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「はだしのゲン」を平和教材から削除

「はだしのゲン」を平和教材から削除


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ます。

戦争を美化するために、戦争したくない・軍拡費反対!という国民を減らすために、政府はあれこれと策を弄してきています。

今日はその中の一つを記録しておきます。

戦争を美化するために「はだしのゲン」を平和教材から削除

まずはニュースから。

「はだしのゲン」平和教材から削除 「被爆の実態に迫りにくい」広島市教委(中国新聞デジタル) - Yahoo!ニュース

広島市教委は2023年度、市立の全小中学、高校の平和教育プログラムを初めて見直す。小学3年向けの新教材では、これまで採用していた漫画「はだしのゲン」を「漫画の一部を教材としているため、被爆の実態に迫りにくい」などとして削除。別の被爆者の体験を扱った内容に差し替える。

2023.02.16 中国新聞デジタル


このニュースで取り上げられている「はだしのゲン」という漫画をご存知でしょうか。

これは、

1945年8月6日、広島に投下された原爆で家族を失ったゲン(中岡元)を主人公とし、焼け野原となった広島での生活の様子がリアルに描かれている漫画です。

また、軍国主義や米国のポチとなった様子など、時流に流される大人たちや核兵器開発を進めようとする国々への怒りも率直に表現されています。

そんな漫画をなぜ削除しようとしているのか。その具体的な理由としては以下のように述べています。

被爆前後の広島でたくましく生きる少年の姿を通じて家族の絆と原爆の非人道性を伝える狙いで、家計を助けようと路上で浪曲を歌って小銭を稼いだり、栄養不足で体調を崩した身重の母親に食べさせるために池のコイを盗んだりする場面を引用している。

 これについて、教材の改訂案を検討した大学教授や学校長の会議で「児童の生活実態に合わない」「誤解を与える恐れがある」との指摘が出たという。市教委も同調。その上で、漫画の一部では被爆の実態に迫りにくいとして、もう1カ所あった、家屋の下敷きになった父親がゲンに逃げるよう迫る場面も新教材には載せないという。
2023.02.16 中国新聞デジタル


いやはや。

「児童の生活実態に合わない」とはこれいかに。むしろ、それが戦中・戦後のリアルでしょう。戦争中の悲惨さ・残虐性・暴力性等が「今の私たちの生活実態に合わない」のは当たり前のことです。


しかも、「誤解を与える」とまできました。つまり、逆に言えば、その人たちにとって、小学生に「戦争のことをどう思って欲しいか」ということが見えてくるというものです。

戦争は美しいもの。日本を守る素晴らしいもの。鯉を盗まなければならないような悲惨な事なんて起こらない。人々が家屋の下敷きになるようなことも起こらない。だからみんな、安心して戦争に賛成してね!

これがまさしく、戦争をしたい大人たちが子どもたちに与えたい戦争のイメージだということです。

「はだしのゲン」を読めば、戦争なんてとんでもないということがばれてしまうからです。だからそういったものを遠ざけて、子ども達を「戦争賛成」に洗脳しようとしているということでしょう。

なにしろ、はだしのゲンはまさに「戦争の実態」が描かれているのですから。

この漫画は、中沢啓次さんご自身の原爆による被爆体験を元にした自伝的な内容でもあるので、リアルもリアルなんですよね。そして、この漫画読むだけでも、戦争は決して美化されるものでもないということはわかると思います。(むしろ、怖い、体験なんて絶対にしたくない、という思いが強くなるでしょう)


そんな漫画を、いえ、そんな内容だからこそ、子どもたちの目に触れるところから遠ざけようと、具体的に動き始めました。戦争反対を唱える人を減らすために。

■個人的には、むしろ別のシーンを載せてほしい

ここでやり玉に挙げられているシーンよりも、戦争そのものの残虐さ、戦争を批判した国民がどんなひどい目にあったか、そういったところ等を載せて欲しいと思っています。そうすれば「誤解」もなにもなく、それこそ「戦争の恐ろしさ」を伝えられますから。

 

「はだしのゲン」は人々の精神状態もリアルに描いている

この漫画は、原爆の被害等だけではなく、戦時中の人々の「異常性」についても描かれているのも大きな特徴です。

戦争は間違っている!という人を「非国民」呼ばわりし、拷問を与えたり、市井の人々がよってたかって痛めつけたりする描写もあります。


「一部の政治家が国民全体を痛めつけた」のではなく、「国民が積極的に国家に忠誠を誓い、戦争や暴政に協力していた」という異常な社会をも否応なしに伝えてきています。

まさに、今の自民党が統一教会と手を組んで(言いなりになって)、アメリカの犬となって、嬉々として進めようとしている社会なんですよね。違うのは、まだ戦争が実際に始まっていないだけで。


それがどんな結末を招くのかというのが国民にばれないように、削除してきたと考えるのが妥当でしょうね。


なぜこのタイミング?

なぜこのタイミングで明確に強硬手段に出てきたのでしょうか。


それは岸田政権の軍拡と関係があるでしょうね。大いに。「先制攻撃」ができる雰囲気を、戦争すべきだ!という雰囲気を子どもにも植え付けるために。

そうそう、「はだしのゲン」の中にはこのようなセリフがあるんですよね。

「(戦争は)ひとにぎりの金持ちがもうけるため」「金持ちのために死んでやるのか?」

実は、はだしのゲンを叩いているのが日本会議の関係団体

少し話は変わりますが、かねてより学校の図書館から「はだしのゲン」を撤去させようと躍起になっている団体があるのはご存知でしょうか。「平和と安全を求める被爆者たちの会」なんていう、まるで被害者のための団体です。

ですが、毎年8月6日に出されている「私たちの平和宣言」をしっかり読むと、かなりきな臭い内容なんですよね。なにしろ、平和と戦争放棄を謳っている今の憲法を否定し、改憲せよ、集団的自衛権を発動できるようにせよ、と言っているのですから。

そして、核兵器禁止条約にも反対しているのです。

本当に平和を望むのであれば、賛成し、世界中でそれを実現できるようにもっともっと努力してほしいと訴えるものではないでしょうか。実際、他の団体はそのような主張もされています。ですが、この団体はむしろ逆に「日本はもっと強くなれ」と言っているのです。そう、今の岸田政権がやろうとしていることのように。


では、なぜ「
「平和と安全を求める被爆者たちの会」はこのようなことを言うのでしょうか?

実は、この団体と日本会議広島は一緒なんですよね。連絡先や住所が全くおなじことからわかります。



■日本会議とは?

日本会議というのはとにかく憲法を変えたがっています。戦争できる国に。基本的人権を尊重しなくてもいい国に。日本の最小単位は「個人」ではなく「家族」としたがっています。自助で頑張れ、国の利益のために頑張れ。そして国の利益にならない国民は簡単につぶせるような憲法へ。

一言でいえば「戦前回帰願望の強い団体」です。基本的人権等のような「人が人として尊重される権利」よりも「道徳」の方を大事にしたがっています。そして、すべては自分達「特権階級にいる人の利権だけのために」生きている人たちの集まりです。

もっと具体的にわかりやすいよう、この日本会議に所属している人の一部を紹介します。

安倍晋三(特別顧問)、麻生太郎(特別顧問)、加藤勝信、岸田文雄(現総理)、河野太郎、菅義偉、下村博文、杉田水脈、高市早苗、西村康稔、萩生田光一、橋本聖子、馬場伸之。(明記されていませんが、小泉進次郎もほぼ仲間として活動)

(まぁ、統一教会ともべったりの顔ぶれですね)

■日本会議と中沢啓次さんの理念は真逆

日本会議はとにかく改憲して日本も武力を高めよ、という考えです。一方、中沢さんは「戦争は絶対にダメだ、話し合うという平和外交をせよ」という考えです。

なので、日本会議からしたら中沢さん、いえ、はだしのゲンというのは、もうとにかく邪魔で邪魔で仕方ないのですよね。だから、軍拡化を本格的に目指した今、このような暴挙に出てきたのでしょう。

 

「はだしのゲン」の中にある台詞を一つ紹介

まさに、今の日本人が知るべき台詞だと思いますので、紹介します。

また戦争をよろこぶ流れがおきてはまったらもうおそいのよ

つぎつぎと治安維持法みたいに法律をつくられ 
完全ににげられないようにされ

人間がただの戦争する道具にされるんだから

いつも戦争をおこそうとするくわだてをはやく見破って
みんなで声を張り上げ反対してふせぐのよ

国のためだと言って戦争して
かげでもうけるやつがいるもおるんじゃけえ

中沢啓次さん(はだしのゲンの作家さん)の言葉

インタビュー記事を2つ、それぞれ一部を紹介します。リンクも貼りますので、全文も是非お読みください。


10代がつくる平和新聞 - ひろしま国:8・6を伝える (hiroshimapeacemedia.jp)

「あの日、僕の目はカメラになったんです」。焼けはがれた皮膚が爪の先からぶら下がったまま歩き続ける人たち、ガラス片が全身に突き刺さって苦しむ人々…。漫画に描いた数々のシーンは原子爆弾が投下された直後に見た光景そのままです。

(中略)

原爆が投下されるまでの家族の生活にもページをさきました。「言論の自由への思いも込めた。洗脳されて自由にモノをいえない社会の恐ろしさも知ってほしい」。父親は「戦争はいけん」と主張し続け、投獄されました。続編を描く構想もありましたが、「余韻を持って終われたのが良かったと思う」と今では感じているそうです。

 

子どもたちに伝えたいことは、日本が進むべき道は武力に頼らずにすべての国と話し合う全方位平和外交しかない、という理念だそうです。(村島健輔)


『はだしのゲン』作者 中沢啓治先生の思い | どう出版 (dou-shuppan.com)

とにかく戦争はだめだ。どんなことがあっても。どんな屈辱をあびようが何しようが、絶対に戦争はいけん、戦争はしちゃいかん。お互いに話し合いで解決していく。生意気だからやっつけろとかそういう発想じゃいけない。戦争だけはどんなことがあってもしちゃいかん。これはもう、僕らがいやというほどその苦しみを味わったんだから。

 日本憲法というのは、僕らが戦争で苦しみのたうちまわって手にしたもの。東京はじめ日本列島ぜんぶ焼け野原になって300万人以上というすさまじい数の人が死んでいる。その上でやっとあの平和憲法というものを手にしたんだ。だからあの憲法はどんなことがあっても守らなくてはいけない。もうこれは、次の世代のその次の世代の人にも、次々にこの日本の憲法を守っていくようにしなければならない。

 おしつけの憲法だと言っているけど、あれは日本人は認めたんだから。すばらしいもんだ、世界の誇りにすればいいんです。

 何があっても戦争という手段は絶対使ってはいかん。そのことを日本人はね、世界に広めていかねばならないのです。

あとがき

戦争なんてのは、私たち「庶民」にとっては、どこまでいってもただ理不尽なものです。ビデオゲームにように「やり直し」がきくものでもなければ、絶対的安全圏にいることもできないのです。

戦争を始めた政治家とその取り巻き、そして死の商人となり下がった一部の企業の役員クラスの人たちだけなんですよ、儲かるのは。そんな人達の為に、私たちは命を、お金を、暮らしを捧げなければならないのでしょうか?なぜ?なんのために?

そして、私たちは歴史から学ぶことができないほど愚かだったのでしょうか?

また、唯一の被爆国である日本が核保有をしてしまったら、それこそ躊躇っていた国も持ち始めるでしょう。だって、持たない理由がなくなるのですから。「あの被爆国の日本が持ち始めたぞ!それにもともと日本は加害国だし、また暴れるとも限らないからな!」となることが想像されます。

だから、私たちは何が何でも「持たない」。そして永遠に「戦争放棄、平和」を訴えていかなねばならない、そう思います。



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