1983年4月18日 「アメリカ大使館爆破事件」

1983年4月18日、レバノンの首都ベイルートにあるアメリカ合衆国大使館が自動車爆弾によって爆破されました。この攻撃は、アメリカ人大使や外交官、軍人などが含まれる63人が死亡し、多数の人が負傷したことで知られています。アメリカ合衆国大統領ロナルド・レーガンは、この事件を「残虐なテロ行為」と非難しました。

この事件は、レバノン内戦中に活動していたイスラム教シーア派の組織、イスラム聖戦組織（ヘズボラ）によって実行されました。ヘズボラは、当時、レバノン政府を支配していたシリアのバアス党政権に反発し、イスラム教シーア派の支持者を中心に結成された組織でした。ヘズボラは、イランの支援を受けており、アメリカ合衆国に対して敵対的な行動を取ることが知られていました。

アメリカ合衆国は、レバノンにおいて、シリアとイスラエルの間の緊張を緩和し、内戦を終結させるための平和維持活動を行っていました。アメリカ合衆国は、多数の外交官や軍人をレバノンに派遣し、ベイルートに大使館を設置していました。しかし、このようなアメリカ合衆国の存在は、イスラム教シーア派の勢力にとっては、アメリカ合衆国がレバノン内戦に介入しているとみなされ、敵対的な行動を引き起こすことになりました。

この事件の後、アメリカ合衆国は、報復措置として、レバノンのシーア派の拠点であるバアカ地区を空爆しました。しかし、この報復措置は、イスラム教シーア派による反発を招き、1983年10月には、レバノンのベイルートに駐留するアメリカ海兵隊に対する自動車爆弾攻撃が行われ、241人の米軍人が死亡しました。

このように、アメリカとヘズボラとの対立は深まり、アメリカ合衆国は、ヘズボラをテロ組織として認定し、経済制裁を課したり、軍事行動を実施したりすることになりました。

アメリカ合衆国は、1980年代後半から1990年代初頭にかけて、ヘズボラを含むレバノンのイスラム教シーア派武装組織に対する軍事行動を実施しました。これには、レバノン内戦に介入するために派遣された多数の軍人が含まれており、イスラム教シーア派の支援を受けるヘズボラによる攻撃も相次ぎました。

また、1990年代に入り、レバノンに対する経済制裁を課したことで、ヘズボラの支持基盤を弱体化させることにも成功しました。しかし、ヘズボラは、イランやシリアからの支援を受けて活動を続け、現在もレバノンで政治的・軍事的な影響力を保っています。

アメリカ合衆国は、アメリカ合衆国大使館爆破事件を含むテロ行為に対する取り組みを強化し、テロリズムに対する防衛・対処能力を高めることに注力しています。これには、国内外のテロ組織に対する情報収集・分析、テロ攻撃の予防・対処、国際協力などが含まれます。