＃11　家のせいだと思いたいだけ

小学二年生のころ。
私は、何を思ったか。

クラス全員の筆箱を隠したことがある。

理由は、何だったか……。



今考えても思い出せないけど。



勿論、大騒ぎになり。
私が犯人だとバレるのも一瞬だった。




その後、前に立たされクラスのみんなの前で謝罪をするのだが。

先生は、放課後私を呼び止めてこう言った。




「赤ちゃん生まれて、お母さんもお家にいないしね…。
寂しかったのね。」





と。






私は、寂しかったのだろうか？
全くもって、そんな認識はなかった。






そして、子供ながらに。
それが、悪さをしていい理由にはならないだろ。
とも、思った。






……かわいそう。と、思われてる？







その時の私の感情を、言葉にしろと言われたら。
…それは、難しくて。






でも、それを境にいわゆる”問題児”部類になっていくんだけど。
きっと、私の中にも元々悪魔がいた。





とっても性格の悪い。





それが、ちょっとずづ顔を出し始めたんだと思う。







よくいじめっ子は、家庭環境が悪い。
と、言うけれど。






どうなのだろうか？






私の性格の悪さは、家庭環境のせいだ。と、
当時は一度も思ったことがない。






だって、分からない。
そんなの、分からない。






気づいたら、”問題児”と呼ばれてた。
気づいたら、すでに性格悪かった。
気づいたら、凄い意地悪になってた。





もしかしたら大人は。
先生は、家があんなんだしね……。と、思っていたのかもしれない。





分からない。

元からこうなのか。
家庭環境のせいなのか。





家庭環境のせいだったら、どれほどいいか。




だって、元からだったら。
私、終わってるじゃんね。





きっと、私は。
”問題児”になったのも。
意地悪な性格なのも。




本当は全部、家のせいにしたいんだ。





本当は、どうかなんて分からないのに。
家のせいにして、逃げたいんだ。