K先生は僕が音楽と文章で生きていくことを「知っていた」らしい

「ともぞうはさ、音楽と文章で生きて行くかもしれないね」

これは、小学校5，6年生のときの
担任のK先生が僕に言った言葉。

当時の僕といえば、音楽の成績は
通知表でいう所の「がんばろう」。

歌のテストでは恥ずかしくて
みんなの前で歌えなかったし、
リコーダーや鍵盤ハーモニカだって
まともに演奏できなかった。

文章だってそう。

当時の学校の宿題で
書いた日記はこんな感じ。

今日は学校が終わったあと○○くんと遊びました。
○○くんの家でスマブラをしました。

そのあと、おもちゃやさんに行って
遊戯王カードを1パック買いました。

○○くんの家にもどってまたスマブラをしていたら
暗くなったので帰りました。

夕飯はハンバーグでした。
おいしかったです。

お世辞にもうまいとは言えない文章だ。

これがビックリするくらい汚い字で書いてあった。

K先生は、何で僕が音楽と
文章で生きていくと「知っていた」のか。

その謎は解けないままだけど、
事実として僕は音楽を仕事にして、
文章を書いてお金を頂いている。

不思議。

K先生はそのことを覚えていないらしい

僕が26歳の時、小学校の同窓会があった。

その同窓会にはK先生もいた。

僕はちょっと気になって、K先生に聞いてみた。

「K先生は、僕が小学校5年生の時
ともぞうは音楽と文章で生きていくかもって
予言してたんですけど、あれ何でそう思ったんですか？」

K先生の返事は
「え、そんなこと言ったっけ？」だった。

いや、覚えてないんかい(笑)

いや、もしかして、あの先生のことだから
覚えているけど、敢えて言わないのかも知れない。

それとも誰かと間違えて言ったのかな？

または、僕がその言葉に引っ張られたのか？

でも、この言葉を思い出したのは、
音楽や文章でお金を頂くようになってから
数年後のことだった。

今となってはもう良く分からないけど、
K先生はただものじゃない気がする。

本当に不思議な先生だった。