人生で必要なものは、意外と少ない

ここにきて、電子書籍３冊目の執筆をいったんやめることにした。

書いても書いても完成せず、
このままやり続けても、
いろんなものをすり減らすだけだと思ったから。

あれだけ、書かなきゃ、書かなきゃと思っていたのに、
いざ、もう書かなくていい！となったら

さぞかし、ホッとして、スッキリして、
こころ晴れ晴れ！かと思いきや、

午前中にはやることが終わり、
なんだかヒマになってしまった。

せっかく時間ができたんだから、やりたいことをやればいいんだけど、
今度は、「やりたいこと」がわからなくなっていた…。

ヒマで、時間はあるのに、やりたいこともない…。

そんな抜け殻状態になり、
なにか、テンション爆上げすることでもやろうか、と思ったのに、
どうすれば自分のテンションが上がるのかがわからなくなっていた。

「ルーティン」や「やるべきこと」が決まっているときは、
ひたすらそれをこなしていけばいいので、
何も考えなくていい。

そういう状態を長く続けていたから、
いざ、自分で考えなきゃならなくなったときに
どうしたらいいのかわからなくなった。

で、
やめていたはずのスマホゲームに手を出した…。

安易に、手っ取り早く、暇をつぶせて、
それなりの高揚感も得られる…。

選択肢はたくさんあるはずなのに
どうしてこういう時って、
「一番選んじゃいけないもの」を選んじゃうんだろう…

〇人生で必要なものは、意外と少ない

さすがにこれはまずい、よくないよ、と思ったので、
「３冊目執筆するからとやらずにいたことに手を付けるか…」と
重い腰を上げることにした。

物置にある、「義父」の遺品整理である。

義父は今年の春に亡くなった。

９０歳超えの高齢者で、最期は老衰という大往生であった。

お義母さんから、洋服やタオルなど身の回りのものを
まとめて清掃センターに持っていってほしいと頼まれていた。

段ボール３箱分の遺品。

いくら何でも、これだけってことはありえない。

あとから追加されてもめんどくさいし、
どうせならまとめていっぺんに持っていきたいからと言い訳をして、
半年近く、放っておいたのだ。

「とりあえず、ある分だけでも処分すれば、物置もスッキリするか…」

箱を開け、中身を袋に詰め替える。

夏物のパジャマ。
脇にファスナーがついたジャージのズボン。

去年、施設の入所が決まったとき、
必要だからと頼まれて、わたしが買ったんだ…。

意外と服は少なく、残りのほとんどがタオル類だった。

９０年以上生きてきて、最期に残ったモノがこれだけか。

お義母さんがこまめに整理していた様子はなかったので、
もともとあまりたくさんモノを持たない人だったのだろう…。

人間、最期に必要なものなんて、こんなもんなのだ。

そして、それさえも、
あの世には持っていかれない…。

たくさんのモノにかこまれた、今の生活。

本当に必要なもの。
最期の最期までそばにいてほしいもの。

それ以外は、手放していこう。

残りの人生、
わたしがわたしを幸せにしてあげるために。

自分で選んで、
自分で決めて、
自分で手放そう。

自分を身軽にするために。
安心して人生を全うするために。

いまからでも、少しずつ
身の回りの物を片付けていこう…。

そんなことを考えた、よく晴れた秋の午後でした。

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