頂きたい。


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調剤薬局業界で仕事をしています。店舗勤務、人事、開業支援と色々やっています。日々の業務の中で気になったことや皆さんも知るべきと感じた事を書いていきたいと考えています。

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