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「閣議決定」は最終決定ではない。マスコミメディアの報道の仕方は問題あり

「閣議決定」は最終決定ではない。マスコミメディアの報道の仕方は問題あり


「マスゴミ」という言葉はできるだけ使いたくないと思っていますが、しかしやはりマスコミメディアの報道の仕方はひどいと日々感じています。

いつからでしょうか。法律制定・法改正における「閣議決定」がさも最終決定のように扱われるようになったのは。マスコミメディアがそのように報道しだしたのは。そうやって国民を「ああ、もう決まったのね」と諦めさせること・従わせることに熱心です。

最初に結論を書いておきますが、「閣議決定」は最終決定ではありません。閣議決定した法案を国会に提出するんです。

今回は法律ができるまでの流れや、関連する憲法について書いていきます。

法律ができるまでの流れ

これは内閣提出法案の場合の流れです。



このように、閣議決定の段階ではあくまでも「私たちはこのような法律を作りたい・法改正したいものを決めるだけ」です。

そして、それを国会に提出して国会で議論を交わし、そのうえで法律成立を目指すという流れになっています。ですから、廃案もありえるのですよ。

ちなみにもうひとつ「議員立法案」というものがあります。こちらは内閣ではなく「委員会」等を経て国会へ提出されます。

(※内閣法制局もあまり機能していないかもしれませんね…憲法の関係を見ていない気がします)

法律を作れるのは「国会だけ」だと憲法で定められている

「法律を決める権利(立法権)」を持っているのは国会だと、明確に定められています。そしてもうひとつ。実は日本における「最高機関」は内閣ではなく国会であるとされています。

■憲法第41条:国会の地位:国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。

そう、法改正も含め、法律を作ることができるのはあくまでも「国会」だけなのです。閣議決定したものが「確定、法律になります」というわけでは、決してありません。内閣に立法権はありませんから。

内閣が持っているのは「行政権」です。

 

閣議決定だけで出せる「政令」とは?

閣議決定だけで出すことができるものに「政令」があります。この政令というのは「内閣からの命令」ですので、内閣だけで定めることができます。

ですが。

それはあくまでも「憲法や法律に則ったもの(憲法や法律で定められている範囲)」でなければなりません。

※国家権力側は第99条によって憲法を尊重する義務が定められています。そしてその憲法の範囲で作られた(はずの)法律に従うべきであるということも、第73条にて定められていますからね。


政令が憲法や法律を飛び越えることは決して許されません。


基本的には政令は法律を更に補填したり、何かが起こった時に迅速に動けるよう「法律に基づいてこのような政令を出す、すぐに動きなさい」というようなものが多いです。


■政令の例:阪神・淡路大震災の時の政令

「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年)」というのがあります。この法律に基づき、阪神・淡路大震災の時にいくつかの政令が出されました。

例えば、この「阪神・淡路大震災を激甚災害だと認定する」というのが政令です。

法律では「これこれこのような状態の災害が起きたら、政令で激甚災害だと認定しなさい」と定められているからです。

もちろん、東日本大震災の時も出されています。

 

マスコミメディアはどのように報道すべきなのか?

結論からいえば「内閣はこのような法案を国会に提出することを決めた」「法案を国会に提出することを閣議決定」という風に報道するべきではないかと思っています。

そう「法案を国会に出してこれから決める。今はまだ何も決まっていない(成立していない)」ことがはっきりとわかるような見出しにすべきではないでしょうか。

しかし、現実はどうでしょうか。

例をあげます。

つい先日、マイナンバーカードの保険証一体化と、これに伴い現行の健康保険証を廃止する改正案が閣議決定されましたね。ですが、これはあくまでも「閣議決定」であって、これから国会で審議すべきなのです。

それにもかかわらず、マスコミメディアは「すでに確定事項である」「そのような社会になることはもう決まった」かのように報道しています。

まずは記事の見出しだけを。ざっと検索して出てきたもののスクショです。






どうでしょうか。どこにも「国会」という文字がありません。ギリギリ「案」という単語を入れている程度です。

しかも。
日本経済新聞(無料範囲)・毎日新聞・東京新聞は、記事本文にすら「国会」という言葉を入れていません。もう確定したかのような報道になっています。(朝日新聞は、紙面経掲載記事には「国会で審議」という文字がありましたが、デジタル有料記事の無料範囲には記載無しでした)

実際、本文にちょろっと「国会で審議」という文字を潜り込ませているものもありますが(おそらくアリバイ作り)、全文を読むと「確定事項」みたいな雰囲気を出していますしね……。

ですので、見出しだけはもちろんのこと、本文を全部読んだとしても、おそらく「もう決まった」かのように受け止めている人も少なくないでしょう。または「もうそうなることが確定路線だよね」という感じでしょうか。

これが1つ2つじゃないですからねぇ。

マスコミメディアにはアリバイ作りではなく、真っ当に報道してほしい

タイトルを一瞥しても「法律は国会で作るもの」という基本が理解できるように、そして閣議決定に変な力を持たせないような報道をの仕方を考えて欲しいと思います。

このあたりは10年以上前のマスコミメディアの方がしっかりしていたような気がしますが…気のせいでしょうか。今みたいに「閣議決定!」「確定路線」とはなっていなかったように記憶しています。

アリバイ作りと言えば。少し話がそれるのですが。

今回例に出したマイナ保険証一体化についていえば、アリバイ作りのように、ちらっと「保険証と一体化することによってどんな問題があるのか?」という問題点も報道してみせているマスコミメディアもあります。

これは正直、「私たちマスコミメディア、一応ちゃんと問題点も報道したし?自民党のことだって批判して見せていますからね?」という「ポーズ」にしか見えません。

だって、「内閣は閣議決定ですべてが決まったかのように振る舞うな」「何をもって丁寧な説明としているんだ?」等々、根本的な問題を取り上げて明確に表立って批判してはいないのですからね。

 

「野党は批判だけ」「野党反発」と、野党を貶めるような記事ばかりで、ではなぜ野党は批判したのか?どのような批判内容だったのか?というところまで掘り下げた報道がろくにできないマスコミメディアに、もうこれ以上何かを期待するのは無理なのでしょうか?

国会を見ていれば、むしろ野党の方がまともな人が多いというのはわかるのですが、ね。自民党の返事の方がひどいことも。


でも誰もがそこまで見れるわけではないので、やはり最後はマスコミメディアの「良心」」にかかっていることになってしまうのでしょう。

 

あとがき

繰り返しますが「内閣に立法権はありません」。全くありません、

閣議決定は「なんでも決めていいし、決まったら決行決定!」という機関でもありません。このあたりはあマスコミメディアがきちんと報道するところでしょう。

今のマスコミメディアは、いわば内閣の暴走を大いにアシストしている状態になっているんですよね。そろいもそろって、まるで自民党の広告塔のようです。

まぁ、百歩譲って、一般的なマスコミメディアはそれでもいいでしょう。

ですが、国民から「強制的に」受信料を徴収しているNHKは、もっと中立的に、もっと丁寧に報道すべきところにはずなのですよね。自民党の広告塔にならずに。

■該当憲法

この記事に関連する憲法を紹介します。私が個人で作ったサイトになっていますが、ご容赦を。

【日本国憲法第41条の解説】国会は最高機関であり、唯一の立法機関でもある | そうだ、憲法を知ろう (nannokaisha.com)

【日本国憲法第65条の解説】行政権は、内閣に属する | そうだ、憲法を知ろう (nannokaisha.com)

【日本国憲法第99条の解説】憲法の矛先は国民ではない!改憲草案は危険! | そうだ、憲法を知ろう (nannokaisha.com)

それでは、また。


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