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元塾講師が教える 勉強する理由

元塾講師が教える 勉強する理由


学生時代には、なかなかピンとこないもの。
人はなぜ勉強するのかという問。

勉強に嫌気がさした子供が必ず口にするセリフでもある。

かく言う私も、現役の頃は勉強する意味など全くわからなかった。
ただ、やれば点数に反映されるし、偏差値も上がるから、ゲーム感覚で楽しく取り組んでいた。

そのような状態の場合、工夫が成果につながると、更なる努力や創意工夫を凝らし、さらに上を目指そうとする。
知らず知らずのうちに、PDCAを回せるようになっていく。
逆に成果が出なければ、やる気は下降する。

こればかりは、実際にやって成果が出た者にしかわからない快感。

さて本題、なぜ勉強するのか?

原始時代にさかのぼる

人類はサルから人へと進化する過程で言語を手に入れた。
言語の獲得によって大きな変化が発生した。
それまでジェスチャー、匂い、声、表情などで、抽象的なコミュニケーションを図っていたことが、簡易かつ確実に伝達できるようになっていった。

逆に話せない場合は、確実に個の滅亡を意味するほどに重要な伝達手段として確立していった。

誰もが言語を習得しようとし、その能力を獲得することが、最大の生き残りの戦略だとDNAに刻まれた。人類という種の生存戦略としても、各個体の生き残りのためにも、言葉を学ぶことが必須となっていく。

やがて農業の方法、狩猟の情報、建築に関すること。あらゆることが言葉を介して広く伝えられるようになっていく。

親は子に言葉を口伝で教え、子は親から学ぶことが当たり前の状態が生まれる。
既にこの段で、人類は学ぶという行為を生来持っている能力の一つとしていたはずである。

これは現代でも同じで、赤ちゃんは生まれながらにして、言語を学ぶ能力を保持している。
親や周囲の人間に対して発した喃語が受け入れられ、反応を見ながら、さらに新しい言葉を覚えていく。

つまり、人類は生まれた瞬間から学ぶという能力を持っており、学習行為は至極自然なことなのである。だから、「なぜ勉強するか」という問いに関しては愚問と言わざるを得ない。

現在においては、学校で学習する内容だけが「勉強」という言葉に置換されてしまっているが、実は間違いだとわかる。

学校の勉強は国家の繁栄と持続のために、国が制度として作り上げた一つの形態である。
その結果、主要5教科が確立され、義務教育として全国民に実施されている。

ただし、元をたどれば「学ぶ」「勉強する」という行為は、人類の生き残り戦略としてDNAに刻まれたもの。「なぜ勉強するの?」という問いに対して、答えるとしたら、前提として「なぜ生きるの?」と同じような質問だということを認識しなければならない。

だから「あなたの将来の可能性を広げる」とか「いい仕事に就くため」とかいう答えは、実は的外れなのである。

確かに、個に焦点を当てるならば、そういった表現になるかもしれない。
しかし答える側としては、先ほどの前提をきちんと伝えた上で、将来の可能性や職業選択について言及すべきだと思う。

学びの対象は言語や学校の5教科だけではない。
ゲームが好きならゲームのことをとことん勉強するだろうし、藤井竜王は将棋を突き詰めた。
その道のプロは皆同じだろう。
たとえ学校の5教科ができなくても、生きていくための学びは誰もが持続的に行っており、それが国が定めた方向性と合致すれば、成績が上がるというだけである。

勉強のベクトルがたまたま学校の5教科と一致すればエリート視され、あらぬ方向に矢印が向かってしまえば、劣等生とみなされるようになってしまった。
企業が有名大学偏重採用となり、そのまま経済力格差へとつながってしまったのが今の日本の形なのかもしれない。

ついには学力向上のための様々な産業が発生し、誰もかれもが塾通いをするようになった。
それはまるで、5教科だけが「勉強」だと思い違いしてしまう世界である。

私は学校の教育を否定しているわけではない。むしろ肯定的。
義務教育から高等教育を通して、ほんとうに様々なことを学ぶことができ、それが社会人になってから役立っていることも多い。
学生時代あれほど嫌だった暗記でさえも、今なら「必要」と答える。
それは、私が今、ITという頭を使う職業についているからだと思う。
もしまったく別の職業をしていたら、別の意見を言っていたかもしれない。

結論
勉強をする理由は考える必要はない。
なぜならDNAに組み込まれているから。
勉強の方向性は人それぞれで、どこに向いていても構わない。
それが将来の自分に活きるなら、好きなことをやればいい。
ただし、何も学ばないというのはダメですよ。


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元塾講師です。大阪や奈良の進学塾で講師をしていました。塾の裏側、受験対策、効率的・効果的な勉強方法など、受験生や保護者の方々のお役に立つ記事を書いていきます。

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