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昭和なスナックの日常2

昭和なスナックの日常2


小説風 本当にあったお話
ある夜のとあるスナックでの出来事。
 
そこは昭和な雰囲気のスナック。
レトロ感漂う店内。
お客が15、6人も入れば満席になる。
そんな店内に今夜もお客がやってきた。

今夜もいつものように扉が開く。
カラン、カランと音がする。
そしていつものようにママが声を掛ける。
ママ
「いらっしゃいませ」

今夜の最初のお客は少し、つっけんどんで愛想がない。
そんなことはママには関係ない。いつものことと慣れている。
馴染みの客。

ママ
「あら、すーさん、平日のこんな時間に珍しいですね」
すーさん
「おぅ、そうかな」
ママはそう言いながらおしぼりを渡す。
ママはすかさず質問する。
「すーさん、何か良いことでもあったの?」
すーさんは常連ではあるが、来るときは続けてくるが、来なくなるとしばらくこないという気まぐれの客。

上機嫌で飲んでいるときはよいのだが、少し短気なところがあるので何が地雷になるのかを気を付ける必要がある。
他のお客と仲良くもなるのだが、自分に気に入らないことがあるとすぐ膨れる。
子供染みたところがある。
面倒といえば面倒だが、歌を歌って飲んでるときは良い客。
すねると無口になる。
それは迷惑ではないので構わない。
ママに質問されて良いことがあったのか、珍しくニッコリ笑って話し始めた。

そうこうしていると、次々にお客がやってくる。
20時を過ぎた辺りから客が増える。
最近は大体が二人連れだったり、多くても四人くらいでやってくる。
そんな中で、ひとりの客もすーさんのようにふらっと入ってくる。

この昭和なスナックの良いところは、ママの気っ風と客の良さだろう。
前回のように嫌な客は、すぐさま帰すママの潔さ。
酒飲みのマナーが悪いと注意するし、他の客に迷惑を掛けるような人は、その場で出禁にする。
前回のあんな客は二度とごめんだが、いつ来るかもわからないし、酔っていてくるので、出禁にしたこともわかっていない。今回は女性と一緒だから大丈夫かもと想ったけど、酔いが回っていたようでやはりダメだったかと、反省していた。一年に一回くらいしかこない客だからと油断したと反省しきり。

しかし、ここへ通ってくる常連のスナックのマスターは、あんな客でもお金を落とすから、自分の店に来たら帰さないと言っていた。

ママは言う。
「私に何か言うならまだしも、私の大事なお客様にあんな失礼な態度をとる人は、迷惑なだけでうちのお店にはいらない」
そうきっぱり、常連のマスターに言いきった。
その常連のマスターは小声で隣の客に言う。
常連のマスター
「あんなことをいうけど、お金を落としてくれる客なんだから帰さなくてもいいのにね」と。
隣の客は、同意するはずもなく、吐き捨てるように言った。
隣の客は前回ひどい言われようをして泣いた客Bの女性だった。
客B
「あんな客がいると思うと、いつも来ている常連さんは来なくなりますよ」
「ママは凄いと想います」
「目先のお金より人を大事にするママが好きです」
常連のマスターは、もう何も言わなかった。

気になる問題の客とのやり取りは、
「昭和なスナックの日常1」をご覧ください。

この常連のマスターとママは仲が良いわけではない。
ママとはことごとく気が合わない。
経営方針が違うので、いつも言い合いになる。
嫌な客といえばそうだが、別に他のお客さんには愛想は良いし、楽しくお酒を飲んで歌って気持ちよく帰って行くのでママとしては自分と気が合わないだけだからと、来ることは拒んではいない。

ちなみにこの店にやってくる客は、親子でくる客も多いので下は20代から上は80代までの人がやってくる。
コロナ禍で店を閉めている期間があったので離れていった客もいるが、長いこと続けているので、またぼちぼち戻ってきている。
二年ぶりに来たという客も多い。
手土産持って、久しぶりとやってくる客も多く、最近のママは嬉しそう。
しばらくは、客がやってこない日もあったから。

コラムとして書くからには、エピソードを載せるため、普通に飲んで歌う客のことは描かない。
この昭和なレトロなスナックで起こる非日常を赤裸々に描ければと想う。

スナックという未知のお店へ、足を運んだことのない良い大人がいたら、近くのスナックへ足を踏み入れてみてはいかがかな。
居酒屋では味わえない人情と出会えるかも。
金額が心配の人は、最初に聞くとよいですよ。
金額を指定したら、その金額になったら、おしまいと教えてくれます。

私がコラムとして描いているこんな昭和なスナックはなかなか無いのではと思うでしょう?
それが結構あるのです。

これからこのお店ならではなのか、ママだからなのか、はたまた、偶然なのか必然なのか、とにかく面白く小説風に描いていきます。
よろしかったら、「昭和なスナックの日常」の常連さんになりませんか?

~今回はここまで~
   2022年5月25日水曜日
      ライター:唯李














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唯李(ゆり)と申します。
stand.fmでオリジナル小説を朗読しています。
小説はモノガタリードットコムでアップしているものです。

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